カテゴリ:イタリア(ミラノ&トリノ)の旅 2017( 23 )

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トリノのテアトロ・レージョ前、今シーズンの公演ポスター
オープニング公演は《トリスタンとイゾルデ》
《Trisutano e Isotta》と囁くと、違うオペラのような不思議な響き
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 オペラ・ファンの端くれとしては、トリノへ来たからにはここへ詣でねばと思うのは当然なのだが、オマーンで引っ越し公演中(演目は《アイーダ》)だったため、今回は残念ながらオペラ鑑賞ならず。この劇場はプッチーニとも所縁が深く《マノン・レスコー》《ラ・ボエーム》が初演されており、それを思うと胸がじんわりと熱くなる。いつの日か、ここでオペラを観たいものだ、と。
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 諦めきれず、外から内部をジロジロと観察。ここもエレガントな劇場で溜息。
 私は「劇場」が与えてくれる、ひと時の非日常性が好きだ。劇場は、舞台へと続く魅惑的な世界への入り口であり、劇場に観客として入った時から、すでに劇は始まっている。
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トリノの宿はここから1,2分という近さ。劇場前を通り過ぎる度に「ああ、オペラが観たい…」(泣)となる。
入口上にはオペラの演目が掲げられているが、見ていくと定番ものはもちろん、モンテヴェルディ《オルフェオ》、ヴェルディ《十字軍のロンバルディア人》、プーランク《人間の声》、アンドリュー・ロイド=ウェバー《エビータ》とミュージカルも、そしてヴォルフ=フェラーリ《スザンナの秘密》というラインナップで、羨ましさのあまり卒倒しそうになる。


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 昨日、クフ王のピラミッドで未知の巨大空間を発見したという番組を、古代へのロマンを感じながら観た。解明されていない空間に何があるのか、様々な推測がなされているが、早く実際を知りたいという気持ちは皆同じだろう。クフ王のミイラが安置され、そこを煌びやかな埋葬品が取り囲んでいるのか、もしくは只の空間なのか、それとも…。続報をドキドキしながら待ちたい。
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 上野の東京国立博物館の東洋館にもエジプト・コレクションがあるが、トリノのエジプト博物館はカイロに次ぐコレクションの規模で、観光ルートとして有名かつ大人気だ。私が訪れた際もかなり混み合っていた。場所は中心部に位置しており、立ち寄りやすい。
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 内部は近代的な構造となっており、大変見やすい配置。大きいものから小さなものに至るまで、想像以上の膨大さで、よくまぁ、これだけ持ってきたものだと…。ミイラも様々で、人はもちろんワニやら猫やら次から次へで、もう一生分観たような気がする。
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 目玉の彫像の間は迫力だった。凄いなぁと思うのは、古代エジプト人の描く壁画やパピルス画。平面でありながら動物や人物など、非常にリアリティがあって適格な表現、線に迷いがなく、美的センスの高さに感心。生活用具のあれこれも、造形的には現代と形はほぼ同じようなものもたくさんあり、紀元前ウン千年からこんなに高度な技術を有していたとは信じられないと、改めて圧倒されてしまった。
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パスタコーナーで頂いた、イータリー特製のポモドーロ・スパゲッティ。
味が濃くて、生パスタはモチモチ。これだけでお腹一杯! 

 自動車博物館へ向かうため、メトロのリンゴット駅で下車後、テクテクと人通りの少ない道を歩いていると、突然色鮮やかなショッピングセンターのようなものが出現、そこには大きく「EATALY」の文字が見える。「あら、こんな所に」と思わず店内へ。名前は知っていたものの、東京にもあるという店舗には行ったことがなく…。それにしても東京にも店舗があるなんて凄い、わざわざイタリアまで来なくてもいいし、日本ってなんでもあるのよね、と感心してしまう。
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 私は食が細いのだけれど(それでは不健康なので、もっと食べなくてはと思っている)、そんな私にとっても店内を巡るのは楽しい。このピッツァ、お持ち帰り♪
 他にも野菜や果物、チーズ、鮮魚、精肉、パスタ、ワイン、ドルチェ…。どれも美味しそう、充実の品揃えで、パスタコーナーでは種類の多さにやはり腰を抜かす(いったい何種類あるのやら)。それぞれのコーナーにイートインスペースが設けられているのがアイデア、このあたりがイータリーらしいのかな。
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 自動車博物館からの帰り道にまた寄って、ジェラートで一息。まだ暑さの残る季節には、沁みる美味しさ…、店内はそんなに混んでいないので、しばしのんびり。ここでもパスティッチ―二が美味しそうで溜息。ジェラートのお味はフラーゴラ&リモーネ(イチゴ&レモン)。リモーネは必ず選んでしまうほど好きなの。

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イタリアン・レッドが美しい、歴代レーシングカーのコーナー。
映像との展示に、自動車へのロマンと憧れが凝縮されていて圧倒される。

 トリノはフィアットのお膝元ということで、ぜひ訪れたかった博物館。素晴らしいコレクションで、車好きにとっては狂喜乱舞の世界であるに違いない。私はといえば、走りさえすれば何でもよろしいという(今の愛用車は国産の軽)こだわりの無さなので、豚に真珠、猫に小判の世界だ。そんな私でも大変楽しめたので、車にさほど興味が無くてもお薦め。しかも、ガラ空きで思う存分満喫できる嬉しい環境。
 ここへはトリノ中心部のポルタ・ヌオーヴァ駅から数駅先のリンゴット駅で下車後、徒歩で15分~20分ぐらい。トリノのメトロは明快、東京都心の込み入ったメトロとは真逆でありがたい。
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 ポー河のほとりに近づくと、緑豊かで長閑な雰囲気。静かでいいなぁと思っていたら、いきなりガラスとコンクリートの金属的な光を放つモダンな建築物が現れて驚く。かなり大きくて迫力満点だ。
 内部はシンプルかつ洒落た展示で、美しく楽しく魅せようという配慮が感じられて感心。過去だけではなく、地球規模での環境を考慮し車の未来をも予測した、教育的効果の高さを備えているのには、本当にMeravigliosa!
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 しかし、昔のレーシングカーはこんなだったのね。レーサーが身にまとうスーツも時代を感じるなぁと。
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 トリノは歴史あるカフェが軒を連ねていることで有名。今回はアパートメントの宿泊で朝食無しということもあって、いくつか訪れてみた。宿からも近いバラッティ&ミラノは1858年創業、豪華さでは1,2を競うだけあって、思った以上にエレガント、朝から気分が盛り上がる。決して派手というのではなく、品の良い風格が感じられるのがいい。
 日曜朝ということで、ガラガラ。地元の方はカウンターで立ち飲み、クッとカフェを飲み、少しおしゃべりをして去っていく。私は観光客なので、席に座ってまったり。アペリティーボも体験してみたかったけれど、音楽祭のコンサートをびっしり入れていたので、そこまでの余裕がなくて残念。日中は観光して、夕方からは一休みして音楽鑑賞へというパターン。
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 カプチーノ&コルネット。中身はカスタードクリーム。ここのカプチーノは美味しい♪ガラスケース内には美味しそうなパスティッチーニがいろいろ。
 カプチーノには、カカオ70%のチョコレートが添えられていて嬉しい。イタリアでもカカオ率の高いものがトレンドなのかなぁと。美味しかったので、皆さまへのお土産用に大量購入してきたけれど、なんと帰国便の空港で売っていたので「……。」となった。

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 《PRIMAVERE》と銘打った今夜のプログラムは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番&ストラヴィンスキー《春の祭典》というロシア・プロ。指揮者とピアノ演奏もロシア出身という組み合わせ。
 曲はクラシック音楽ファンでなくとも、おそらく名は知っているだろう超有名曲。ラフマニノフ好きとしては嬉しい。《春の祭典》はバレエの組み合わせで観てはいるものの、オーケストラのみの演奏で聴くのは初めて。この曲は、アヴァンギャルドなコンテンポラリー・バレエでさえも喰われてしまうほどの強い音楽なので、日常的に聴きたいとは思えず、ロトやクルレンティスのCDも積読状態…(ごめんなさい)。今でもそう思えるのだから、パリで初演された際の騒ぎも、さもありなん、と。
 指揮のビシュコフは、10年以上前にザルツブルク《ばらの騎士》で接したが、カーセンの演出に対する観客の引き具合(サーッと空気が冷める感じ)と、隣にいらした貫禄たっぷりのおじい様(白タキシードのお似合いな、カラヤン時代から聴いています的な)が、さかんにブーイングをしていて、いやそこまで酷くはないのでは、指揮者が気の毒だなぁと思った記憶しかなくて…。なので、今回はリベンジ。

 ラフマニノフではキリル・ゲルシュタインがピアノ演奏。グイグイと推し進めていく感じで、迫力あり。確かにラフマニノフを弾くにはパワーが必要だが、タッチがちょっと気になった。これは10日程前に、なんとも繊細優美で音色の澄んだラフマニノフのピアノ協奏曲3番(ハオチェン・チャンがピアノ)を聴いたので、そう感じたのかもしれない。そういえば、ピアノのメーカーを確認していなかったが、ファツィオリではなかったかも。
 《春の祭典》はキリリと締まって洗練された雰囲気、ロシアの泥臭さというか、原始的な匂いというものよりも、「祭典」の祝祭的な華やかさがあり、軽やかさのあるオーケストラという印象だった。指揮は、真っ当にキッチリと曲をまとめていて好印象。
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 終演後は23時近くとなり、テアトロ・レージョ前を横切って宿へ戻る。ライトアップされたカステッロ広場周辺は、なんともロマンティック。音楽祭ののぼりが掲げられているのも、余韻に浸れるので嬉しい。


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 MITO9月音楽祭の会場の一つ、RAIアルトゥーロ・トスカニーニ・アウディトリウムへ。ここではRAI国立交響楽団による演奏を。
 ここへは宿からテアトロ・レージョを横切り、モーレ・アントネッリアーナ(国立映画博物館)方面へアーケード(ポルティコ)下をトコトコ。しかし、21時前という暗さと小雨が降っていたため、場所が分かりにくく、外見的には街に溶け込んだ地味目なコンサートホールという印象(暗くてよく見えなかった…)。内部も年期の入った雰囲気だが、これはこれで歴史を感じさせてよい。
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 ホールはシックな馬蹄形。オーケストラを聴くには大きすぎもせず、小さすぎもせず程よい感じ。今回は1階席前方で聴いたが、もっと後方でも良かったかな、と。舞台はピアノを載せてしまうと(ピアノ・コンチェルトだったので)ちょっとキツキツ。
 地元に馴染んだアットホームな、寛いだ雰囲気があって、尖がった都会っぽくないのがいい。隣の方が「どこから?」と声を掛けてくれたので、「東京から」というと目を丸くして、「おお、そんな遠くから…」と絶句。会場内を見渡してみると、ここでも日本人はもしかして自分だけじゃなかろうかと推測…。でも、文化功労者のコシノ・ジュンコさんもおっしゃっているように、感性の交流に国境や言葉の壁はないのである。音楽が繋いでくれる縁に感謝。

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 イタリア・バロックの建築家F・ユヴァッラによる王宮を訪れた後に向かったこの教会も、またユヴァッラの設計によるもの。外見はシンプルだが、内部はこのように彫刻による壮麗な装飾が。とは言っても色調がシックなので、落ち着いた雰囲気。
 ここで、午後4時からコンサート(MITO9月音楽祭)が開催されるのだ。楽しみにしていたが、無料につき入場は先着順なので開演45分前には到着。すでに順番待ちの人がズラッと並んでいたが、中には入れそうで一安心。
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 皆さまお行儀よく並んで待っている。観客としては現地の方が多いのだろう、今回聴いたMITO9月音楽祭(計6公演)では、私のような東洋人は全くいなかったなぁと。また、こうして並ぶ経験も滅多にできないことだしと、期待でドキドキしながら待つこと数十分。
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 いよいよ中へ。中央席を確保して、内部をキョロキョロ。心の中で「わぁ~、ここでC.P.E.バッハのオラトリオが聴けるなんて!」と感慨ひとしお、写真撮りまくりだが、そんな風にソワソワと落ち着かないのは私だけのよう…。天窓から差し込む光も美しく、優雅な教会の雰囲気を満喫。コンサートの様子は、また後日。
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 サバウダ美術館は王宮エリア内にある。共通チケット売り場から階段を登っていくと、バロックの華麗な空間が広がり、ここだけでも雰囲気十分。美術館はさらにその先にあるが、絵画展示室として近代的な改装が施されており、見やすい配慮と工夫が凝らされている。
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 左右の展示室を繋ぐ通路壁には、所蔵作品の画家についての紹介が掲示されている。一番手前はイタリア・バロックの画家、フランチェスコ・ソリメーナについて。彼の絵が、どの展示室(室数も多い!)にあるのかも記載されている。王宮内という広い空間を生かした掲示だが、センスの良さに感心。
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 展示室自体はこのようにシンプルで見やすい配置。祭壇画も素晴らしいものが多く、作品を挙げればきりがない。印象に残った絵画は、また時間を見つけてボチボチと振り返っていきたい。

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 王宮内のサバウダ美術館へ。王家が収集した絵画コレクションだけあり、質が高いのはもちろん、量もかなりのもので、大変見応えがある。また、ご当地もの(画家)が充実しているのが嬉しい。展示室も新しく明るい設え、分かりやすい配置で工夫が凝らされている。そして何よりもガラ空きという、鑑賞にはもってこいの環境である。
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 ここでまず惹かれたのが、モルタナ(ロンバルディアとピエモンテの境目)出身で、主にミラノで活躍し、ヴェルチェッリ(ピエモンテ)で亡くなったベルナルディーノ・ラニーノ(1528年~1581年)のもの。
 テンペラ画で、鮮やかな色彩とドラマティックな表現、ここでもマグダラのマリア(香油壺と思われるものが側にある)の表情に惹かれてしまう。悲しみに満ちた表情の美しいこと…。聖カタリナの側には王冠&壊れた車輪が。ラニーノはガウデンツィオ・フェッラーリの弟子でレオナルド・ダ・ヴィンチからも影響を受けているそう。しかし、レオナルドというよりもフランドル絵画を彷彿とさせる雰囲気だ。
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 静かで、穏やかな王宮内。こうした場所で、長い時を経たいにしえの絵たちと出会うときを、至福と呼ばずして何と言おうか。

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