ヘンデル「アリオダンテ」

先ほどまでアスベスト被害についての番組を観ていました。これからも被害者が大幅に増加するだろうとのこと、人事ではありません。この忍び寄る恐怖をなんとかして欲しいものです。インド・パキスタンの大きな地震も心配。ノーベル平和賞の受賞者が決まったことや、憲法の改正草案など、いろいろなニュースが駆け巡ります。私の身近でも苦しい状況の方がいます。こうした情勢の中で、のほほんとオペラに浸っているなんて…と自分に罪悪感を感じることもしばしば。「そうしたイヤなことは世界中であるけれども、誰でも楽しみを持つことは権利なんだよ」という友人の言葉を思い出し、なんとなく自分を納得させます。こうして楽しみを享受できることは本当にありがたいことなのだと、実感します。

e0036980_20484859.jpgこのオペラ、上野でちょうど海外歌劇場による引越し公演が行なわれているところ。私は資金不足で行けないので、CDで我慢(笑)。
先月のヴィヴァルディの後に聴くと、どうしても重い…。「反英雄オペラ」に属しますが、「セルセ」「アグリッピーナ」のような喜劇的なコミカルさは感じられません。むしろシリアス。テキストはシンプルな内容で、イタリアの詩人アリオストによる『狂えるオルランド』(これは多くのオペラの題材になっています。ヴィヴァルディのものもあり)からのエピソードです。恋人同士がライバルによる妨害を受けた末、最後にはハッピーエンドとなる典型的なお話。ヘンデルはオペラの本場イタリアで学んできてはいますが、やはり生まれ故郷ドイツの雰囲気がうかがえます。重心が揺るがず、形式もきちんとした枠組みで、どっしりとした作品作り。細かく聴けば新しい形式も所々出てくるそうですが(ディーン博士の著書による)、全体から受ける印象は「固いなぁ」(このCDの演奏自体ががっちりしたもの。嫌いじゃないですが。指揮者ミンコフスキはドイツ系が合っているのかも、ベートーヴェンやウェーバーのオペラなどいいのでは)とやはり変わりません。
ミンコフスキによるこの演奏は、現在聴けるヘンデルの中では最上級のものでしょう。安定感と疾走感のバランスが良く、スリリングな超絶技巧のアリアとオケの競演を楽しみました。
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by marupuri23 | 2005-10-08 21:01 | early music | Comments(0)