ヴェネツィア・バロックのヒロインたち

e0036980_0124437.jpg
 先日はベルリン古楽アカデミー風ヴェネツィアの休日を味わったが、私がヴェネツィア・バロックと聴いて思い浮かべるのが、まずヴィヴァルディとカヴァッリの音楽だ。
 アラルコン指揮によるこのカヴァッリ(CD)は素晴らしいとしかいいようがない。初めの一音の響きから「ああ、これはヴェネツィアだ…」と、アンサンブルの紡ぎ出す音に陶然となってしまう。このたおやかで、情感に溢れた官能性は、まさにイタリア・バロックの真骨頂。カヴァッリの音楽が美しさに満ちているのはもちろんだか、またこうして新鮮な演奏によって現代に甦るのは嬉しい限り。

 カヴァッリのオペラを年代順に並べて、各オペラごとに抜粋するというスタイルで作られている。
 ヴェネツィアのサン・カッシアーノ劇場(史上初の公開オペラ劇場、1637年開設)で上演された《テティとぺレオの結婚》(1639年)がデビュー作で、そのオペラのヴィーナスのアリアから始まるのだが、「始めの一音から…」と書いたように、思わず「わぁ…」と溜息が出てしまう。歌い手とアーチリュート、テオルボ、オルガン、ガンバ等々10人程度のアンサンブルでの演奏だが、豊かでなめらかに歌われるカヴァッリの世界に惹きこまれる。
 ヴィーナスのアリアの歌詞は、ちょっと驚いてしまうほどセクシーで直接的な表現(かなり大胆。「私にキスを…、私の体に触れて…」。台本はO・Persiani)。さすが、ヴェネツィアだ…。
 あらゆる階層を対象としたという公開オペラ劇場ということからか、師であるモンテヴェルディのオペラをさらに大衆向けに推し進めたような雰囲気があり、また、音楽と劇とが自然に、密接に結び付いているところも魅力(アリアとレチタティーボの境目が曖昧)。
[PR]
by marupuri23 | 2016-07-03 00:16 | early music | Comments(0)