美味しい美術館~美術館の雑学ノート

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久々に「読んでよかった」と満足感一杯の美術案内でした。
著者は北海道にある六花亭製菓の美術館づくりに携わってこられた、建築家の飯田郷介さん。
タイトルから、軽快な案内書かと思いきや、かなりのボリューム(350ページあまり)!
自身が携わってこられた六花亭製菓の美術館(中札内美術村)から、日本を代表する建築家による9つの美術館を巡ります。

美術館それ自体にも物語がある…。建設の経緯から、所蔵品についての紹介はもちろん、建築家、味どころ、周辺の散策スポットなど、一つの美術館から無限に広がっていく鑑賞の楽しみがぎっしりと綴られています。本当に楽しめて、プラス建築や美術のお勉強にもなります。文章も、とても読みやすい。

日本初の公立近代美術館「神奈川県立近代美術館」について、ル・コルビュジェの弟子である坂倉準三が設計したことは知っていましたが、その人生や他に手がけた建築物も知ることができたのは収穫でした。
ほか、、前川國男や谷口吉朗、吉村順三など、日本の歴史を感じる建築家についても同様で、これから訪れてみたい美術館や建物をたくさん見つけることができました。

特に惹かれたのが谷口吉朗の建築。明治村やホテルオークラ、そして名随筆と言われる日記はぜひ読んでみたいと思いました。ドイツ出張の際には、国立劇場で上演された《タンホイザー》の客席でヒトラーを見たこともあったそうです。

そして、穂高の碌山美術館。
彫刻家、荻原碌山の美術館です。代表作の《女》は、国立近代美術館《美術にぶるっ》展で見たばかりでしたが、これが遺作。30歳という若さで亡くなったのですね。
ロダンの教えを受け、日本近代彫刻の先駆者と言われるその生涯はひたむきで、悲劇的。胸に迫るものがありました。
生涯を知ったうえで作品を想い起こしてみると、見方も変わってきます。

様々な角度から、美術の楽しみについて、有意義な情報を知ることができて面白かったです。世界が広がりました。
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by marupuri23 | 2013-03-16 21:01 | | Comments(0)