新・音楽劇《テンペスト》H28,1,31

佐藤俊介&鈴木優人の共同企画で「21世紀のコンセール・スピリチュエル」と銘打たれた意欲的なコンサートを、三鷹芸術文化センターで。
コンセール・スピリチュエルの精神~新しいレパートリーと聴衆を開拓し、演奏家達に自由な音楽活動の場を与える~の再現を目指したそうだが、クラシック音楽の世界ではなかなか難しいコンセプト。そのためか、集客に苦戦したのだろう、内容は良かったのに、かなりの空席があったのは残念。

今回の公演は、シェイクスピア『テンペスト』の世界を、音楽劇(ダンス&演奏)に仕立てたもの。
『テンペスト』自体は上演機会が多く、演出も様々で、私もオペラや映画化されたものをはじめ、一年の間に2回違うプロダクションで舞台を観たことも…。
「復讐」から「赦し(人間の行為のなかで最も難しいものの一つだ)」を描いた『テンペスト』をはじめ、シェイクスピアの世界感の大きさは、古今東西どの劇作家よりもずば抜けて高いと思う。そのスケールに匹敵するような世界観を、演奏で創り上げており、センスの良さが光る選曲だった。

この公演の白眉は、なんといってもメシアンの2曲。
《世の終わりの四重奏曲》から「鳥たちの深淵」、クラリネット・ソロ(吉田誠さん)。その特性を最大限に生かしつつ、新たな可能性までも追求したような音の世界。舞台が暗転した中の演奏で、まさに深淵を覗き込む感覚に驚く。そして「イエスの不滅性への賛歌」。これはプロスペローの赦しと対応するもので、ヴァイオリン・ソロの演奏だったが、これを聴いて、なんという曲をメシアンは作るのだろうと、圧倒されてしまった。生と死の境目がどんどん薄くなり、溶け合わさっていく…。

この曲は、メシアンが大戦でドイツ人の捕虜になった際に作曲され、収容所にて初演された。それを知ったとき、心から納得した。やはり、そうした曲だ。メシアンを聴くのは初めてだったが、とても惹かれる。これからも聴いていきたいと思える作曲家に出会えたのは、嬉しいこと。

そして、C.P.Eバッハ!今までCDで聴いても、あまりピンとこない演奏が多かったが、佐藤俊介さん&鈴木優人さんによるヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ、最高だった。
C.P.Eバッハの才気とパッションがビシバシと伝わり、即興性も申し分なく、気分が盛り上がる。楽しかった~、こうした演奏をもっと聴きたい。C.P.E.バッハ・プロを是非!

佐藤俊介さんは、なんとジーンズにソックス!というカジュアルさ(演奏は期待通り見事)。他のメンバーも軽快な身のこなしで、《テンペスト》の世界を体全体で表現していた。
ヴィヴァルディからモラヴェック、メシアンまでとバラエティに富んだ内容、シリーズの第2弾も期待している。
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by marupuri23 | 2016-03-18 23:37 | コンサート | Comments(0)