ラヴェル/ジョン・アダムズ ギルバート指揮:都響定期演奏会(H29.4.17)

 評価の高いジョン・アダムズ《シェへラザード.2》を、世界初演時と同じ指揮者、ソリストで体験できるということもあって期待していたコンサート。真打ちはこの曲なのだろうが、前半でのラヴェル《マ・メール・ロワ》が、素敵だった。
 精巧なガラス細工でできたおとぎの国の主人公たちが、動くたびに光を反射して煌めくような音の響き、繊細な表現。聴いているうちにだんだんと童心に還っていくようで、終曲では子供の頃大好きだった世界の民話の本(人魚とか、魔法使いとかも...)までもが浮かび上がり、懐かしさで胸が一杯になってしまった。
 ラヴェルは私にとって付き合いの長い作曲家。10代の頃、勧められるままに《亡き王女のためのパヴァーヌ》《ソナチネ》とレッスンで弾いてから、その独特なニュアンスのある音楽に夢中になった。特にピアノ協奏曲に心奪われてしまって、2楽章を弾きたいがために、スコアまで購入してしまったことを思い出す。

 そして《シェへラザード.2》。アダムズの作品は十年以上前に東京で上演されたオペラ《エル・ニーニョ》で初めて接し、一昨年には東京オペラシティで《サクソフォン協奏曲》を聴いた。洒脱でエキサイティングな流れ、オーケストラをフル活用した構築的な音楽が魅力的で、さすがだな、と。《クリングホファーの死》も、ぜひMETライブビューイングで観たかったが、残念。

 《シェへラザード.2》は、ソリストの気迫溢れる演奏と指揮の息もぴったりで見事だった。
 曲としての完成度も抜群で、過去から学んだという彼自身の語法が強く感じられる(ミニマムに流れない)のが、とても好ましい。音楽に対して真摯であることの証明だと思う。
 でも、ここで表現しようとしているテーマを考えると―この曲は美しすぎる、と。現在の「シェヘラザード」たちが置かれている状況は、夢物語とは程遠く、さらに過酷さを増しているのではないだろうかと。
 昨年に聴いたバーンスタイン《カディシュ》が、当事者の叫びが脳裏に蘇り、胸になにか重いものが覆いかぶさるのを感じながら、会場を後にした。

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by marupuri23 | 2017-04-19 23:57 | コンサート | Comments(0)