七月大歌舞伎『山吹』『天守物語』

歌舞伎座で夜の部を鑑賞。
今月の歌舞伎座はオール泉鏡花作品で、鏡花ファンの私には嬉しい限り。しかも、鏡花作品に精通している玉三郎丈の監修で、願ってもない企画。鏡花の描く幻想世界は、歌舞伎の世界にも通じるものがあって、相性が合うはずだと思っていました。特に、魔界のお姫様は、女形ならではの浮世離れした雰囲気で演じられるのにぴったり。そして、なんといっても台詞が魅力的。雅やかな、美しい日本語。台詞自体が艶やかな着物をまとっているよう。

戯曲中の最高傑作と言われる『天守物語』、主人公の天守夫人富姫(魔界の女主人)は玉三郎の当たり役、なんの不足もありません。でも、相手の海老蔵が役にはちょっと不足でしょうか。気概に溢れた若々しい青年という役作りは分かるのですが、一本調子で深みがないのです。恐れと驚愕に始まり、富姫に魅せられ、人間界と魔界の間を揺れ動く…、そのさまが伝わってきません。そのためか、玉三郎との掛け合いが、しっくりこない。2人が恋に落ちる場面で、台詞も美しい、見せ場の一つと思われるところがあるのですが、なんとそこで観客席から笑いが…。漫才のオトボケシーンのようになっていて、私は眩暈がしてしまいました。そんなことが数回。

でも、演出、衣装ともに美しく、鏡花の世界を堪能することができました。
また観たいもの。
[PR]
by marupuri23 | 2006-07-28 23:57 | 日本伝統芸能 | Comments(0)