ゴルドーニ劇場にて、お能を

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 かのゲーテが、ここヴェネツィアのゴルドーニ劇場(当時はサン・ルーカ劇場)を訪れ、実際にゴルドーニの舞台に接し、「これで私も喜劇を見たと公言することができることとなった」と書き残しているそうだ。
 ヴェネツィアの劇作家ゴルドーニは私のお気に入りで、オペラの台本作者として初めてその作品(ハイドン《月の世界》)に接したときには、もう度肝を抜かれてしまったほどである。その笑いのセンスは現代でも十分に通じるものがあり、数年前には三谷幸喜も取り上げている(この舞台も笑えた~)。ゴルドーニは、オペラの台本作家としても優れた手腕を発揮しており、そう、いつか、同郷の作曲家ガルッピと組んだオペラ《田舎の哲学者》を観たいな…。ガルッピの音楽も楽しくて洒落てて、(ブッファ!)好きだ。
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 だから、ヴェネツィアを訪れた際には、ぜひここも訪れて、できればゴルドーニの作品を観たいと思っていた。実際に行くことになり調べたところ、ちょうど、ゴルドーニの代表作「二人の主人を一度に持つと」がかかっている!演出上もコンメディア・デッラルテ(即興的な仮面劇)の形式を踏んでいるようで、これは必見、と勢いづいたものの、上演日程があわずに断念…。
 しかし、なんと能楽公演(こちらも仮面劇だ)があり、外国での上演を観る機会はそうはないだろうと、事前にチケットを購入。フェニーチエ劇場での公演後に、ゴルドーニ劇場へ向かうという、まさかのダブルヘッダーとなってしまった。
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by marupuri23 | 2016-09-28 23:09 | Comments(4)
Commented by miya at 2016-10-01 22:44 x
可愛い劇場ですねーー!
まるで時が止まったかのよう。
プラハのエステート劇場を思いだしました。(やはりミントグリーンの色なので)
ここで能楽というのも独特の雰囲気ですね。
イタリアとは仮面劇同士ネットワークもあるのでしょうか?
イタリアの仮面劇というと、アルレッキーノやコロンビーナが出てくるっていうイメージです。(漫画の知識しかなくて…)

今回オルガンの講習会では、イタリアオペラ全盛の時代の教会音楽を弾かれた方がいたのですが、びっくりするくらいメロメロドラマなミサ曲に唖然。教会の中まで当時はオペラ一色だったみたいです。文化背景をみるのも面白いですよね。
Commented by marupuri23 at 2016-10-02 21:30
この劇場、映像ではミントグリーン(素敵な表現ですね)に見えるのですが、実際には壁はクリーム色でした。この劇場もまた愛くるしい個性があり、寛げる暖かい雰囲気がありました。
フェニーチェもそうですが、舞台を観るにはこれぐらいの大きさが一番しっくりする気がします。時代の流れで仕方のないことですが、現代の劇場および音楽ホールは大きすぎるなと。昔の劇場は、声もオーケストラも無理なく音を響かせられるような大きさで、観客との距離も近くて…。現代では贅沢なことですね。

今回の巡回公演は、ルペルティ・ヴェネツィア大学教授が尽力されたそうで、仮面劇同士というネットワークがあるのかは分からないのですが、教授はイタリアの日本文学・演劇研究の第一人者でいらっしゃいますので、機会があれば仮面劇同士の類似点などの話も聴いてみたかったなと思います。今年来日されて、そうした講演もあったそうです。知っていれば行ったのですが、残念。今回の公演にも訳者として、舞台にご登場されていました。

私も本当(?)のコンメディア・デッラルテについては観たことがなく、もちろん知識も無いのですが、昔アビニョンに行った際に、ちょうど演劇祭の真っ最中で、広場で行われていたのが、そんな感じでした。パターンが決まっていて、オペラ・ブッファの原型でもあって、ロッシーニのセビリア理髪師とか、モーツァルトのフィガロなどもその延長上ですものね。

しかし、こちらと能では、当然のことながら同じ仮面劇でも全く路線が異なります。どちらかというと狂言に近いものではないかなと。能に近いのは、同じ仮面劇でもギリシア悲劇かなと感じます。能は悲劇(死)の世界ですから。
でも、悲劇に近いコンメディア・デッラルテもあるのかもしれませんが…。どうなんでしょう。

オルガン、イタリアオペラ全盛時代というとロッシーニからヴェルディあたりでしょうか?その辺りになるとメロメロドラマもというのも想像できます。ロッシーニもオペラ・セリアになると、凄くドラマチックですものね。メロメロドラマ・オルガン、聴いてみたかったです♪
Commented by miya at 2016-10-07 21:55 x
まるさん記事楽しく拝見しています。
夜のヴェネツィアも綺麗~ますます街が劇場のようです。
メロメロドラマなオルガン曲は、ロッシーニやベッリーニの時代かなと。よかったらPadre Davide da Bergamoで検索かけてみてください。youtube等で聴くとなんだか面白い神父さまですー。教会のミサがどんな雰囲気になっていたのか心配・・・。

お能は経正だったんですね。琵琶の名手だったことでも有名ですが、そういえば琵琶はシルクロードにゆかりの楽器だったなあと遠いつながりを思いました。
それではまた遊びにこさせてください。
Commented by marupuri23 at 2016-10-08 11:20
旅行記、お楽しみいただけているようで何よりです♪
miyaさんのスカラ座の記事も、すごく参考になります!コメント差し上げたいと思いつつ、拝見するだけで失礼しております...。

オルガン曲のご紹介、ありがとうございます。さすがパードレ様!?、オルガン機能をフルに活用して、音色が多彩、ユーモラスで楽しい~♪この時代の神父さまは、世俗的だったのでしょうね。ヴィヴァルディも一応、聖職者だったのですが、オペラなんてもろ愛憎渦巻く俗世界(^^;)ですものね。

《経正》は、「字幕が出ますよ~」と言われて日本語とイタリア語で同時並行に出るのかと思っていたら、そんなわけはなく、イタリア語だけでした…。謡本を持っていって良かったです。
琵琶の音色、その雑味のある響きが、すごく日本的な感じがします。西洋が「雑味」を消してしまったのとは違って…。

立花隆『武満徹 音楽創造への旅』の中に「西洋や中国では、楽器はより正確な音程が出せるように進化してきた。ところが、日本では音が曖昧だから、論理的な音楽を作ることができない。その代り、日本では、曖昧さ、音の出にくさを逆に利用して、一つ一つの音に複雑微妙な味わいの音色をつけて、それを評価するという方向にいったわけです。日本では『一音成仏』なんてことをいいますよね。一つの音の中にすべてをこめてしまう。ああいう考え方というのは、西洋には絶対にないものです。」

武満さんは、西洋音楽と日本について、考察に富む言葉をたくさん残していらっしゃいます。西洋音楽に興味があるものにとって、この本は必読と言ってもいいかもしれないと思っています。