ユゴー『ノートル=ダム・ド・パリ』に寄せて

 今日のパリからはもう得られそうにない、昔のパリの印象を味わってみたいとお思いになるなら、大祭日の朝、たとえば復活祭とか、聖霊降臨祭とかの夜明けに、全市をひと目で見わたせるような、どこか高いところにのぼって、暁の鐘声に耳をかたむけられることをおすすめする。―たしかに、これは耳をかたむける価値のあるオペラだ。
―いま聴くこの鐘の音は、パリの歌声なのである。だから、この鐘楼たちのトゥッティ(総奏)に耳をかしていただきたい。―この音楽のるつぼ、高さ百メートルの石のフルートの中でいっせいにうたうこの一万もの青銅の声、オーケストラそのものとなってしまったこのパリ、嵐のように鳴り響く交響曲、こうしたものより豊かで楽しげで、金色燦然たるものを、何かこの世でご存じかどうか、おっしゃっていただきたいのだ。
       ユゴー作『ノートル=ダム・ド・パリ』辻昶・松下和則訳
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 パリの、そしてノートルダムへのオマージュに満ちた『ノートル=ダム・ド・パリ』。私がその小説に惹かれたのは、ウィーンで活躍した作曲家、フランツ・シュミットのオペラ《ノートルダム》を通してだった。小説が基になっており、オペラ全体を貫くモチーフ(間奏曲として知られている)の旋律が、なんともいえない切なさで好きだ…。
小説自体がまさにオペラ的なストーリーなので(ロマン派ですから)、曲が合わさるとオペラのドラマチックなこと、このうえない。昨年、実際に間奏曲を聴くことができたのは嬉しかったが、まさかベルリン・フィルで聴く日がこようとは思わなかった。

 以前に全集で接したときは、とっつきにくい印象だったものの(全部読んだ記憶がなく、おぼろげ…)、最近文庫版が出たので再読すると、本当に魅力的。ユゴーはストーリーテラーとしても見事だが、うっとりするような詩的表現がいくつもあって、さすが大詩人だと…。
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by marupuri23 | 2016-06-15 22:18 | | Comments(2)
Commented by miya at 2016-06-27 00:26 x
まるさんご無沙汰しています。
v.ユゴーの文とっても素敵ですね。パリに行きたくなります。
また夏にオルガンでフランクのコラール(前は3番で今回は2番ですー)を弾くことになったのですが、私はどうしても音楽がどんどんちっちゃくなってしまいがちなので、スケールを大きくするために、素敵なイメージをみせていただきました~。
まだまだ弾けてないんですが頑張ります♪
シュミットのオペラも知らなくて・・・気になります。いつか聴いてみたいです。それではまたお邪魔させてくださいね。
Commented by marupuri23 at 2016-06-27 16:15
miyaさん、こちらこそご無沙汰しています。お変わりないですか?記事楽しんでいただけたようで、良かったです♪

発表会、フランクなのですか!曲がすぐに思い浮かばす申し訳ないです。実際に聴く機会があればなぁと思いますが…。練習、頑張って下さいね!!

オルガンといえば、昨日トン・コープマンのオルガン・リサイタルを聴いてきましたよ~。埼玉の所沢市民文化センターで、オルガンはリーガー社製のもの、凄いなぁと。こんな立派なオルガンがここにあるなんて、今ではちょっと信じられない感じです。また感想を記事にできればと思いますので…。

シュミットのオペラは本当にマイナーなので…すみません。どこかで上演があれば教えてほしいなぁ。その時は是非ご一緒にいかが~♪交響曲やオラトリオは日本でも演奏されることがありますが、私にとってはオペラの方が彼の歌としてより直截に聴こえてくる印象があります。

では、また楽しいお話しをいたしましょう!