METライブビューイング《タンホイザー》

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今シーズン初めてのMETライブビューイングへ。
私がオペラというものに初めて触れ、「オペラって凄いんだ」とそれこそ目から鱗の体験をしたのが、ワーグナー《タンホイザー》でした。
TVで放映された来日公演(ベルリン国立歌劇場だったでしょうか?記憶はさだかではないのですが)を偶然観たのですが、初めの序曲からバッカナールへ続く音楽、そしてモダンな演出の組み合わせに、「世の中にはこうしたものがあるんだ」と衝撃を受けたのを覚えています。
音楽ももちろんですが、視覚=演出の力でこんなにもスケールの大きい世界、神話的な世界をも具体的に立ち上げることができるのだと(しかも現代性を持って)、圧倒されてしまったのです。
それまで、オペラというものはゴテゴテとした衣装を着けた歌手たちが、不自然とも言える声を張り上げて、話の内容も親近感が湧かないものと思い込んでいたので、余計に驚いたのかもしれません。

そんな想い出のある《タンホイザー》、全幕通して観るのは本当に久し振りで、懐かしささえ感じてしまいます。
ドイツ本国では(ドイツだからこそ)ありえないような、極めてオーソドックスな演出ですが、今となっては返って貴重かもと思ってしまいます。衣装の重厚さ、華やかさはさすがMET。
しかし、この演出のオーソドックスさだと、話の「古さ」も際立ちますね。もちろん当時は「先端」であったでしょうが、現代性を持たせるには、どうしても演出の力が必要になってくるのかもしれません。
そうした意味では、ドレスデンで観たワーグナーはとても良かった。

今回は、なんといってもヴォルフラム役のマッテイが素晴らしい。艶やかなビロードのような声にうっとり。発音も母音と子音がきっちり立って聴こえてきて気持ちが良いなと。
清潔感溢れる雰囲気で、役どころにはぴったりでしたが、ドン・ジョヴァンニも十八番とのこと、どう演じるのか(変わるのか)なと興味を惹かれてしまいます。舞台人としての華(セクシーさ)があるのも、大事なこと。
初めて聴きましたが、ドイツ・リート、バッハなども是非聴いてみたいと思わせる美声でした。
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by marupuri23 | 2015-11-29 22:08 | opera | Comments(0)