王宮内のサバウダ美術館へ。王家が収集した絵画コレクションだけあり、質が高いのはもちろん、量もかなりのもので、大変見応えがある。また、ご当地もの(画家)が充実しているのが嬉しい。展示室も新しく明るい設え、分かりやすい配置で工夫が凝らされている。そして何よりもガラ空きという、鑑賞にはもってこいの環境である。
ここでまず惹かれたのが、モルタナ(ロンバルディアとピエモンテの境目)出身で、主にミラノで活躍し、ヴェルチェッリ(ピエモンテ)で亡くなったベルナルディーノ・ラニーノ(1528年~1581年)のもの。
テンペラ画で、鮮やかな色彩とドラマティックな表現、ここでもマグダラのマリア(香油壺と思われるものが側にある)の表情に惹かれてしまう。悲しみに満ちた表情の美しいこと…。聖カタリナの側には王冠&壊れた車輪が。ラニーノはガウデンツィオ・フェッラーリの弟子でレオナルド・ダ・ヴィンチからも影響を受けているそう。しかし、レオナルドというよりもフランドル絵画を彷彿とさせる雰囲気だ。
静かで、穏やかな王宮内。こうした場所で、長い時を経たいにしえの絵たちと出会うときを、至福と呼ばずして何と言おうか。