新国立劇場《アルバート・ヘリング》

昨日にブリテン《アルバート・ヘリング》を鑑賞。
新国立劇場オペラ研修所の公演ですが、とても研修公演とは思えない質の高さでした。本国でも、なかなか上演されないような、マイナーなオペラだと思うのですが、こうしたものを取り上げたところにセンスの良さを感じますし、結果、見事な成果を挙げていたと思います。チームワークの勝利といったところでしょうか。音楽劇として、キャストの動きもよく考えられており、演出が冴えてました。舞台美術、衣装もこのオペラにマッチしていて、遊び心のある、なかなか洒落たもの。歌のアンサンブルもまとまっていて、よく練られたあとが窺えました。

そして「やっぱり、ブリテンのオペラはいい作品だ」というのが、私の感想です。ブリテンの最も有名なオペラ《ピーター・グライムズ》は、大変好きな作品ですが、楽しめるというよりも、心の奥底へ突き刺さって、痛みを覚えるような、重く圧し掛かるものがあります。ブリテンの視点というのは、弱者への意識というか、集団へ帰属しようと思っても、そこから外れてしまう、マイノリティーへの共感があるような気がして、そこに惹かれます。
この《アルバート・ヘリング》は、青年の成長物語といった趣。少々皮肉と風刺を織り交ぜながら、軽快なタッチで描かれた短編小説のよう。その後味は、爽やか。そして心にポッと灯火が点ったような暖かさが残りました。

ブリテンの音楽、悪いわけがありません(私は好き)。オケも良かったと思います。心に残ったのが、主人公のアルバートが、自分の人生を求める心境を歌う曲。「希う心」がそのまま音楽になっています、共感。
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by marupuri23 | 2007-03-10 23:56 | opera | Comments(0)