e0036980_22244541.jpg
寒雨の中、久し振りに日本画の展覧会へ。
こじんまりとした美術館なので、親密な空間のなか、対話をするように絵とゆっくり向き合って過ごすことができました。やはり西洋美術画とは違い、目と心へスッと入ってくるものがあります。

一番印象に残ったのが、明治に活躍した菱田春草「月四題」。
横山大観らと共に、西洋画の要素を取り入れ、日本画の新しい表現を目指した画家です。
水墨画ですが、新しい技法である線を用いない「朦朧体」と伝統的な「たらし込み」の技法を合わせて描いています。
それはなんともいえない濃淡の柔らかさに満ちており、繊細で、空気に溶け入るように静かな月夜の四季。思わず、深呼吸をして、その静寂さに身を委ねたくなります。

宗達の屏風絵は圧倒的な存在感、抱一の「月梅」は構図の見事さと、梅がつぼみの桃色から白へと移り変わるさまの艶やかなこと…。
其一は四季花鳥図の華やかさと発色の良さに驚きです。江戸時代のものでありながらこれだけ発色が良いのは、質の良い岩料を使用しているためとのこと。
本阿弥光甫の描いた花も、可憐で優美、日本刺繍にしても映えそうです。

現代では福田平八郎のモダンな感覚を楽しみました。

日本画の後は、寒さに震えながら表参道から渋谷まで陶芸ギャラリー巡り。
ベテランから20代まで、バラエティ豊かな器を眺め手に取って…。
心はホットな1日。
[PR]
4日の公演を鑑賞。前日に映画『ブーリン家の姉妹』を観に行きまして、当時の豪華な衣装を脳裏にインプット(朝日では「豪華な衣装に興味のある方にはお勧めする」という酷評…)。2年前の来日公演《アンナ・ボレーナ》の衣装は「うーん…」という印象でしたが、その当時に勝るとも劣らない衣装&装置ができるのは、今やMETぐらいでしょうか。
今回の《ロベルト・デヴェリュー》は演奏会形式ということで、そうした視覚や演出に惑わされることなく(!?)、音楽主体のベルカント・オペラを味わうことができました。

このオペラの序曲はドラマチックで迫力があり、幕開けの期待に満ちた好きな曲なのですが、オケは序曲から停滞気味な演奏で少々不安に。徐々に上り調子になりましたが。イタリアのオペラ劇場のオケだと、また本場のノリで違うのかも、と思ってみたり…。4年前に同オケによる、モーツァルトのコジを聴いたときには、これはもう「お家芸」だ…と、うっとりした気持ちは忘れられませんが。
メインはグルベローヴァ、今だからこそ表現できるといった、気迫に満ちた歌唱で女王エリザベッタを演じていました。全盛期の歌唱と比べると、もちろんほつれは所々ありますが、演じるエリザベッタと実際の本人が重なって見えるような生々しさには、凄みを感じました。
これはキャリアを重ねてきた大ベテランの味わい、若手歌手には望み得ない領域でしょう。

音楽雑誌掲載のグルベローヴァへのインタビューによると、興味のある作品はまだいくつもあるそうで、この意欲は本当に凄いものだと頭が下がります。どこまで行ってもゴールはない、一流であることのお手本のような姿です。ファンが多いのは、こうしたお人柄にもよるのでしょうね。
[PR]
バロックオペラでお馴染み、ジャルスキー(カウンターテナー)の来日リサイタルへ。
数年前、NHKで「人気の若手歌手」とシャンゼリゼ劇場でのリサイタルが紹介されていたことを思い出します。華麗なバロックの装飾技巧曲を披露していました。
映像ではヘンデル《アグリッピーナ》でのネローネが印象に残っています。これがはまり役といった感で、超絶技巧曲を軽々と歌いこなしているのには驚きました。

私にとっては、そうしたカストラート的な、華麗な装飾歌唱(バロック)のイメージが強い方なのですが、今回のリサイタルは「ヘンデルからアーンへ」という流れで、バロックの華麗な装飾技巧曲は始めの3曲(ヘンデル)のみ。
リナルドのアリア「風よ、旋風よ」ではダ・カーポの部分で、彼らしい華やかな装飾を付けて歌い上げており感心。しかし、ヘンデルにはピアノ伴奏が違和感大…。難しいと思います。

あとはモーツァルト、シューベルト、フランス歌曲と続いていきます。オペラで活躍しているだけあって、表現力は豊か、オペラティック。
しかし、調子が今一つだったのでしょうか、高音域は伸びやかで軽やかな美声なのですが、中低音域になるとハスキーになり芯の無さが目立ってきて心配。ファルセットなので、低音域はコントロールが難しいのでしょうか。
そのハスキーさとベルカント的ではないストレートな歌唱で、後半のフランス歌曲は軽やかなシャンソン風に聴こえてきて…、これはこれで心地良く…。
全体的にはその声を含め、まだ少年の雰囲気を感じさせます。
私の好みを言わせていただくと(^-^;)、大人の成熟さを感じるカウンターテナーが好き…(ダニエル・テーラーは良かった…)。

次回は彼の活躍の中心であるバロックオペラorバロック・プロ(+古楽器オケ)での来日なると、嬉しいです。
[PR]