~AMOR,IO PARTO~ フェニーチェ劇場 H28.9.20

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~AMOR,IO PARTO~
  Dal《Lamento d’Arianna》di Monteverdi,alle《Fonti del pianto》di Vivaldi
~愛の神よ、私は去りゆく~
  モンテヴェルディ《アリアンナの嘆き》からヴィヴァルディ《涙の泉》へ
Lieselot De Wilde,soprano
Fabiano Merlante,tiorba

 ここは、フェニーチェ劇場内のアポロンの間と呼ばれる、ごく小さな広間。テオルボとソプラノのデュオ・リサイタルには最適だった。開演前の舞台には、ファツィオリピアノとテオルボが。今回はピアノの出番はなかったものの、音色を聴いてみたかったと(ファツィオリと聞くと、ヒューイットを思い出す)。ファツィオリが制作されているサチーレはヴェネツィアのすぐ近くだ。

 《AMOR,IO PARTO》は、カッチーニの《Nuove Musiche》(新しい音楽)から。そう、新しい音楽だ!モノディ様式、バロックそしてオペラの始まり...。今回のプログラムは、この新しい音楽スタイルに捧げるとのこと。この新しい音楽は、フィレンツェで産声を上げ、ヨーロッパ諸国に伝わり発展していった。そしてオペラは現在まで生き残っている。
 また、このスタイルはそれぞれの国と時代に合わせた表現で、内容を刷新していく(例えば、ドイツのリートなど)。そうした幅広い視点から組まれたプログラムは、イタリア&イギリスの楽曲を交互に演奏するもので、歌の迷宮をアリアンナ(アリアドネ)の糸が導いていくようなイメージ。
 カッチーニ自身がテノール歌手だったそうで、歌唱については感情の表現に重きを置き、特にテキストを重要視していたとのこと。これは、現在も全く変わりないものだ。
 
 イギリスからは、初期バロックのアルフォンソ・フェッラボスコ(息子)とニコラス・ラニアー、パーセル、そしてブリテンの《聖体のキャロル》まで。このブリテン、バロックの中で聴くと異質な感じだが(でも素敵)、それは幻想的で印象に残っている。
 イタリアからはカッチーニ、メールラ、モンテヴェルディ、ヴィヴァルディという錚々たる顔ぶれ。メールラの《Folle,e ben che si crede》(そんな風に思うなんて)は愛らしくて好きな曲。しかしカッチーニとモンテヴェルディは、morire(死)そして苦しみといった歌詞が初めから満載で、濃い情念のほとばしりに「うわー」と思ってしまう。いえ、やはり凄いのですけれど…。
 ヴェネツィア生まれのカプスペルガーのリュート曲は、歯切れのよいトッカータで楽しかった。

 アンコールは、カッチーニ《アマリリ麗し》。このプログラムには、まさにふさわしい幕切れ。この馴染み深い、美しいメロディーと、初めてのイタリアの体験が重なり、思わず目頭が熱くなった。私のイタリアのオペラへの旅も、これで閉幕だ。
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by marupuri23 | 2016-12-10 23:56 | イタリアへの旅  2016 | Comments(0)