アカデミア橋からの夕暮れ。泣きたくなるほど美しかった。
先月にヴェネツィアから帰国した後、偶然にもヴェネツィア出身の方(もちろんイタリア人)とお話する機会があった。
すっかりヴェネツィアに「やられて」しまった私が、「今まで訪れたなかで、最も美しいところだ」とため息まじりに告げたところ、相手は「自分は新宿と渋谷に初めて来た時、今まで見たこともない夜景(光の洪水)に感動した。とても美しいと思った。ヴェネツィアは古代の町で、夜も薄暗い。東京でみたあんな光は、初めての経験だった」とのこと。
また「地下というものがヴェネツィアには無いから、東京で初めて地下道を歩いたときは、今自分は地下を歩いてるんだ~と興奮した」そうだ。
私が、ヴェネツィアの持つ古代から変わらぬが故の美しさに感動を覚えるとのは逆に、彼は東京が持つ新しさに感動しているのだった。
ああ、これは完全にお互いカルチャーショックなんだなぁと、納得したようなしないような、複雑な心持ちに。
「そして日本に恋をしたんです。」と嬉しそうにサラッと言えてしまうのが、さすがイタリア人…。私は恥ずかしくて「ヴェネツィアに恋しているんです」とは言えなかった。