迷宮都市、ヴェネツィア

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―ヴェニスをその街にふさわしく愛する方法はただひとつ、その街にしばしば触れさせる機会を与えることであり、そのためにはぐずぐずとその街に居据わって長居し、どこかに飛んで行って、また舞い戻ってくることだ―『郷愁のイタリア』ヘンリー・ジェイムズ著/千葉雄一郎訳
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 ヘンリー・ジェイムズは私の好きな作家。私も実際にここを訪れて、彼が愛したヴェネツィアの面影が、今でもそのままに感じられるのは嬉しかった。ヴェネツィアでは、夜も音楽鑑賞のため出歩いていたので、必然的に3日間とも22時過ぎまで街中を横断していたことになる。
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 こうしたメインストリートは夜でも艶やかで、雰囲気を十分に味わうことができるのだが、私の泊まっていた宿はサン・マルコ広場の裏手にあり、迷いやすい場所。夜になると、細い路地が入り組んでいるため、位置が分かりにくくなり、人っ子一人いない薄暗い路地(しかも一人がやっと通れるぐらいの狭さ)をドキドキしながら駆け抜けることが数回あった。
 でも、そうした迷宮的なところこそ、今まさにヴェネツィアにいるのだということを実感した瞬間でもあった。ボーッとオレンジのライトで照らされている誰もいない狭い路地と、小さな橋のかかったいくつかの運河を超えて宿に戻るのだ。
 ヘンリー・ジェイムズの言う通りに、いつか、あの迷宮へまた舞い戻ってきたい。

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by marupuri23 | 2017-02-12 22:46 | イタリアへの旅  2016 | Comments(0)