カテゴリ:コンサート( 39 )

e0036980_2339684.jpg
先日、生演奏付きという贅沢なドイツ・リートを味わう講座へ。この暑さを爽やかに和いでくれるような、清々しい曲の数々に触れることができて、リフレッシュ。

今回はゲーテの詩による曲が中心。ゲーテ以前のゲーテと言われるヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデから、ハイネも取り混ぜて。
一番印象に残ったのが、ハイネとシューマンの組み合わせによる《詩人の恋》から《美しい5月に》。
初めて聴きましたが、その美しさに圧倒されてしまいました。その昔、シューマンの《子供の情景》からいくつか弾きましたが、その生涯からあまり良いイメージがなくて、積極的には聴いてきませんでした。目から鱗。
詩行の最後の韻が、ピタリと嵌まって、もちろんのことですが詞だけ読んでも、響きの美しさが感じられます。

ドイツ・リートの起源はミンネ・サング。そして時代の流れで啓蒙主義、疾風怒濤を経てロマン派へ。ロマン派はゲーテがいたからこそ。
ゲーテといえば『ファウスト』そして『若きウェルテルの悩み』(両方ともオペラになっている…)。

ゲーテついては『若きウェルテルの悩み』や、わずかな詩にしか接したことがありませんが…、自然科学者としての視点が作品にも表れているのにはさすがだと思わされます。私にとっては、自然描写の見事さがまず印象的でした。

そしてゲーテとモーツァルトによる《すみれ》。これはリートというよりは、まるでオペラ・アリアのよう。
また有名な《野ばら》をシューベルト、ヴェルナー、ブラームスと聴き比べ。詩はやはり韻や強弱のリズムがよく組み立てられています。ブラームスの《野ばら》は初めて。ブラームス好きにとっては、実際に聴くことができて嬉しい驚きでした。

これを機会に、リートもより楽しく味わえそう。ドイツ語の美しさに触れることのできたひと時でした。
[PR]
e0036980_0481838.jpg
先日、ラモーやモンドンヴィルのグラン・モテを聴きましたが、なんだか今年はフランス・バロックづいているのでしょうか、先月は宝塚歌劇のミュージカル《太陽王~ル・ロワ・ソレイユ~》に。
太陽王と称されたルイ14世の生涯を描いたフランス・ミュージカルで、日本初上演。2005年の初演以来、フランスの最高興業記録を打ち立てた作品です。

ウィーン・ミュージカル《エリザベート》も宝塚歌劇で日本初演でしたが、宝塚バージョンとなったように、こちらもオリジナルから変更があるとは思います。ですが、なにしろダンス主体の作品、バレエ好きだった「太陽王」のイメージとマッチしています。それこそ太陽王が愛したコメディ・バレは今で言うミュージカルに近いものですし…。
太陽王を演じた柚希礼音さんのキレあるダンス、スタイリッシュで見惚れてしまいました。

狂言回しはモリエール。この辺りもツボでしょうか。リュリは出ませんが…。ルイ14世の女性遍歴を中心としてストーリーが進みます。ストーリー的には娯楽大作の王道ですね。第1幕のマリーとの悲恋は、ラシーヌを想い起こさせるもので、せつなさが。心に残りました。

インパクト大だったのは、道化役とも言えるムッシュー(太陽王の弟フィリップ)。女装を好み、アクセサリーで着飾っていたという話そのままの出で立ちにはうなりました…。紅ゆずるさんのコミカルな演技で、軽薄さを持ちながらも世の中を皮肉る姿が冴えてました。
e0036980_0483078.jpg
それにしても、観客の一体感は凄い!ミュージカルの幕が下りても、フィナーレのレビューが続き大喝采。たっぷりと宝塚を満喫した舞台でした。
[PR]
e0036980_053763.gif
先月のジャルスキー&ヴェニス・バロック・オーケストラに続き、今月はゾマー(ソプラノ)&コンチェルト・ケルンの公演へ。2か月続けてバロック・プロを味わえる幸せ。しかも好きなバッハとヘンデルという組み合わせ。
同年同国に生まれながら、方向性の全く異なる作曲家ですが、その違いも聴き比べて楽しむことができる、贅沢なプログラムでした。

今回の公演、ともかくオケの上手さに感心。今までCDでは聴いているものの、実際に聴くのは初めて。
シャープで引き締まった音の流れに、統一感もバツグン。これはコンサート・ミストレスである平崎さんの力によるところも大きいでしょう。エネルギッシュな演奏スタイルに、心奪われてしまいました。また、一人一人のプレーヤーの上手さも伝わってきました。チェロとコントラバスによるバッハの《結婚カンタータ》3曲目アリアの伴奏、駿馬が掛けていく描写の鮮やかなこと!
細かなバッハのフレーズも颯爽と弾きこなしていて、ハラハラすることなく聴くことができるのは凄い。
オケの通奏低音も見事。そして弱音の繊細さにうっとり。

前半は主にヘンデル。「劇場の人 ヘンデル」というところから、オペラアリアを中心にカンタータ導入部、そしてモテット。
ヘンデルの曲からは、いつもバロック絵画を連想させられます。例えばカラヴァッジオのような…。光と影のような静と動の対比、そして劇的な一瞬を切り取って鮮やかに表現する手腕は共通。
ルネサンスの調和から、バロックの劇的さへ、そして最終的にバロック的誇張の果てのような、カストラートの超然とした声によるオペラに行き着くのは、当然の帰結のようにも思えるのです。もちろんヘンデルのオペラでもカストラートは大活躍でしたが…。

ヘンデルで最も印象に残ったのは、オペラ《テセオ》からメデアのアリア「私は死ぬ、けれども復讐します」。これぞバロック・オペラの真骨頂のような激しい技巧的なアリア。しかもメデアは魔女ですし(^^;)
オケの伴奏が素晴らしかった!怒りの情念を切れ味鋭く表現していて、さすがと思わされました。

そしてバッハ《結婚カンタータ》。明るく和やか、門出を祝う幸福感が満ち満ちて、こちらも穏やかな恵みを感じることができました。
欲張っていえば、「教会の人 バッハ」ということなら世俗カンタータではなく、教会カンタータを、そしてヘンデルにも負けず劣らずの劇的表現の教会カンタータ(例えばチェンバロ協奏曲にもなっているBWV146《われらあまたの苦難を経て神の御国に入らん》とか…)だと、対比がよりくっきりとしたのではと思いますが、今回の編成では難しいですよね。
またの機会を楽しみにします♪
[PR]
e0036980_23504727.jpg
先ほどコンサートから帰宅しましたが、いまだ興奮冷めやらず…。
これぞ醒めながら見る夢のようで、ジャルスキー(カウンターテナー)の歌声に陶然となりました。
もちろんヴェニス・バロックもバロックオペラの陶酔を感じさせる名サポート、さすがというほかありません。こんなにうっとりとさせられたのは久し振り。

今回の来日公演はヴェニス・バロックと共演&ヘンデルとポルポラのアリアということで、喜んで出かけたのですが、聴けて本当に良かった…。
ジャルスキーは6年ぶりに聴きましたが、その当時は方向性が定まっていないような、まだ若いという印象が強かったです(当時の感想が残っていました)。
そこからここまで大成長を遂げていることに感嘆。自分のスタイルを確立し、すでに腰の据わった風格が感じられます。
研鑽を積まれてきたのでしょう、その姿勢は同世代として「自分も頑張らねば…」と思わされるものでもありました。本当にお見事でした。

ヴェニス・バロックは今までカルミニョーラとの共演で、ヴィヴァルディを中心に、実演でもCDでも幾度となく接してきましたが、なんといっても緩徐楽章が素晴らしく、いつもまるでヴェネツィアのゴンドラに揺られているような味わい…。
今回もそうした抒情的な曲での共演が、ジャルスキーの歌と相性ぴったりでした。様式は崩さす、その中でなんと豊かな抒情性を発揮していることか!
ポルポラによる愛のアリアの数々…、
“Si pietso il tuo labbro"「これほど憐み深く貴方の唇が」,
“Alto Giove"「いと高きジョーヴェさま」
愛を歌い上げるポルポラのアリアが、ここまで美しいとは思いませんでした。これはジャルスキーという人を得て、蘇った美しさであることに間違いないでしょう。

人を得て、今、時を超えて蘇るポルポラの世界。
その美に触れられたことが一番嬉しかったですし、得難い体験ができたことに感謝です。
[PR]
e0036980_1181759.jpg
今やご近所シネコンで、英国ロイヤルバレエ団の中継上映(実際には前夜の中継録画)が見られるようになったとは、いい時代になったなぁ…と思いながら、初めての上映体験へ。

《ジゼル》はとりわけ好きで、私にしては珍しいのですが、上演がある度に観に行きたくなる作品。数年前のパリ・オペラ座での来日公演では思わず涙ぐんでしまうほど感動してしまいました。
そこまで惹きつける魅力とは、何でしょうか…。
自分を裏切った恋人のためにジゼルは死に至ってしまうのですが、精霊となった後も恋人を死から守ろうとする健気さが胸を打ちます…。
生前の可憐な村娘ジゼルから、精霊となった幻想的で儚いジゼルを見比べる楽しみも大きく、白い精霊のコール・ド・バレエ(群舞)の迫力と美しさも息を飲むほどで、見どころは尽きません。
音楽の良さも外せないポイントですね。

ジゼルは、今シーズンからプリンシバルとして入団したロシアのナタリア・オシポワ。
このオシポワの素晴らしいこと!表情の豊かさはもちろん、全身の表現力が抜きんでていて、強い魅力(生命力)を放っています。「女優ダンサー」と呼びたいほど。
いやがおうにも目が惹きつけられてしまいます。

そのオシポワのパートナーは、キューバ出身のカルロス・アコスタ。
こちらもスター・ダンサーですが、包容力のある端正な踊りで、オシポワを支える安定感もバツグンでした。

中継上映の案内役はダーシー・バッセル。
特典映像としてリハーサルの様子や振付家や演出家へのインタビュー、幕間の会場の様子などが映し出され、実際に劇場にいるような雰囲気も味わえます。
これがライブビューイングの良いところ♪
日本にいながら、こうして最新の舞台に接することができるのは有難いですね、楽しみが増えました。
e0036980_1146732.jpg

[PR]
今年は体調優先の一年で、仕事をこなすので手一杯。ですので、音楽や舞台・美術鑑賞も例年より少なくなりました。ただ、時間の合間にできる読書は増えたかな。
来年も状況はあまり変わらないと思いますが、ストレスを溜めないよう、リフレッシュしながら過ごしていきたいと思います。とは言っても、やりたいことは沢山。
さらに自分の力を生かしていくことができれば、幸せなこと…。

簡単に鑑賞生活の振り返りを。

【音楽・舞台】
昨年は室内楽ばかりだったのに、今年はオーケストラのコンサートに5回。第九で締めくくりができたのは最高でした。

オペラは新国立劇場《夜叉が池》。朝日では酷評されていましたが(一緒に行った友人も×とのこと…)、オペラに何を求めるかですよね。鏡花好きの私にとっては満足できるもので、十分楽しませてもらいました。ほか、METライブビューイングで《皇帝ティートの慈悲》《鼻》へ。ショスタコーヴィチ作曲の《鼻》は久々に面白かったオペラでした。
これは何と言っても演出の勝利。まさにロシア・アヴァンギャルドのプロパガンダポスターな感じ。赤と黒を基調とした配色にキリル文字、フォトモンタージュの組み合わせ、オペラの内容ともマッチして、冷戦時代を思い起こさせました。

他は能が1回に、歌舞伎座での新作歌舞伎《陰陽師》へ。
 《陰陽師》は、新歌舞伎座に行きたがっていた母が喜んでくれたので良かったかな。「また行きたい」とのこと…(はい分かりました)。
しかし、歌舞伎座内の日本画はやはり錚々たるもので凄いですね。速水御舟の画の前でお弁当を食べられるなんて(^^;)

またミュージカル《ノートルダム・ド・パリ》へ。ユゴー原作のミュージカルでは《レ・ミゼラブル》が有名ですが、これもユゴー原作のもので、1998年にパリで初演されたヒット作。
私はこの話が好きで、映画版もいくつか観て、シュミット作曲のオペラを聴いたりしました。プティ振付のバレエもいいですし。カジモドの純愛に泣けます…。

【美術】
今年は待ちわびていたターナーや、ルネサンスの巨人ダ・ヴィンチ、ラファエッロ、そしてフランスの至宝「貴婦人と一角獣」と世界的にメジャーな名の展覧会に接することができ、これだけでも充実感たっぷりでしたが、一番感動したのは、エル・グレコ展。
国内史上最大という回顧展でしたが、ほぼ50点全てがエル・グレコの画で、それはもう素晴らしく圧倒的でした。スペインで見たい…。

現在美術では会田誠さんの「天才でごめんなさい」展。好き嫌いが分かれますが、これぞ現代美術(人間と対立している)ではないかと。現代の日本を反面鏡のように、まざまざと見せてくれるように思えます。画は本当に見事ですし。パブリックアートへの意見には笑え納得しました~。

日本美術では、興福寺仏頭展が良かった!とはいっても仏頭ではなくて、木造の十二神将立像。日本にいながらこれを見ていなかったなんて!見事な造形にすっかり度肝を抜かれました。阿修羅像や仏頭以外にもこれほど名品があるなんて、興福寺に恐れ入りました。

【その他】
他にも映画(そんなに見ていませんが)や本などありますが、省略。
良かった映画では《ゼロ・グラビティ》、本では山口晃『ヘンな日本美術史』(目から鱗)、ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』(ヨガ関連で)が印象的でした。
小説では、久々に村上春樹の新作を読みました…。昔は本当に村上春樹を愛読していたので。

古典や『失われた時を求めて』の続きを読みたいと思いながら、やはり今年も過ぎてしまいました…。今読んでいるのは『インフェルノ』ですし。

最後になりましたが、どうぞよいお年を!
[PR]
東京都交響楽団の第九演奏会へ。一年の締めくくりとして、やはりこれ以上の曲は無いのではと年々思うようになりました。

e0036980_224882.jpg震災の年にも同様に聴くことができましたが、被災の方々をお招きしたもので、大野和士さんの渾身の指揮による演奏は緊迫感に溢れた感動的なものでした。会場の一体感は今でも忘れることはできません。
それから、敬遠していたベートーベンの曲を聴くようになり、徐々にその世界に共感するようになりました。自身が年を重ねることで、よくもわるくも経験を重ねてきたからでしょうか。

生きていく上での「苦悩」「葛藤」、それを乗り越えていこうとする試み、そして全てを受け入れようとする諦念さえも感じさせる曲は、まさに「ベートーベン節」ともいえるもの。
弦楽四重奏も、20代でアルバン・ベルク四重奏団のコンサートで聴いた時は、理解できなかったというのに…。
年を重ねることで音楽の聴き方が変わることを実感しています。

第九を聴きながら、自然と今年一年に想いを馳せ…。今年は精神的に辛いこともありましたので、なおさら心に沁みました。辛さを受け入れ、なお生きていく。よりよく生きるために、前に進めと励まされました。

第九という曲は、聴く人それぞれにそれぞれの想いを抱かせる曲。
今年の締めくくりとして、これ以上の曲はやはり望めません。
[PR]
今年は2年に1回のピアノ発表会があり、ブラームスを2曲(6つの小品Op118より第1番、第2番)を演奏。ブラームスは私の音楽の故郷、一番愛着のある作曲家です。ブラームスを演奏できることが喜び。

今はベートーヴェンのソナタ1番。ベートーヴェンは《エリーゼのために》を子供時代に弾いて以来…。
ソナタを弾いてみて、「バッハを勉強してきて良かった」と実感。ベートーヴェンもバッハを学んできたのですし、実際に弾いてみるとやはり繋がっていることが分かります。これは嬉しい発見でした。
ですが先生からは、「ロマン派(ブラームス、ショパン)の弾き方が抜けていない。」とご指摘が。今までロマン派ばかりでしたので、弾き方を切り替えなければ。バッハ(バロック)とも違うんですよね…。

[今年聴いたコンサート]

1.東京文化会館 ニューイヤーコンサート2012
2.NYメトロポリタンオペラ ライブビューイング7作 ヘンデル、ヴィヴァルディ、ラモー《エンチャンテッド・アイランド 魔法の島》
3.アルカント・カルテット (バッハ、クルターク、シューベルト)
4.河村尚子 ピアノリサイタル (オール プロコフィエフ)
5.クン=ウー・パイク ピアノリサイタル (ベートーヴェン、ブラームス)
6.ウィーン・フォルクスオーパー 《メリー・ウィドウ》
7.シュツットガルト・バレエ団 《じゃじゃ馬慣らし》
8.ウィーン版ミュージカル エリザベート20周年記念コンサート
9.河村尚子&C.エルツェ 歌曲の森(シューベルト、ウェーベルン、ブラームス、プーランク、R・シュトラウス)
10.ジャン=ギアン・ケラスwithベルリン古楽アカデミー (ヴィヴァルディ、カルダーラ)
11.ベルリン古楽アカデミー  (J.S.バッハ、テレマン)

e0036980_23511249.jpg最も感慨深かったのが、ウィーン版ミュージカル《エリザベート20周年コンサート》。
初演からもう20年経ってしまったのですね。
私がこのミュージカルを知ったのは10年以上前、宝塚が初演した後でしょうか。
評判を聴き、舞台は一度も観たことが無かったのですが、ウィーンのオリジナルキャストのCDを聴いてみたところ、音楽はもちろんストーリーも素晴らしく、すっかりハマってしまいました。

死神(Der Tod)を、エリザベートの誘惑者として登場させ、物語を進展させていくという構想が斬新でした。エリザベートが自立する際に、高らかに歌いあげる《Ich gehoer nur mir》(私は私だけのもの)は、女性ならば皆共感できるのではないでしょうか。
悲劇のパプスブルク家皇妃を描いた、いわば「お国もの」のウィーンミュージカル、最高です。

今回のコンサートは、本場ウィーンでの《エリザベート》キャストで構成されたオリジナルプロダクション。久し振りに聴きましたが、初めての時と同様に、胸が締め付けられるほどの感動を覚えました。
今回は日本語に加えドイツ語でのアナウンスがあり、「では、《エリザベート》をお楽しみ下さい」と流れて開演。ちょっぴり、アン・デア・ウィーン劇場にいるような気分?になりました。こうした雰囲気作りも嬉しいものです。

現在は20周年を記念し、ウィーンのライムント劇場で上演中です。
e0036980_010117.jpg

[PR]
バロックオペラでお馴染み、ジャルスキー(カウンターテナー)の来日リサイタルへ。
数年前、NHKで「人気の若手歌手」とシャンゼリゼ劇場でのリサイタルが紹介されていたことを思い出します。華麗なバロックの装飾技巧曲を披露していました。
映像ではヘンデル《アグリッピーナ》でのネローネが印象に残っています。これがはまり役といった感で、超絶技巧曲を軽々と歌いこなしているのには驚きました。

私にとっては、そうしたカストラート的な、華麗な装飾歌唱(バロック)のイメージが強い方なのですが、今回のリサイタルは「ヘンデルからアーンへ」という流れで、バロックの華麗な装飾技巧曲は始めの3曲(ヘンデル)のみ。
リナルドのアリア「風よ、旋風よ」ではダ・カーポの部分で、彼らしい華やかな装飾を付けて歌い上げており感心。しかし、ヘンデルにはピアノ伴奏が違和感大…。難しいと思います。

あとはモーツァルト、シューベルト、フランス歌曲と続いていきます。オペラで活躍しているだけあって、表現力は豊か、オペラティック。
しかし、調子が今一つだったのでしょうか、高音域は伸びやかで軽やかな美声なのですが、中低音域になるとハスキーになり芯の無さが目立ってきて心配。ファルセットなので、低音域はコントロールが難しいのでしょうか。
そのハスキーさとベルカント的ではないストレートな歌唱で、後半のフランス歌曲は軽やかなシャンソン風に聴こえてきて…、これはこれで心地良く…。
全体的にはその声を含め、まだ少年の雰囲気を感じさせます。
私の好みを言わせていただくと(^-^;)、大人の成熟さを感じるカウンターテナーが好き…(ダニエル・テーラーは良かった…)。

次回は彼の活躍の中心であるバロックオペラorバロック・プロ(+古楽器オケ)での来日なると、嬉しいです。
[PR]