ハイドン《月の世界》~“さかしまの世界”コメディア・デラルテ

北とぴあでの鑑賞でした。
このオペラ、まずゴルドーニの台本がすごいと思いました。名前は有名ですが、実際の作品には初めて接したことになります、度肝を抜かれました。この笑いのセンスというか、世界の捉え方、モリエールと合い通じるものがあるのではないかと思います。イタリア演劇の改革者というのも、深くうなづけました。
この《月の世界》、コメディア・デラルテの精神ー世界のパロディ化、価値観がひっくり返るというところを、もうそのまま表現していますね。来年は生誕300年にあたり、日本でもゴルドーニ関連のイベントが企画されているとのこと、ぜひ他の作品にも接してみたいと思います。

この機知に富んだ台詞に付けられたハイドンの音楽が、これまたぴったりはまっていて楽しい。モーツァルトの師とも言えるハイドン。モーツァルトのように、人の心の奥底までも、見てはならないようなものまで表現してしまう深みは感じられないのですが(時代背景もあるでしょうが、もしくは私にハイドンの音楽が分かっていないからそう感じるのか)、とても上質なものを感じます。そんなにかしこまっていなくて、居心地の良い、もてなし上手のレストランに来た感じ。作品として、よくできていると感心しました。

演出は、この作品の楽しさを変な方向へゆがめてはいないようでしたが(あの悪夢のような《セルセ》を思い出します)、流行を追った、安易な方法で作品の印象までもチープにしてほしくありません。この作品は演奏会形式でも、十分に楽しさが伝わるものと思いました。

オケは、以前のラモーではフランス・ロココの雰囲気が感じられませんでしたが、今回は演奏しやすい曲だったのでしょうか、悪くはない印象です。キビキビとした溌剌さ、鋭さが加わると、ピリッと薬味が効いて更にブッファの醍醐味を味わえたように思えます。歌手の方、森さんは守ってあげたくなるような可憐さですね、ひたむきな歌唱が心に残りました。野々下さんは安定した歌唱、もっとも重要なブオナフェーデ役のベッティーニ、芸達者振りに拍手です。

こうした公演を、よくまあ北区独自で企画運営していると感心。こうした内容のもの、新国立劇場も見習ってほしい…。
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by marupuri23 | 2006-12-02 23:58 | opera | Comments(0)