バルトーク 歌劇《青ひげ公の城》 カンブルラン指揮:読響定期演奏会(H29.4.15)

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       「夜は全てお前のもの...お前が一番美しい...
          もう、いつまでも夜だ...、夜...、夜...」
              (《青ひげ公の城》終結部より 台本:ベラ・バラージュ)

 今だに「ああ、もう一度聴きたい」と余韻の残る、圧倒的な演奏で素晴らしかった《青ひげ公の城》。
 バルトークは室内楽(ヴァイオリン・ソナタなど)では何度か実演に接して感銘を受けてきたけれど、オーケストラ(オペラ)作品は初めて。映像で昔に観ているが実演で接してみると、こんなにも凄い作品だったとは目から鱗。緊張感みなぎるドラマに引き込まれ、魂が異次元に吸い込まれていくような心持ちになった。この作品、大好きだ。

 バルトークは、伝説や寓話でよく知られるこの物語を、耽美で倒錯的ともいえる愛の形に置き換え、男女の濃密な心理劇として、くっきりと鮮やかな輪郭で描いていく。その背景は、禁じられた扉を開くたびに見えてくる、どこまでも幻想的な美の世界だ。
 全編を通して現れる血の動機に感じるのは、滴る鮮血の氷のような熱さ。冷え冷えとした流れの中から、時折泡立つように浮き上がってくる色彩が、どんどん鮮やかになっていき、胸が締め付けられる。そして徐々に無色に近づき、最後は永遠の闇だ...。

 ユディットはそれまでの人生全てを投げ打ち、青ひげ公に嫁いできた。すべてを知ってはならないという青ひげ公の懇願を受け入れず、「口づけをおくれ...」という愛の求めにも応じず、「すべての扉を開けてほしい」と要求する。
 愛という名のもとに(愛しているがゆえに)、相手を支配しようとする女と、その望みを受けいれようとする男。でも、女がその望みを果たそうとするその時に、関係は逆転してしまう。男女の愛は、かくも謎めいて不可思議なもの…と、改めて感じたエンディングだった。
 
 これが演奏会形式であったのは幸いだったな、と。
 観客それぞれが自分のイマジネーションを自由に膨らませられる。この壮大で幻想的な世界を舞台で表現するのは、至難の業だと思う。

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by marupuri23 | 2017-04-17 14:19 | コンサート | Comments(0)