ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展

「静物画」に焦点を当てた、珍しい企画の展覧会。オランダ・フランドルを中心とした16C~18Cの作品に接することができるというので、楽しみに出かけてきました。

私がこの時代の「静物画」で連想するのは、まずヴァニタス画。ここでも多くの作品を見ることができました。私は古楽好きなので、ヴァニタス画に描かれることの多かった楽器へ目が惹かれます。ヴァイオリン、リュート、バロックギター、チェロ、リコーダー…、珍しかったのが、弦が11本あるリラ・ダ・ガンバ(^-^;)
楽器はさておき、描かれた静物にはもちろん意味、背景があり、それを知ることで、当時の世界観や風俗、生活感を肌で感じられるのがいい。
どれも精緻に描き込まれており、手に取れるよう。ここまでくると本当に職人芸。

中でもベルガモ出身で、楽器を得意としたバスケニスによる《静物》は斬新。リュートの上に溜まっている埃までも指の跡で表現し、こちらを「ハッ」とはせる仕掛けになっています。ちなみにこのリュートはアマティのもの。どんな音色だったのでしょうか。
北イタリアでは、自然を観察する伝統があり、オランダやフランドルの支流となって静物画がさかんだったそうです。

また、トロンプ・トイユ(だまし絵)が流行。今でもヨーロッパの古城にあったりします。ネーデルランド総督の鷹狩りに使う狩猟用具を描いたものなどは、本物そっくりの大きさ、色形。鷹狩りは、身分の高い王侯貴族しか行なえなかったそうなので、こうした絵を飾るということは、一種のステイタスシンボル。

e0036980_22553827.jpg今回の展覧会の目玉、ヤン・ブリューゲル(父)による〈青い花瓶の花束〉
40種類、140個以上の花、咲く季節も異なる花々の束…、これを実際に花瓶に飾ることは不可能。絵でしか表現できない、夢想の花束の美しさ。
この花の一つ一つは入念に書き込まれており、実際に対象物を現地まで見に行ったというブリューゲルの観察眼が生きています。花の中では中央のクロバナアイリス、とてもシックで素敵。
ただ美しいだけではない、美しさの影にひそむもの、それをテーブル上に描かれたハエが表しています。
このバランス感覚、凄いなぁ。


いかに本物そっくりに描くか、そして本物よりも美しい…、画家の腕の見せ所。
静かに見えて実は奥に潜んだダイナミックな世界に、好奇心を刺激された展覧会でした。
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by marupuri23 | 2008-08-13 23:01 | 美術展 | Comments(0)