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 今回の旅で最も印象に残ったのは、この秋、スカラ座博物館で開催されたばかりの展覧会《Maria Callas in scena~Gli anni alla Scala》。絶対に行こうと思っていたが、期待以上で感激。
 ジョルダーノのオペラ《フェドーラ》でのカラスと衣装を見て!このカリスマ性溢れる美しさには、もう溜息しか出ない。素晴らしくて、もう会場中を撮りまくりである(ミーハー気分丸出し)。しかも、BGMにはスカラ座でライブ収録されたカラスの歌声が…、オペラ好きとしては感涙もの。もちろん、ジョルダーノによるアリアも。《アンドレア・シェニエ》からの《亡くなった母を》…。私はジョルダーノには惹かれてこなかったが(アンドレア・シェニエしか知らず)、この《フェドーラ》での眩いカラスを観た今では、《フェドーラ》を聴かねばなるまい、と。
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 《フェドーラ》の舞台写真も。フランコ・コレッリ(!)と一緒。まあ、なんという豪華な競演でありましょうか。展覧会の見所はまだまだある、《ラ・トラヴィアータ》《アンナ・ボレーナ》《ヴェスタの巫女》《マクベス》《ドン・カルロ》…思い出すとクラクラしてしまう。

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 ミラノ・スカラ座によるヘンデルの前日に、楽しみにしていたイル・ジャルディーノ・アルモニコの演奏会へ。2日続けてミラノでバロック音楽、しかも以前から聴いてみたかった古楽アンサンブルとは、なんという幸せ。
 曲はルネサンスからバロックにまたがった音楽が主体となっていたが、韓国出身の作曲家ユン・イサンによるフルート・ソロ曲(《中国の絵》から《羊飼いの笛》)も入っているという、一捻りあるプログラムはさすがである。
 まずは、嬉しいことにヴェネツィア・バロックの作曲家から。ヴェネツィア音楽、つまりサン・マルコ聖堂関連となると、あの黄金のモザイクの柔らかな光に満ちた空間が浮かび、それだけで気分が高揚…。ダリオ・カステッロの《現代的なソナタ・コンチェルターテ》第1巻より2曲。アントニーニ無しでの演奏だったが、まぁエッジが効いて、丁々発止の火花が飛び散らんがごときの鮮やかな演奏が見事!奏者皆がリズムに乗ってよく動くこと、ここまで身体全体を動かしながら演奏しているアンサンブルは初めて観た。その生き生きとした躍動感に、ただただ「うわぁ、上手いなぁ、素敵だなぁ、いいなぁ」(こんな感想でごめんなさい)と聴き惚れていた。
 そしてヴィンチェンツォ・ルッフォ、ヤーコプ・ヴァン・エイク。ユニークだったのは、カルロ・ファリーナの《Capriccio Stravagante》で、フルートやトランペットなど様々な音の模倣が次から次へと流れていき、中にはil gatto(猫)の鳴き声を模倣した曲もあって、驚くほどモダンな感覚のバロックだった。
 ヴァネツィア系の作曲家としては、他に ビアッジョ・マリーニ、タルクィニオ・メルーラとツボを押さえた流れで、トリはやっぱりヴィヴァルディのフルート・コンチェルトで決まりだ。身をくねらせながら(!)フルート(リコーダー)を奏でる(というか吹きまくるという感じで凄い)アントニーニ、鋭角的な響きのクールな、でも熱いヴィヴァルディで、ここまでエッジが効いている演奏はなかなかないだろうと。
 観客はあっさりした反応の方と、熱狂的な拍手を送る方と分かれていたように感じる。私はもちろん大拍手で興奮気味。是非、アンサンブルごと日本に来ていただき演奏してほしい。
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 ダル・ヴェルメ劇場は1872年に開場した歴史的な劇場である。レオンカヴァッロ《道化師》が初演されたのはここ。スカラ座とはまた異なる風格を感じさせる。内部は近代的な改装がされており、劇場とはいっても馬蹄型のオペラ劇場でななく、コンサート会場といった感。スカラ座からも比較的近いが(10分ぐらい)、夜11時ぐらいになると辺りはさすがに人が歩いていなくて、帰りはちょっとビビってしまい、小走りで宿へ戻った。

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