サン=サーンス 歌劇《サムソンとデリラ》(東京芸術劇場コンサートオペラ)

e0036980_013912.jpg
この歌劇は、なんといっても甘美な旋律のアリア『あなたの御声にわが心は開く』があることで知られているが、上演機会は少なく、私も全曲を聴くのは今回が初めて。
サン=サーンスの曲自体も、今までほとんど接したことがなく、私にとってその名はラモー全集を監修、出版したという印象の方が強い(第1巻がクラヴサンの全作品で、私も何曲かピアノで弾いたが、装飾音が大変で…。ほか、ラモーのカンタータのサン=サーンス版を見た記憶がある)。
その程度の認識だったのが、昨年ベルリン・フィルでサン=サーンスの交響曲3番を聴く機会があり、予習でCDを聴いてみると、いい曲ではないか…と繰り返し曲を流して、オルガンの音色に浸っていたことも。

同時代のフランス・オペラ、ビゼーやマスネも好きなので、今回の公演は滅多にない機会だと思い、劇場へ。
第1幕の始まりから、交響曲3番を彷彿とさせるような味わいで、「これがサン=サーンス節かな」と感じていたが、ヘブライ人の合唱など宗教的色合いの濃さに、これはオペラではなくオラトリオではないか…、この流れでいくのだろうか、と思ったものの、妖艶なデリラが登場した後からは、オペラの色合いに。「スタイルの混乱」と見る向きもあるのは分かる気がする。
オーケストラと歌手はどんどん調子を上げていき、熱気あふれる演奏で、大変聴きごたえがあった(特に3幕は素晴らしかった)。が、私自身が作品自体にあまりオリジナリティを感じない…、有名なアリアや派手な場面はあるけれど、どこかで聴いたことのあるような旋律が続いていくような印象を持ってしまった。
でも、本当に意欲的な公演。今後も上演機会の少ない作品を取り上げていただけると、オペラファンとしては嬉しい。

プログラムを読むと、台本はヴォルテールがラモーに与えたものの使用を考えていたようだが(ラモーのオペラデビュー前の作品《サムソン》、音楽は消失しており残念)、結局は別人のものを採用したとのこと。
ラモーとの繋がりを思うと、やはり嵐のシーンなどはお約束なのかなと(打楽器の迫力!)、サン=サーンス自身が自国のオペラ(フランス・オペラ)ということを意識していたようにも思える。
しかし、ワーグナーの呪縛から逃れるにはやはり難しいなと…。マスネも「マドモアゼル・ワーグナー」であったなと。
[PR]
by marupuri23 | 2016-02-22 00:04 | opera | Comments(2)
Commented by desire_san at 2016-04-03 22:40
こんにちは。
わたしもサン=サーンスの《サムソンとデリラ》をみたいと思っていましたので、興味を持ってブログを読ませていただきました。妖艶なデリラが登場してからオーケストラと歌手が調子を上げ熱気あふれる舞台になったというのは、ステレオでこの曲を着ていいてよく雰囲気が想像できました。私も同時代のマスネフランス・オペラが好です。マスネのオペラは、音楽やアリアにフランス音楽らしい旋律に美しさがあり大変魅力的だと思います。

私もマスネの傑作「ウェルテル」の感想と、マスネの音楽のイタリアオペラやワーグナーとは違う魅力について書いてみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。

Commented by marupuri23 at 2016-04-03 23:32
desireさん、拙ブログへのご訪問ありがとうございます。
新国立劇場《ウェルテル》、初日のご観劇だったのですね。お楽しみになりましたでしょうか、私もこれから観る予定です。マスネのオペラは魅力的なものが多く、これからも上演があると嬉しいのですが…。またゆっくりとそちらの記事を拝読させていただきますね。