しのぶの乱れ限り知られず~初恋の香
香りを意識すると、心の中の別のスイッチが入るような気がします、想像力も羽ばたくような…。
日本にも、香りの伝統はありますが、線香以外では身近に感じられないのが残念。
室町時代からの香道となるとまた別になりますし、私も詳しくはないのですが、〈和の香り〉作りへ。
今回は、歌物語の『伊勢物語』からイメージして調合。
人によってイメージする香りは違いますが、私は初段「初冠(元服)」から
「春日野の若紫のすり衣
しのぶの乱れ限り知られず」
からイメージ。業平の初恋の歌。
初恋にしては情熱的かもしれませんが、この初恋は、垣間相手を見ただけでボーっと逆上せて、恋に恋してしまうような、まるでジュリエットに恋する前のロミオのよう。
そんな想いをイメージして作った香りは、若々しさの中に甘さがほんのり感じられるものに。
若紫という詞も、源氏物語の「若紫」を連想させられますね、フレッシュ。
「紫」ゆかりで袋と紐も自分で選び、匂い袋を仕上げました。