カテゴリ:美術展( 24 )

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 今月初めまで開催されていた《ティツィアーノとヴェネツィア派展》で、昨年のヴァティカン&ヴェネツィアで出会って惹かれたマルコ・パルメッツァーノの名前を見つけたときは嬉しかった。今回の美術展では、さすがヴェネツィア派、ティツィアーノやベッリーニ、ティントレットという巨匠のほかにも、様々な画家がひしめいていて層の厚さを感じずにはいられない。
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 ここでのマルコ・パルメッツァーノは2点。どちらもヴィチェンツァのキエリカーティ宮絵画館からのもの(ヴィチェンツァ、行きたかったな...)。この作品もマルコ・パルメッツァーノらしさがよく表れているけれども、ヴェネツィアで観たものは、色彩と聖人たちの佇まいが際立って美しく、目を奪われてしまった。
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 構図はジョヴァンニ・ベッリーニの《ピエタ》に明らかに由来しているとのことで、ヴァティカンで観たその《ピエタ》を。こうしてみると、ジョヴァンニ・ベッリーニは、ただただ素晴らしい。

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能《猩々》(上)と《羽衣》(下)をモチーフとした掛袱紗。
松に掛けられた羽衣(迦陵頻伽風)は鳳凰の翼のよう。

 以前、日本刺繍に取り組んでいた際、クラスメイトが将軍家の掛袱紗(だったと思う)を図案に起こし、再現していたことがあった。掛袱紗の写真集を見せてもらったが、その細やかさと華麗さといったら、この上ない見事さで溜息が出たものだ。
 今回の展示を知り、母も日本刺繍をしていたので、興味津々。親子連れだって東京国立博物館へ。
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 能や故事にまつわる吉祥文様の他、まさに「おしどり夫婦」の鴛鴦(これがまた綺麗な鳥...)、二股大根とネズミと俵という面白い組み合わせに(全て吉祥文様)、武家では軍配のモチーフが多いのにも、なるほどと。
 定番の文様、「宝づくし」や「貝合わせ(貝桶)」なども豊富なのが嬉しい。宝づくしの中では「隠れ蓑」がなんだか好きで…(これは「蓑亀」を連想させるからだろうなと。文様では亀の尾っぽの毛ならぬ藻がフワフワして可愛くって...)。
 どれを見ても、お互いに「凄いね~」としか言い合えない。あまりに高度な技ゆえ、現代でも再現するのは困難だろうと思う。ともかく、日本刺繍は同じ個所に何度も何度も重ねて打っていくのだ。それによって立体感が生まれる。しかも糸を撚るところから始めるので、気が遠くなる...。私にとって憧れの文様は鳳凰、若冲みたいに艶やかなハート柄の鳳凰も楽しいかな、と想像してみてはうっとり。
 お正月にふさわしい華やかな展示で、楽しませてもらった。


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 2001年に庭園美術館で観たカラヴァッジョの衝撃は忘れられない。
《聖ヒエロニムス》と《法悦のマグダラのマリア》(この時来ていたものは、真筆と認められていないようだが)が強く印象に残っている。観る側を絵の中にぐっと引き込む、ドラマチックな構図とリアルな質感に「これは凄い」と驚いた。光と影の織り成すドラマに魅了され、これが「バロック」なんだと。確かに、「ルネサンスを超えた」一人がカラヴァッジョだ。
 あれから15年、再び日本でカラヴァッジョ展が開催されたことが、何より嬉しかった。
 今回は、この《バッカス》の瑞々しい官能性に溜息。滑らかな肌の質感から、若々しい、暖かな肉体の息遣いが伝わってくるようで、見るたびにうっとりする。もうすでにカラヴァッジョと分かる素晴らしさだ。果物の描写で魅せる静物画としての表現も見事で、「美」の理想図のよう。
 カラヴァッジョの作品は、昨年はドイツでも観れて、さらに今年はローマでもいくつか観ることができたので、本当にありがたい年だった。
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 ヴァチカンでの《キリストの埋葬》。しかし、ここはもう人が多すぎて…。ボルゲーゼ美術館は人数制限をしているので、ゆったりとカラヴァッジョと向き合えて、よかった(でも、美術館そのものと美術品の数々が凄いので、さしものカラヴァッジョも…)。

~今年訪れた美術展~
★いつもながら捉えどころのない指向だなぁと。観たい気分が盛り上がるのは、ファッション関係。ファッションと時代は密接に繋がっている。トワル・ド・ジュイ展も、当時の思想が窺えて面白かった。

肉筆浮世絵 美の競艶
ボッティチェリ展
ラファエル前派展
すばらしき大原美術館コレクション
村上隆のスーパーフラット・コレクション
カラヴァッジョ展
PARIS オートクチュール-世界に一つだけの服
出光美術館50周年記念 美の祝典
西洋更紗 トワル・ド・ジュイ展
ポンピドゥー・センター傑作展
ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
鈴木其一展
クラーナハ展
ダリ展
ゴッホとゴーギャン展

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 9月に入り、風や大気はすでに秋の気配を纏っているけれども、実家の朝顔は、まだ鮮やかな色合いの蕾を付けていて、その透き通るような美しざで、目を楽しませてくれる。
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 この秋、楽しみにしているのが、鈴木其一の展覧会だ。国立劇場の緞帳が彼の屏風絵から取られたもので、印象に残っている。
 酒井抱一や尾形光琳、俵屋宗達は接する機会が多いけれども、其一をメインに据えた展覧会については、都内では記憶にない。酒井抱一の弟子なので、作風に通じるものが感じられ、抱一好きの私にとっては、嬉しい企画。会期が短いので、早めに観に行きたい。
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ヴェネツィア・アカデミア美術館で開催中の企画展「アルド・マヌーツィオ」展。大好評につき7月31日まで会期延長とのこと。

 「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展が開幕、アカデミア美術館のマリーニ館長による講演会へ。
 館長に就任してからまだ7か月ということで(バッサーノが専門だそうだ)、「皆様の方が、よくご存じかもしれませんが…」と笑いを誘うジョークなども交えつつ、美術館の歴史やコレクションの紹介、そして改修後の展示状況について、映像を見ながら詳しい説明を聞くことができた。
 さらにヴェネツィア派が生まれた背景やその特徴、そして後世への影響までといった幅広い内容を含んでおり、美術の素人の私にも分かり易い説明で納得。
 また、コレクターを通して読み解くことも可能という視点には、歴史の深さを感じる。ドメニコ・グリマーニ枢機卿が最も有名なコレクターだそうで、ボス(フランドル絵画)を3点も所蔵しているとは初めて知った。ヴェネツィアでボスが観れるなんて、「へぇ~」と感心…。ヘンデルのオペラ《アグリッピーナ》の台本もまた、グリマーニ枢機卿(ヴィンチェンツォ・グリマーニ)だった。このオペラは台本がとてもよくできていて、だからストーリー的にも面白いのだけれど、いやさすがの家系だと、また感心。ヴェネツィアのグリマーニ家は、当時、劇場を所有していたので、オペラとの繋がりも当然深い。

 「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展自体は未見だか、同会場の「ルノワール展」よりもまだまだ空いている印象。混雑を避け、東京の夏の最中、イタリア旅行気分で(^^;)ゆっくりとヴェネツィアの色彩を味わいたいと思う。
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早くも今年度の展覧会の目玉である「カラヴァッジョ展」が開催。
2001年に庭園美術館で観たカラヴァッジョの衝撃は忘れられない。光と影で描かれた劇的なドラマに息を吞み、惹きこまれて、時を忘れた。
あの日から、彼は私にとって忘れがたき画家の一人に。それから15年、再び日本でカラヴァッジョ展が開催されることになり、嬉しい限りだ。

ちょうど今、カラヴァッジョと同時代に活躍した作曲家スヴェーリンク(オランダ)のチェンバロ音楽を聴いている。
カラヴァッジョが「ルネサンスを超えた男」ならば、音楽では誰が当てはまるのだろう。「アムステルダムのオルフェウス」と言われたスヴェーリンク、その音楽はすでにバロックの完成形だ…(ファンタジア、素敵)。
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昨年、ベルリンを訪れた際に絵画館でのカラヴァッジョを楽しみにしていたが、貸出し中だったのか無い!…残念だったが、ポツダムのサンスーシ公園内の絵画館にて《聖トマスの不信》を観ることができた。
画はすぐに分かったが、展示(保存)状態が無造作な感じで「本当にカラヴァッジョなんだろうか…」と少し心配に。リストを見ると、確かにカラヴァッジョだが、直接窓からの光線が当たって観にくいこと…。
ただ、かなり間近で観ることができ(高さが目線に近い)、画家の息遣いまで感じられるような気がしたのは良かったなと。

日本での展覧会は混雑が予想される。混まないうちに早めに行かなければ(と思うが、なかなかそうもいかない…)。
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先日の休日に渋谷へ。イギリスのTVドラマ映画版《SHERLOCK/シャーロック 》から、《英国の夢 ラファエル前派展》へ。図らずもヴィクトリア朝繋がりとなってしまった。
ラファエル前派では、ミレイが好きなのだが、惹かれるのはフランドル絵画を模範としていたこともあるからだろうか。有名な画は《オフェーリア》をはじめ多々あるが、私のお気に入りは《ユグノー教徒》。
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マイヤベーアのオペラ《ユグノー教徒》に題を取ったといわれるこの画は、私にとって理想的なオペラの再現。
サン・バルテルミーの虐殺を背景とした堂々たるフランス・グランド・オペラ、悲劇の恋人たちである、カトリックのヴァランティーヌとプロテスタントのラウル。第5幕でヴァランティーヌが、ラウルの命を守るため、カトリックへの改宗を説得し、必死の思いで白いスカーフ(カトリックであることを意味する)をその腕に巻こうと試みる。しかし、ラウルは自ら死を選び、ヴァランティーヌも共に死ぬことを覚悟する…。そして、まさに虐殺の只中へという壮絶な最後で幕が降ろされる。

映画《王妃マルゴ》でもサン・バルテルミーの虐殺がクライマックスとなっていたことを思い出す。オペラのストーリーもダイナミックだが、音楽もロマン派に属するだけに、ボリュームがある。
ヴァランティーヌとラウルを歌うためには、ドラマティックな声質が求められるのだろう。音楽自体は好きだが、そこからは、この画で表現されているような若々しい、繊細な恋人同士の図を想像することが難しいので、少し残念…。
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あとのお気に入りは《イェフタ》。こちらもヘンデルのオラトリオが想い出されて嬉しい。イェフタを題材とする絵も多いが、私にはこれがイメージ的にぴったりとくる。
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サントリー美術館で開催中の「天才陶工 仁阿弥道八」展へ。
江戸時代後期に活躍した京焼の名工で、関西では「仁阿弥」と呼ばれ、今も人気があるそうですが、作品にはあまり接したことがありませんでした。
ですが今回接してみて、「天才」と言われるのも納得の、本当に魂のこもった良い「仕事」をしていると感じ入りました。
陶芸作品で、こんなに胸がジーンと熱くなるなんて、思いも寄らず…。

「魂のこもった」というのは、いわゆる彫像的作品といわれる置物等から最も感じられます。
思わず手のひらで抱き上げたくなるような、つぶらな瞳の兎(色絵兎置物)、こちらを見上げる無垢な表情が愛おしい子ヤギ(白釉山羊手焙)、今にも動き出しそうな柔らかい毛並の子猿(色絵猿置物)。この子猿、見えない底までもしっかりと形作られていることに驚きました。
底は見えないのだから…という発想はゼロ。
本人は当たり前に見えないはずの底まで造っているのでしょうが、そこに、モノを造っていながらもモノを超えたものを造るという気概が強く感じられて見事。そして、像のどれもが自然体で優しく愛らしい。
思わず微笑んでしまいます。

展示のメインは茶道具で、江戸時代後期の華やかさが感じられるものが多いです。
「写し」から独自のデザイン、ヨーロッパの作風を取り入れたものまでと幅広いので、「これ素敵」と思えるものも多く、自分の好みが分かるなぁと…。
これだけの作品がまとまって観られるのは貴重で、良い体験でした。
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今年は東京国立博物館の「博物館に初もうで」から始める美術館詣で。私にとっては縁起物の一つ。
今年の干支である「未」にまつわる様々な遺物を集めた、毎年恒例の展示。
「未=羊」は西洋、東洋通じて、人間に身近な動物であり、神への捧げものとして考えられてきた。それだけに今回は地中海から東アジアまで幅広い内容となっていた。
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印象に残ったのが、東洋館の画像石「羊の頭部」(後漢時代 1~2世紀)。見てすぐ「羊」と分かる!
画像石とは、墳墓周辺に立てられた石でできた祠だが、東洋館には画像石のセクションがあり、様々な図像を見ることができる。日本でもお馴染みの、八咫烏や九尾狐、餅つきをする兎もいる。…とはいっても、兎がついているのは不老不死の薬。そして能の演目にもある西王母。
日本との繋がりを改めて感じる…。世界は繋がっている。

羊は漢時代の墓にしばしば飾られ、文字が吉祥の「祥」と通じるところから、めでたい意味を持つとされたそう。発音が陰陽の「陽」にも通じ、「死からの再生」「子孫繁栄」につながるとも考えられたとのこと。
そんな昔から陰陽はあったのか…。陰陽には鍼灸や食べ物選びでもお世話になっているのだけど(ちなみに私の体質は「陽」)。

ここ最近は、台湾での故宮博物館を訪れた影響からか、そちらの美術に関心が高まっている感じ。
それにしても、東洋館は空いているので、落ち着いて鑑賞できるのが嬉しい。
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20世紀における舞台芸術の華ともいえるバレエ・リュス。芸術としてのバレエを復権させ、現代バレエへの道を拓きました。
プルーストは「こんなに美しいものは今まで見たことがない」と…。もちろん、『失われた時を求めて』にもバレエ・リュスについての言及があります。
バレエ・ファンならずとも、美術、音楽好きにとっては見逃せない展覧会。コスチュームを中心として、舞台についての解説も充実しており、まさに20世紀前半の美術、音楽について俯瞰できるような構成。大いに楽しみました。

まずは、パリ・シャトレ座においてのデビュー公演、「ロシア・シーズン」から。この公演でパリ中の話題をさらったのでした。
《アルミードの館》《イーゴリ公》クレオパトラ》《カルナヴァル》《シェエラザード》《ジゼル》《火の鳥》《ナルシス》《ペトルーシュカ》《青神》《タマール》《牧神の午後》《ダフニスとクロエ》…
このセクションだけでもバレエ・リュスの代名詞とも言えるオリジナル作品が並びます。
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