ベッリーニ《ノルマ》フェニーチェ劇場~H28.9.18
私はベッリーニの《ノルマ》と《カプレーティとモンテッキ》(これはヴェネツィアが初演だった)が特に好きなのだが、なかなか日本では上演されないのが残念。しかし、今月はこれらの作品を日本とヴェネツィアで聴けるという、またとない機会だった(が、日本での《カプレーティとモンテッキ》は旅行前の過密スケジュールでどうしても聴けず、無念。これを逃すともう一生、舞台で見れないかも…)。
ベッリーニによる、ソプラノとメゾソプラノの二重唱は、もう息を呑むほどの美しさで、間違いなく聴きどころの一つだが、メゾのロクサーナ・コンスタンティネスクとの相性もぴったりで、若々しいコンスタンティネスク(声はダークで好み)とベテランのデヴィーアによる対比の妙も、十分に魅せてくれた。(コンスタンティネスクは今年の東京・春・音楽祭で聴いているのだが、あまり記憶が無く…)
そして素晴らしかったのが、オーケストラ!指揮はダニエーレ・カッレガリ。序曲からベッリーニを聴いたという実感が沸き上がった。躍動感に溢れた堂々たる出だしに、これからの壮絶なドラマを予感させる緊迫感を併せ持っていて、それがいかにも「オペラ」の序曲にふさわしく、中間部分のハープを交えて奏でられるメロディーの甘美なこと…。この甘美な流れにうっとり、天上からのメロディーのように思え、溜息。このメリハリの鮮やかさに、感心しきりだった。
歌が入ってくると(特にデヴィーア)、そちらに合わせる形になってしまうのは、まあ当たり前だろうが…。なんといってもベルカント・オペラだ。
劇場を後にする際に、近くにいた方に感想を聞かれ「デヴィーアは素晴らしい」と口にしたところ、「そうだね」と盛り上がり、傍にいたイタリアマダムが(私は英語がしゃべれないとおっしゃっていたが)、うなづいて「ブラヴィッシマ(...だったと思う)」と言っていたのが、印象に残っている。国や言葉は違っても、こうして分かち合える感動がここにあることが、また嬉しかった。