アンジェラ・ヒューイット The Bach Odyssey 1 (H29.5.29)

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 やっと、ヒューイットのバッハを実際に聴ける。それもオール・バッハプログラム(2日連続!)なんて夢のよう、と高ぶる思いで紀尾井ホールに。
〝The Bach Odyssey —バッハ遍歴”の第一弾は2声のインヴェンションと3声のインヴェンションを軸としたプログラム。ピアノを多少なりとも弾いてきたものにとっては、馴染み深い曲集だ。
 
 この記念すべきバッハ遍歴は《幻想曲ハ短調BWV906》から。嵐の前触れを感じさせるエネルギッシュな曲(半音階が効いていて、カッコいい!)を颯爽と奏でるヒューイットに、初めからノックアウト状態、凄い!
この曲は、C.P.Eバッハがソナタ形式を開発するのに、影響を与えたに違いないとのこと。すっかりこの曲に魅せられてしまい、コンサート後にCDで繰り返し聴いている状態。
そして《イタリア風のアリアと変奏BWV989》を経て、《2声のインヴェンション》《3声のインヴェンション》へ。

 私も2声は全曲、3声は半分程度弾いたが、易しい学習用の曲と認識されがちなこの曲集を、ヒューイットはなんと表現豊かに聴かせてくれたことか。一曲一曲の個性がしっかりと打ち出されており、声部の弾き分けはもちろん、装飾音も美しく、丁寧に吟味を重ねた解釈であることが伝わってくる。
 生き生きとして、曲それぞれが色合いの異なる宝石のような輝き。それはヒューイットと同一化しているファツィオリのピアノの音色でもある。現代のピアノなのに金属的ではなく、まろやかで、フォルテピアノのような響き。
 「たった1ページ弾くためには、どれほどの思索、注意かつ知性が必要とされるか理解していただきたい」とレクチャー(DVD)で語っているが、このような真摯な取り組みが豊かな実を結んでいることに、本当に感銘を受けた。

 そして圧倒的だった最後の《幻想曲とフーガ イ短調BWV904》。オルガン曲を想定していると思われる曲で、バッハを聴く醍醐味(もちろんフーガだ)を満喫。無限に続くとも思われる上昇ループに、気分が最高潮に盛り上がる。ヒューイットのフーガは本当に素晴らしい。お父様がオルガン奏者だったそうで、幼少から身に付いた感覚があるのだろう、オルガンを連想させる広がりを感じさせてくれたのも見事。
 今後も度々日本で聴けるとは、嬉しい限り。

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by marupuri23 | 2017-06-25 23:15 | コンサート | Comments(0)