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 夏本番のこんな暑い季節には、南イタリアを感じさせる熱い音楽を。
 ドイツのテノール、カウフマンによるイタリア歌曲集は、ナポリ民謡からイタリアン・ポップスまでと幅の広いもので、《帰れソレントへ》《カタリィ、カタリィ》等の曲からは、誰もが思い浮かべる「これぞ、イタリア」な雰囲気を味わうことができる。
 オーケストラはシチリアのパレルモ・マッシモ劇場管弦楽団、これが思わず笑ってしまうほどのコテコテのイタリア節とでもいおうか、歌謡ショー的な劇的演奏で凄いなぁと。肩の力を抜いて、ショー鑑賞気分で楽しませてもらった。
 カウフマンは明るく抜けるような声ではないけれど、ダークな声質を生かした情熱的な歌いっぷりで、曲の盛り上げ方が上手く、嵌まっている感じ。

 収録曲では《Il Canto》が素敵だった。2003年にパヴァロッティのアルバムのために書き下ろされたもの。《タイム・トゥ・セイ・グッバイ》と雰囲気が似ていて、切なさと新たな旅立ちを併せ持っているところがいい。
 この曲の最後、Vieni,vieni via con me!のフレーズを、こんな感じで歌われたら(答えはもちろんSi!Certo!いえ、この方のファンではないのですが...)クラクラしてしまうかも…。

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by marupuri23 | 2017-07-19 22:37 | CD | Comments(0)
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 マックス・リヒターが英国ロイヤルバレエの新作《ウルフ・ワークス》のために作曲したもの。
 ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』『オーランドー』『波』をモチーフとし、小説ごとに曲が分かれている三部構成。

 私はウルフ『ダロウェイ夫人』には、それはもう心を強く揺さぶられて、感涙したほど(大好きだ)。書法としてはプルーストに似ているが、もっと繊細な表現で抒情豊か。女性ならではの息遣いが感じられるのが、また素晴らしく、想い出すと胸がまた熱くなってしまう。
 『オーランドー』は16世紀から生き続ける、男性から女性へと変化したオーランドーが主人公。設定がSFっぽくもあるので、近未来的なイメージが浮かぶリヒターの作風と小説とのコラボが最も嵌まっていた。主題は変容ということで、曲も《ラ・フォリア》(狂気を意味する)による変奏曲。想い浮かぶのはバロック時代の有名なコレッリ版だが、これがリヒターにかかると最新電子音楽による変奏曲へ。ヴィヴァルディの時もそうだけれど、こうしたアレンジは上手いなぁ。
 英国ロイヤルバレエの公演もライブビューイングで観たけれど、ウェイン・マクレガーのモダンな振付とぴったりで、凄い迫力。『オーランドー』映画版のDVDも(公開されたのは20年ほど前になるかと、昔映画館で観たのだった....)。
 『波』はウルフの自死を濃厚に予感させる曲となっており、波を感じさせる音の流れが不安を増幅させ、緊張感を高めていく。「再び自分が狂っていくのがわかります」というウルフの言葉。波が自分という存在を根底からさらっていくようで、ただ悲しい。

 ウルフを翻訳するのは、骨の折れる大仕事だと思うが、良さの伝わるいい訳で読みたいなぁと。最近出た『船出』も読みたいけれど、なかなか時間が取れないのが、困ったもの。

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by marupuri23 | 2017-06-20 23:02 | CD | Comments(0)