バッハが描くエルサレム入城~《BWV182》

昨日の記事で挙げた『ヨーロッパ美術を読む旅』、ルター派(信仰は聖書のみに基づくものという考え)のバッハによる教会カンタータを聴く上でも参考になります。
バッハ研究の権威である磯山先生も著書で述べていらっしゃいますが、「カンタータを本当に聴いてゆくためには、内容に向かうことこそが必要である、というのが私の信念だ。音楽の表面的な美しさに接して満足するのではなく、それらが目指すもの、伝えようとするものにまで、心を向けていきたい。それによって音楽の美しさがいっそう身にしみて感じられ、感動も2倍3倍に高まることは間違いないと、私は思っている。」
これは西洋絵画に置き換えても通じますね。

バッハの器楽曲は大好きで自分でも弾いていますし、多少は親しんではいるものの、カンタータとなると壁を感じてしまいがち…。でも、バッハが心血を注ぎ込んだ仕事ですから、素晴らしいものであることは間違いなく、この宝の山に手を伸ばさないのはもったいない。
ということで、相変わらずの亀の歩みでボチボチと聴いております。内容(歌詞)をつかみながら聴くと、これが面白い(自分なりの理解ですが)。

e0036980_16232151.jpg《BWV182 天の王よ、あなたをお迎えします》を聴いていますが、受難を控えてエルサレムに入るキリストの様子が絵画的に表現されており、情景がよく伝わってきます。
まず、ロバに乗ったキリスト一行がこちら(エルサレム)へ向かってくる情景、ゆったりとしたロバの歩みを器楽のみで表現(第1曲)。だんだん近づいてきます、そして入城。ここで群集の歓喜を合唱が表現(第2曲)。


これはジオットの絵画そのままの情景、バッハの手腕に感心。

第3曲からあとは一人称の「私」の歌詞となり、受難のキリストに従う意思を歌いあげていきます。音楽の構成は数字の象徴なども用いて綿密に作り上げられていています。
感じるのは、やはり歌詞と音楽は一体ということ。喜びを歌う明るいアリアでも「受難 Leiden」という歌詞のくだりのみ暗いトーンになって、こちらをはっとさせたり…。

結論→バッハのカンタータは内容把握から入った方が、面白い。
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by marupuri23 | 2008-08-24 15:05 | early music | Comments(0)