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先月のジャルスキー&ヴェニス・バロック・オーケストラに続き、今月はゾマー(ソプラノ)&コンチェルト・ケルンの公演へ。2か月続けてバロック・プロを味わえる幸せ。しかも好きなバッハとヘンデルという組み合わせ。
同年同国に生まれながら、方向性の全く異なる作曲家ですが、その違いも聴き比べて楽しむことができる、贅沢なプログラムでした。

今回の公演、ともかくオケの上手さに感心。今までCDでは聴いているものの、実際に聴くのは初めて。
シャープで引き締まった音の流れに、統一感もバツグン。これはコンサート・ミストレスである平崎さんの力によるところも大きいでしょう。エネルギッシュな演奏スタイルに、心奪われてしまいました。また、一人一人のプレーヤーの上手さも伝わってきました。チェロとコントラバスによるバッハの《結婚カンタータ》3曲目アリアの伴奏、駿馬が掛けていく描写の鮮やかなこと!
細かなバッハのフレーズも颯爽と弾きこなしていて、ハラハラすることなく聴くことができるのは凄い。
オケの通奏低音も見事。そして弱音の繊細さにうっとり。

前半は主にヘンデル。「劇場の人 ヘンデル」というところから、オペラアリアを中心にカンタータ導入部、そしてモテット。
ヘンデルの曲からは、いつもバロック絵画を連想させられます。例えばカラヴァッジオのような…。光と影のような静と動の対比、そして劇的な一瞬を切り取って鮮やかに表現する手腕は共通。
ルネサンスの調和から、バロックの劇的さへ、そして最終的にバロック的誇張の果てのような、カストラートの超然とした声によるオペラに行き着くのは、当然の帰結のようにも思えるのです。もちろんヘンデルのオペラでもカストラートは大活躍でしたが…。

ヘンデルで最も印象に残ったのは、オペラ《テセオ》からメデアのアリア「私は死ぬ、けれども復讐します」。これぞバロック・オペラの真骨頂のような激しい技巧的なアリア。しかもメデアは魔女ですし(^^;)
オケの伴奏が素晴らしかった!怒りの情念を切れ味鋭く表現していて、さすがと思わされました。

そしてバッハ《結婚カンタータ》。明るく和やか、門出を祝う幸福感が満ち満ちて、こちらも穏やかな恵みを感じることができました。
欲張っていえば、「教会の人 バッハ」ということなら世俗カンタータではなく、教会カンタータを、そしてヘンデルにも負けず劣らずの劇的表現の教会カンタータ(例えばチェンバロ協奏曲にもなっているBWV146《われらあまたの苦難を経て神の御国に入らん》とか…)だと、対比がよりくっきりとしたのではと思いますが、今回の編成では難しいですよね。
またの機会を楽しみにします♪
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お誘いを受け、友人のリサイタルへ。
ドビュッシーやショーソン、フォーレ、オッフェンバック、そしてラモーまでのフランス歌曲、久し振りに楽しませていただきました。
懐かしいラモー《イポリートとアリシ》!ガルニエを想い出します…。
そして今日はフォーレの誕生日とのこと。
偶然にも、最近気に入って流しているCDが、このフォーレ《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》。
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フォーレといえば《レクイエム》、そしてピアノ曲は有名な《シシリエンヌ》など弾いたことがありますが、ピアノ曲以外はほとんど接したことがなく…。
そしてたまたまこのCDを手に取ったのですが、対照的な2つのヴァイオリン・ソナタの魅力的なこと!
聴いているとプルースト『失われた時を求めて』のヴァントゥイユのソナタが想いだされるのです。
調べると、なるほどフォーレはプルーストと同時代で、フォーレの曲をモデルにして本に登場させているそうなので、繋がりを感じるのは当然でしょうか。

…そしてスワンがはっと気がついて、「これはヴァントゥイユのソナタの小楽章だ、聴いてはだめだ!」とみずからに言い聞かせるより早く、オデットが彼に夢中だったころのすべての思い出、その日まで彼が自分の存在の奥深く、目に見えないところになんとか押しこめてきたすべての思い出は、愛しあっていたころの光が突然またさしてきたのだと思いこみ、その光にだまされて目をさますと、はばたいて一気に空へかけ上がり、現在の彼の不幸などお構いなしに、狂ったように、忘れていた幸福のルフランを歌いはじめた…
『失われた時を求めて 第一篇 第二部 スワンの恋』 (鈴木道彦訳)より

これは本の中でも印象に残る場面で、音楽による記憶の甦りを鮮烈に描いた、大変好きな箇所。

フォーレの室内楽曲に触れるいい機会となりました、これからも聴いていきましょう。
来年はこのCDのデュオでオールフレンチ・プロの日本公演があるようですし、これもめぐり合いですね。
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香り…、それは人の感性に強く訴えかけるものがありますよね、その世界には昔から惹かれてきました。
香りを意識すると、心の中の別のスイッチが入るような気がします、想像力も羽ばたくような…。

日本にも、香りの伝統はありますが、線香以外では身近に感じられないのが残念。
室町時代からの香道となるとまた別になりますし、私も詳しくはないのですが、〈和の香り〉作りへ。

今回は、歌物語の『伊勢物語』からイメージして調合。
人によってイメージする香りは違いますが、私は初段「初冠(元服)」から

「春日野の若紫のすり衣
  しのぶの乱れ限り知られず」

からイメージ。業平の初恋の歌。
初恋にしては情熱的かもしれませんが、この初恋は、垣間相手を見ただけでボーっと逆上せて、恋に恋してしまうような、まるでジュリエットに恋する前のロミオのよう。
そんな想いをイメージして作った香りは、若々しさの中に甘さがほんのり感じられるものに。

若紫という詞も、源氏物語の「若紫」を連想させられますね、フレッシュ。
「紫」ゆかりで袋と紐も自分で選び、匂い袋を仕上げました。
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