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イタリア映画祭2017《どうってことないさ》(Che vuoi che sia,2016)

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 イタリアで話題になった作品とのことで(日本未公開)上映会へ。
 監督&主演はイタリアで数々のヒット映画に主演している、ローマ出身のエドアルド・レオ。
 脚本もレオで、物語は近代都市であるミラノ(これ重要だな、と)が舞台。フリーランスのエンジニアであるクラウディオ(レオ)がクラウドファンディングで資金を調達するため、目標額に達したら恋人のアンナとの究極のプライベート映像(夜の営み)を中継すると、酔った勢いでネットに載せてしまう。その後の騒動を描くコメディなのだが、現代社会への風刺がかなり効いていて、鋭い考察を苦い笑いで包み込んだもの。見終えた後に、身につまされるというか、他人ごとではないかも、という漠然とした危機感を覚えてしまった。 
 主人公の置かれている境遇(非正規雇用)も現代性があり、映画のテーマとなっているインターネットから受けている恩恵は計り知れないが、負の側面にスポットを当てると、これほど恐ろしいものはないな、と改めて感じてしまう。

 上演後の質疑応答でレオが登場。「映画は撮る人に似ている。タランティーノも、スコセッシも、ティム・バートンも、受ける印象と映画が一緒だと思う。だから私の映画も私に似たものになっているはずだ」とのこと。自分で脚本を書いたので、台詞は一字一句全て覚えているそうだ、才能あるなぁ。映像でも、洒落が入っていて凝っているし。

 アンナを演じたフォリエッタは、真面目な教師役にぴったりの演技。コメディに華を添えるのは、美しい女優だけではなく味のある脇役も大事。アンナの伯父を演じたロッコ・パパレオの芸達者なこと、登場するだけで面白さを醸し出せるのは凄い!

by marupuri23 | 2017-04-29 23:26 | 映画 | Comments(0)