ヘンデル「アリオダンテ」
このオペラ、上野でちょうど海外歌劇場による引越し公演が行なわれているところ。私は資金不足で行けないので、CDで我慢(笑)。
先月のヴィヴァルディの後に聴くと、どうしても重い…。「反英雄オペラ」に属しますが、「セルセ」「アグリッピーナ」のような喜劇的なコミカルさは感じられません。むしろシリアス。テキストはシンプルな内容で、イタリアの詩人アリオストによる『狂えるオルランド』(これは多くのオペラの題材になっています。ヴィヴァルディのものもあり)からのエピソードです。恋人同士がライバルによる妨害を受けた末、最後にはハッピーエンドとなる典型的なお話。ヘンデルはオペラの本場イタリアで学んできてはいますが、やはり生まれ故郷ドイツの雰囲気がうかがえます。重心が揺るがず、形式もきちんとした枠組みで、どっしりとした作品作り。細かく聴けば新しい形式も所々出てくるそうですが(ディーン博士の著書による)、全体から受ける印象は「固いなぁ」(このCDの演奏自体ががっちりしたもの。嫌いじゃないですが。指揮者ミンコフスキはドイツ系が合っているのかも、ベートーヴェンやウェーバーのオペラなどいいのでは)とやはり変わりません。
ミンコフスキによるこの演奏は、現在聴けるヘンデルの中では最上級のものでしょう。安定感と疾走感のバランスが良く、スリリングな超絶技巧のアリアとオケの競演を楽しみました。