カテゴリ:イタリア(ミラノ&トリノ)の旅 2017( 29 )

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明けましておめでとうございます。
本年が皆様にとりまして、佳き年でありますよう、お祈り申し上げます。

 こちらの毛フサフサで眼差しが癒しに満ちた愛らしい犬は、ポッライオーロ兄弟(Antonio&Piero Benci detto il Pollaiuolo)による《大天使ラファエルとトビアス》から。トリノ・サバウダ美術館の目玉作品の一つで、フィレンツェにて1465年~1470年に制作されたもの。同じ構図で描かれているものが、この時代は多くて、犬は犬でも日本産とは違う…(マルチーズかな?)。
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 人物はもちろん、犬やトビアスが持つ魚、風景など、細部にわたる精密な描写に感心。トビアスは貴族的な優美さが際立っていて、洗練された雰囲気、くっきりと華やかなオーラを放ちパッと目を惹く。こうした感じがフィレンツェっぽいのかな。

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 今年もいよいよ終わり。年末の休暇に入ると、毎年同様、夫婦二人で大掃除に買い出しにと慌ただしく、あっという間の大晦日。今年の鑑賞生活のまとめができなかったが、今年は週末も忙しかったため、コンサートや展覧会巡りは例年より少なめ。そんな中でも、イタリアでの音楽祭&スカラ座を体験できたのはありがたいことだった。
 そのMITO9月音楽祭の記事も、これにてようやく終了。トリノ到着日にまず聴いたのがヴァルデーゼ教会でのコントラバス&チェロによるデュオ・リサイタルだった。コントラバスはウィーン・フィルの首席奏者であるエーデン・ラーツ、そしてチェロはベルリン・フィルのシュテファン・コンツという著名オーケストラの奏者同士の共演。それをこのようなこじんまりとした場所で、しかも低価格(5€)で聴けるとは驚き。
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 今回は右サイドの前2列目の席。プログラムはジャン=バティスト・バリエールに始まり、カザルス、ロッシーニ。技巧もさすがに見事で快活なこと、楽しい!休憩を挟んでボッケリーニ、シュ二トケ、パガニーニと多彩な弦の持ち味を堪能。
 隣のイタリア・マダムがやはりおひとり様だったので、曲が終わるたびに拍手をしながら、お互いに顔を見合わせて「Bravi、Bravi!」と言い交す。こうして感動を自然にシェアできる雰囲気がいい。コンサートを終えたあと、「シニョーラ、あなたと一緒に聴けてよかったわ」と一声かけてくれるさりげない気遣いもまた嬉しかった。こうした普段気感覚で、フラッと気軽に聴ける環境は、ありそうでなかなか無い。

 今回、MITO9月音楽祭を6公演聴いたが、ほとんどの公演が20€~5€で無料のものも多く、もちろん子供向け(内容はモンテヴェルディの《オルフェオ》!)のものも。企業や行政からの補助等があるのだろうが、これぐらいの価格でないとクラシック音楽に興味があっても、今まで接したことがない方が「じゃあ友人も(家族も)誘って、一緒にちょっと聴いてみようか」と気軽に足を運ぶ気にならないのではと思う。トリノ中心部では、音楽祭のポスターがよく目に付き、宣伝にも力を入れているのが伝わってきた。何をするにも「お金」というものは付いて回ってくるものだが、いい音楽を、気軽にライブで、低価格でというのは未来の聴衆を育てるという意味でも、これからの芸術の発展ということを考えても、将来を見据えて広い視点で捉えるならば大事なことだな、と。
 

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 あと1日で今年も終わりだというのに、まだ秋のイタリア旅行記(MITO9月音楽祭)を終えていないため、慌てて残りの公演を。
 トリノのテアトロ・レージョではオペラを観ることが叶わなかったけれども、小劇場(ピッコロ・レージョ・ジャコモ・プッチーニ)でのコンサートへ。
 グラミー賞を複数回受賞している(昨年も受賞)アンサンブル、エイト・ブラックバードによる《AMERICAN LANDSCAPES》と銘打たれたプログラムは、アメリカ出身の現代作曲家の作品を集めたもの。その作曲家たちは、私と同世代ぐらいが中心、そして年下も!という、これぞ読んで字の如くの「現代音楽」。
 エイト・ブラックバードの演奏は初めて、そして曲もジョン・ルーサー・アダムス、ネッド・マックガウエン、クリストファー・セローン、リチャード・リード・パリー、ティモ・アンダースという初めて尽くし。イタリア初演も2曲あるという、未体験ゾーン突入の予感、ワクワクしないわけがない。
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 エイト・ブラックバードは6人構成。ピアノ、フルート、クラリネット、ヴァイオリン(ヴィオラ)、チェロ、パーカッション。始めにメンバーの一人がご挨拶。英語で曲の解説をしたあとに、いよいよジョン・ルーサー・アダムス《The Light Within》から。静謐な曲に身を委ねているうちに、昨夜到着したことの時差の影響からか、意識が遠のき…。その後は意識下で音が鳴っている感じで、気が付いたら終了してしまっていたというオチに。
 終了後は皆熱心に拍手を送っていたので、きっと良かったのだろうと。なかなか実際には聴けないものなので、残念…。イタリアでこうしたコンサートも聴けるなんて、全く新鮮。音楽祭では、このような幅の広さがあることも大事。
 エイト・ブラックバードのアルバムを聴き直してリベンジしようかな。
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コンサートは21時開演、23時頃に終了。徒歩数分で宿へ。深夜のカステッロ広場はライトアップで華やか。

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 こちらのキリスト降誕図(Natività)も、やはりサバウダ美術館から。
 トリノのご当地画家、デフェンデンテ・フェッラーリ(キヴァッソ出身、1480年もしくは1485年~1540年頃) によって1523年に制作されたテンペラ画。地元だけあって作品の充実ぶりには目を見張るものがあり、緻密な筆さばきと優雅な表現、加えて鮮やかな色彩で、彼のスタイルがとても気に入ってしまった。
 彼はラファエロと同世代で、まさに盛期ルネサンスを生きた画家。それを思うと、これは初期に近い印象で、ルネサンスの画家も様々である。この後すぐヴェネツィアではティツィアーノが出てくることを思うと、その変容ぶりがまた凄いなと。
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デフェンデンテ・フェッラーリのコーナー、艶やか。

 キリスト降誕には牛とロバが対で登場することが多いけれど、ロバは「愚か者」の象徴で、「愚か者」=異教徒を導く存在がキリストであることを示している。後ろに登場している人影もいわくありげ。様々な寓意や象徴を盛り込んでいくのがキリスト教絵画だが、教義を伝えること、そして祈りの対象になるというところで、美的に眺めるのとはまた違った見方ができるのが興味深い。


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 聖夜も近づいてきたので、トリノのサバウダ美術館で出会った聖母子を。
 バルナバ・ダ・モデナの聖母子の中でも、美しい作品の一つではないだろうか。1370年に制作されたもの(サインがある)で、トリノに近いリヴォリの聖ドメニコ教会にあったもの。バルナバ・ダ・モデナは主にジェノヴァで活躍し、ピエモンテでも高い成功を収めているというご当地画家で嬉しい。マダマ宮殿にあるものよりも保存状態がよく、魅了されてしまう。
 ビザンティンの伝統と当時発展していた様式のゴシックが入り混じったスタイルは、神秘的な雰囲気。彫像のような厳かさのある聖母子を眺めていると、不思議と心落ち着く。
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カステッロ広場に面したアパートメントから
誰もいない深夜の広場

 9月に訪れたトリノでは、中心部のカステッロ広場に面したアパートメントに3泊。音楽鑑賞メインだと、戻る時間が遅くなることから、宿はできるだけ会場に近く、便利な場所を取るようにしている。実際にトリノの宿に来てみると、マダマ宮が真正面に見えて、なんともエレガントな雰囲気に気分が盛り上がる。隣は世界遺産の王宮、そしてオペラ劇場も目の前という最高の立地。
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 このアパートメントはパラッツォを改装したもので、天井にその名残りが見える。各部屋には名前が付いていて、私の部屋は「principessa」。それこそオペラの中でしか聞かない呼び方で、なんだか気恥ずかしい…。アパートメントとしては少々値が張るが、ミラノ中心部に比べたら安い。女子的には嬉しい雰囲気、立地もいいので複数で泊まればお得だと思う。
 ただ、ホテルとは違うので注意が必要。ここでは日中の10時~20時しか管理人が対応しないので(それ以外の時間だと別料金)、チェックイン・アウトの時間を考慮したり、宿泊税も管理人がいる時に支払う必要がある。対応はとてもよくて、掃除も行き届いている。この辺りはホテルと一緒。
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 アパートメントなのでキッチン付き。駅近の老舗のお総菜屋さんで夕食、昼食などを調達して、ここで手を加えていただいたりしていた。キッチンもお洒落なの。

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トリノのテアトロ・レージョ前、今シーズンの公演ポスター
オープニング公演は《トリスタンとイゾルデ》
《Trisutano e Isotta》と囁くと、違うオペラのような不思議な響き
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 オペラ・ファンの端くれとしては、トリノへ来たからにはここへ詣でねばと思うのは当然なのだが、オマーンで引っ越し公演中(演目は《アイーダ》)だったため、今回は残念ながらオペラ鑑賞ならず。この劇場はプッチーニとも所縁が深く《マノン・レスコー》《ラ・ボエーム》が初演されており、それを思うと胸がじんわりと熱くなる。いつの日か、ここでオペラを観たいものだ、と。
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 諦めきれず、外から内部をジロジロと観察。ここもエレガントな劇場で溜息。
 私は「劇場」が与えてくれる、ひと時の非日常性が好きだ。劇場は、舞台へと続く魅惑的な世界への入り口であり、劇場に観客として入った時から、すでに劇は始まっている。
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トリノの宿はここから1,2分という近さ。劇場前を通り過ぎる度に「ああ、オペラが観たい…」(泣)となる。
入口上にはオペラの演目が掲げられているが、見ていくと定番ものはもちろん、モンテヴェルディ《オルフェオ》、ヴェルディ《十字軍のロンバルディア人》、プーランク《人間の声》、アンドリュー・ロイド=ウェバー《エビータ》とミュージカルも、そしてヴォルフ=フェラーリ《スザンナの秘密》というラインナップで、羨ましさのあまり卒倒しそうになる。


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 昨日、クフ王のピラミッドで未知の巨大空間を発見したという番組を、古代へのロマンを感じながら観た。解明されていない空間に何があるのか、様々な推測がなされているが、早く実際を知りたいという気持ちは皆同じだろう。クフ王のミイラが安置され、そこを煌びやかな埋葬品が取り囲んでいるのか、もしくは只の空間なのか、それとも…。続報をドキドキしながら待ちたい。
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 上野の東京国立博物館の東洋館にもエジプト・コレクションがあるが、トリノのエジプト博物館はカイロに次ぐコレクションの規模で、観光ルートとして有名かつ大人気だ。私が訪れた際もかなり混み合っていた。場所は中心部に位置しており、立ち寄りやすい。
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 内部は近代的な構造となっており、大変見やすい配置。大きいものから小さなものに至るまで、想像以上の膨大さで、よくまぁ、これだけ持ってきたものだと…。ミイラも様々で、人はもちろんワニやら猫やら次から次へで、もう一生分観たような気がする。
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 目玉の彫像の間は迫力だった。凄いなぁと思うのは、古代エジプト人の描く壁画やパピルス画。平面でありながら動物や人物など、非常にリアリティがあって適格な表現、線に迷いがなく、美的センスの高さに感心。生活用具のあれこれも、造形的には現代と形はほぼ同じようなものもたくさんあり、紀元前ウン千年からこんなに高度な技術を有していたとは信じられないと、改めて圧倒されてしまった。
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パスタコーナーで頂いた、イータリー特製のポモドーロ・スパゲッティ。
味が濃くて、生パスタはモチモチ。これだけでお腹一杯! 

 自動車博物館へ向かうため、メトロのリンゴット駅で下車後、テクテクと人通りの少ない道を歩いていると、突然色鮮やかなショッピングセンターのようなものが出現、そこには大きく「EATALY」の文字が見える。「あら、こんな所に」と思わず店内へ。名前は知っていたものの、東京にもあるという店舗には行ったことがなく…。それにしても東京にも店舗があるなんて凄い、わざわざイタリアまで来なくてもいいし、日本ってなんでもあるのよね、と感心してしまう。
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 私は食が細いのだけれど(それでは不健康なので、もっと食べなくてはと思っている)、そんな私にとっても店内を巡るのは楽しい。このピッツァ、お持ち帰り♪
 他にも野菜や果物、チーズ、鮮魚、精肉、パスタ、ワイン、ドルチェ…。どれも美味しそう、充実の品揃えで、パスタコーナーでは種類の多さにやはり腰を抜かす(いったい何種類あるのやら)。それぞれのコーナーにイートインスペースが設けられているのがアイデア、このあたりがイータリーらしいのかな。
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 自動車博物館からの帰り道にまた寄って、ジェラートで一息。まだ暑さの残る季節には、沁みる美味しさ…、店内はそんなに混んでいないので、しばしのんびり。ここでもパスティッチ―二が美味しそうで溜息。ジェラートのお味はフラーゴラ&リモーネ(イチゴ&レモン)。リモーネは必ず選んでしまうほど好きなの。

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イタリアン・レッドが美しい、歴代レーシングカーのコーナー。
映像との展示に、自動車へのロマンと憧れが凝縮されていて圧倒される。

 トリノはフィアットのお膝元ということで、ぜひ訪れたかった博物館。素晴らしいコレクションで、車好きにとっては狂喜乱舞の世界であるに違いない。私はといえば、走りさえすれば何でもよろしいという(今の愛用車は国産の軽)こだわりの無さなので、豚に真珠、猫に小判の世界だ。そんな私でも大変楽しめたので、車にさほど興味が無くてもお薦め。しかも、ガラ空きで思う存分満喫できる嬉しい環境。
 ここへはトリノ中心部のポルタ・ヌオーヴァ駅から数駅先のリンゴット駅で下車後、徒歩で15分~20分ぐらい。トリノのメトロは明快、東京都心の込み入ったメトロとは真逆でありがたい。
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 ポー河のほとりに近づくと、緑豊かで長閑な雰囲気。静かでいいなぁと思っていたら、いきなりガラスとコンクリートの金属的な光を放つモダンな建築物が現れて驚く。かなり大きくて迫力満点だ。
 内部はシンプルかつ洒落た展示で、美しく楽しく魅せようという配慮が感じられて感心。過去だけではなく、地球規模での環境を考慮し車の未来をも予測した、教育的効果の高さを備えているのには、本当にMeravigliosa!
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 しかし、昔のレーシングカーはこんなだったのね。レーサーが身にまとうスーツも時代を感じるなぁと。
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