ジョン・エヴァレット・ミレイ《ユグノー教徒》&《イェフタ》
ラファエル前派では、ミレイが好きなのだが、惹かれるのはフランドル絵画を模範としていたこともあるからだろうか。有名な画は《オフェーリア》をはじめ多々あるが、私のお気に入りは《ユグノー教徒》。
サン・バルテルミーの虐殺を背景とした堂々たるフランス・グランド・オペラ、悲劇の恋人たちである、カトリックのヴァランティーヌとプロテスタントのラウル。第5幕でヴァランティーヌが、ラウルの命を守るため、カトリックへの改宗を説得し、必死の思いで白いスカーフ(カトリックであることを意味する)をその腕に巻こうと試みる。しかし、ラウルは自ら死を選び、ヴァランティーヌも共に死ぬことを覚悟する…。そして、まさに虐殺の只中へという壮絶な最後で幕が降ろされる。
映画《王妃マルゴ》でもサン・バルテルミーの虐殺がクライマックスとなっていたことを思い出す。オペラのストーリーもダイナミックだが、音楽もロマン派に属するだけに、ボリュームがある。
ヴァランティーヌとラウルを歌うためには、ドラマティックな声質が求められるのだろう。音楽自体は好きだが、そこからは、この画で表現されているような若々しい、繊細な恋人同士の図を想像することが難しいので、少し残念…。
私もミレイが好きです。《オフェーリア》も素晴らしい作品ですが、この《ユグノー教徒》も魅力的な作品ですね。今回の『ラファエル前派 英国の夢』展では、『春(林檎の花咲く頃)』『ブラック・ブランズウィッカーズの兵士』『森の中のロザリンド』にミレイの美意識と優れた描写力が発揮されていて魅力的に感じました。
『ラファエル前派 英国の夢』展から特に印象に残った作品について感想と画家の魅力などについてレポートし、ラファエル前派という美術運動の意義について考察してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。
象徴主義に近づいていくと、アクの強さが出てきますので、ワッツなど好き嫌いの分かれるところだと思います。
また、そちらの記事も拝読させていただきますね。では、また!