Gesangvoll,mit innigster Empfindung~BEETHOVEN

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Gesangvoll,mit innigster Empfindung-「心からなる感動を持って、歌に満ちみちて」とベートーヴェンが示した第2楽章-ピアノ・ソナタ第30番を練習中である。

年度初めは、一年のうちで最も気忙しく、人の出入りもあって落ち着かない時期だ。特に昨年は部署が変わり、残業の日々…。仕事がともかく忙しく、慣れない人間関係も絡んで、殺伐とした気持ちに襲われることもあった。
そんな時、ちょうどレッスン中だったベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番の第1楽章前半、忙しくてなかなか弾く時間も取れないなか、この流れるような美しい曲を弾くと、「ああ、世の中にはこんなに美しい音楽が、世界があったんだよな…」と、心にメロディーが沁み込み、癒された。
そして、第1楽章後半-ホ長調からホ短調へと変遷し、まさにベートーヴェンらしい情熱に満ちた楽章には、気持ちを鼓舞され、励まされている。この対照的な2つの楽想の対比、2つで1つの楽章―それは「陰と陽」のように、柔らかさと激しさ、諦念と不屈が背中合わせとなり、人間というものの複雑さ、同じ人間が全く違う面を持っているということを、まざまざと感じることができる。

ベートーヴェン後期のピアノ・ソナタ。晩年の作品になるが、その世界は老いというものを全く感じさせない、どこまでも瑞々しい精神に満ちている。「枯れる」どころか、自分の世界をさらなる高みへ推し進めていることに驚嘆してしまう。
Gesangvoll,mit innigster Empfindung~第2楽章のヴァリエーションは、音楽でしか表現できないほどの想いに溢れている。
そう、unsterbliche Geliebte~「不滅の恋人」~ブレンターノ夫人(このソナタは夫人の娘に捧げられている)には、なんと相応しい楽章だろう。
不滅の輝きを放つこの楽章を弾き、味わうことのできる幸福を、今しみじみと噛みしめている。
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by marupuri23 | 2016-04-10 22:20 | piano | Comments(0)