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 来日の度に聴かずにはいられない、楽しみにしていたヴェニス・バロック・オーケストラの公演へ。
 今回はマンドリン奏者のアヴィタルがソリスト。曲はもちろんヴィヴァルディがメイン!ヴィヴァルディがマンドリンのために作曲した協奏曲を実際に聴くのは初めて。というか、マンドリンは愛好者も多いポピュラーな楽器でありながら、オーケストラとの共演を含め、演奏自体を聴くこと自体が滅多にないので、そうした意味でも、マンドリンの響きに触れるのを楽しみにしていた。

 ヴェニス・バロックの音、鳴った瞬間からみるみる空気が変わっていくような味わいはいつもながら。明るく艶のある、ヴェネツィアン・サウンドとはこのこと。軽やかでありながら、そこはかとない哀愁が漂い、夢うつつの境地に誘ってくれる。イタリア(ヴェネツィア!)の風を感じるがごとくで、すっかり気持ちは憧れの地へ。
 オーケストラの精度としては、前半は今一つだったかもしれないが、このオケ&曲でそれをいうのは全く野暮というもの。エヴィソンの合奏協奏曲はポリフォニックな味わいで、オケ自体の表現力もアピールしようとする心意気が伝わってきた。
 
 そしてアヴィタル、これはもうマンドリンしゃない!と思わせてしまうほどダイナミックでエキサイティングな演奏。まず、音自体がよく響いて、こんなに輝かしい音が出るのかと驚いてしまった。そしてオーケストラ相手に一歩も引けをとらない音量と迫力。表現の幅が広くて、繊細なピアニッシモの甘やかさにもうっとり。マンドリンでここまでできるなんて!
 最後に演奏されたヴィヴァルディ《四季》〝夏”は、ヴェニス・バロックの十八番中の十八番だが、聴くたびにこの曲自体の斬新さに打たれてしまう。当時はさぞかし衝撃的だったろうと納得がいく、奇跡の一曲。
 一番気に入ったのは、パイジェッロのマンドリン協奏曲。オペラ・ブッファを想い起させる、生き生きとした躍動感があり、とっても魅力的だった。雰囲気がヴェネツィアというより、やはりナポリっぽくて、楽しいこと!

 マンドリンを情熱的にかき鳴らすアヴィタルは、とても素敵で、これで愛の歌でもうたわれようものなら、全ての女性がコロッと参ってしまいそう。若さの勢いがあっていいな、と。

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