<   2017年 10月 ( 23 )   > この月の画像一覧

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イタリアン・レッドが美しい、歴代レーシングカーのコーナー。
映像との展示に、自動車へのロマンと憧れが凝縮されていて圧倒される。

 トリノはフィアットのお膝元ということで、ぜひ訪れたかった博物館。素晴らしいコレクションで、車好きにとっては狂喜乱舞の世界であるに違いない。私はといえば、走りさえすれば何でもよろしいという(今の愛用車は国産の軽)こだわりの無さなので、豚に真珠、猫に小判の世界だ。そんな私でも大変楽しめたので、車にさほど興味が無くてもお薦め。しかも、ガラ空きで思う存分満喫できる嬉しい環境。
 ここへはトリノ中心部のポルタ・ヌオーヴァ駅から数駅先のリンゴット駅で下車後、徒歩で15分~20分ぐらい。トリノのメトロは明快、東京都心の込み入ったメトロとは真逆でありがたい。
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 ポー河のほとりに近づくと、緑豊かで長閑な雰囲気。静かでいいなぁと思っていたら、いきなりガラスとコンクリートの金属的な光を放つモダンな建築物が現れて驚く。かなり大きくて迫力満点だ。
 内部はシンプルかつ洒落た展示で、美しく楽しく魅せようという配慮が感じられて感心。過去だけではなく、地球規模での環境を考慮し車の未来をも予測した、教育的効果の高さを備えているのには、本当にMeravigliosa!
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 しかし、昔のレーシングカーはこんなだったのね。レーサーが身にまとうスーツも時代を感じるなぁと。
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 トリノは歴史あるカフェが軒を連ねていることで有名。今回はアパートメントの宿泊で朝食無しということもあって、いくつか訪れてみた。宿からも近いバラッティ&ミラノは1858年創業、豪華さでは1,2を競うだけあって、思った以上にエレガント、朝から気分が盛り上がる。決して派手というのではなく、品の良い風格が感じられるのがいい。
 日曜朝ということで、ガラガラ。地元の方はカウンターで立ち飲み、クッとカフェを飲み、少しおしゃべりをして去っていく。私は観光客なので、席に座ってまったり。アペリティーボも体験してみたかったけれど、音楽祭のコンサートをびっしり入れていたので、そこまでの余裕がなくて残念。日中は観光して、夕方からは一休みして音楽鑑賞へというパターン。
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 カプチーノ&コルネット。中身はカスタードクリーム。ここのカプチーノは美味しい♪ガラスケース内には美味しそうなパスティッチーニがいろいろ。
 カプチーノには、カカオ70%のチョコレートが添えられていて嬉しい。イタリアでもカカオ率の高いものがトレンドなのかなぁと。美味しかったので、皆さまへのお土産用に大量購入してきたけれど、なんと帰国便の空港で売っていたので「……。」となった。

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 《PRIMAVERE》と銘打った今夜のプログラムは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番&ストラヴィンスキー《春の祭典》というロシア・プロ。指揮者とピアノ演奏もロシア出身という組み合わせ。
 曲はクラシック音楽ファンでなくとも、おそらく名は知っているだろう超有名曲。ラフマニノフ好きとしては嬉しい。《春の祭典》はバレエの組み合わせで観てはいるものの、オーケストラのみの演奏で聴くのは初めて。この曲は、アヴァンギャルドなコンテンポラリー・バレエでさえも喰われてしまうほどの強い音楽なので、日常的に聴きたいとは思えず、ロトやクルレンティスのCDも積読状態…(ごめんなさい)。今でもそう思えるのだから、パリで初演された際の騒ぎも、さもありなん、と。
 指揮のビシュコフは、10年以上前にザルツブルク《ばらの騎士》で接したが、カーセンの演出に対する観客の引き具合(サーッと空気が冷める感じ)と、隣にいらした貫禄たっぷりのおじい様(白タキシードのお似合いな、カラヤン時代から聴いています的な)が、さかんにブーイングをしていて、いやそこまで酷くはないのでは、指揮者が気の毒だなぁと思った記憶しかなくて…。なので、今回はリベンジ。

 ラフマニノフではキリル・ゲルシュタインがピアノ演奏。グイグイと推し進めていく感じで、迫力あり。確かにラフマニノフを弾くにはパワーが必要だが、タッチがちょっと気になった。これは10日程前に、なんとも繊細優美で音色の澄んだラフマニノフのピアノ協奏曲3番(ハオチェン・チャンがピアノ)を聴いたので、そう感じたのかもしれない。そういえば、ピアノのメーカーを確認していなかったが、ファツィオリではなかったかも。
 《春の祭典》はキリリと締まって洗練された雰囲気、ロシアの泥臭さというか、原始的な匂いというものよりも、「祭典」の祝祭的な華やかさがあり、軽やかさのあるオーケストラという印象だった。指揮は、真っ当にキッチリと曲をまとめていて好印象。
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 終演後は23時近くとなり、テアトロ・レージョ前を横切って宿へ戻る。ライトアップされたカステッロ広場周辺は、なんともロマンティック。音楽祭ののぼりが掲げられているのも、余韻に浸れるので嬉しい。


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 MITO9月音楽祭の会場の一つ、RAIアルトゥーロ・トスカニーニ・アウディトリウムへ。ここではRAI国立交響楽団による演奏を。
 ここへは宿からテアトロ・レージョを横切り、モーレ・アントネッリアーナ(国立映画博物館)方面へアーケード(ポルティコ)下をトコトコ。しかし、21時前という暗さと小雨が降っていたため、場所が分かりにくく、外見的には街に溶け込んだ地味目なコンサートホールという印象(暗くてよく見えなかった…)。内部も年期の入った雰囲気だが、これはこれで歴史を感じさせてよい。
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 ホールはシックな馬蹄形。オーケストラを聴くには大きすぎもせず、小さすぎもせず程よい感じ。今回は1階席前方で聴いたが、もっと後方でも良かったかな、と。舞台はピアノを載せてしまうと(ピアノ・コンチェルトだったので)ちょっとキツキツ。
 地元に馴染んだアットホームな、寛いだ雰囲気があって、尖がった都会っぽくないのがいい。隣の方が「どこから?」と声を掛けてくれたので、「東京から」というと目を丸くして、「おお、そんな遠くから…」と絶句。会場内を見渡してみると、ここでも日本人はもしかして自分だけじゃなかろうかと推測…。でも、文化功労者のコシノ・ジュンコさんもおっしゃっているように、感性の交流に国境や言葉の壁はないのである。音楽が繋いでくれる縁に感謝。

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 C.P.Eバッハはここ最近の大のお気に入り。そして、今回は滅多に聴くことのできない彼のオラトリオ《荒野のイスラエル人》が演奏されるとのことで非常に楽しみにしていた。演奏はオッターヴィオ・ダントーネ指揮、サント・スピリト・アカデミア・オーケストラ&合唱団(トリノにて1985年に設立。スピリト・サント=聖霊教会には行かなかったが、ご当地もので嬉しい)、そしてソリスト陣。
 《荒野のイスラエル人》はテレマンの後任を目指して渡ったハンブルクで初演され、当時でも大変評価の高かった作品。C.P.Eバッハの作品は、アヴァンギャルドで大胆な試みが刺激的だが、ここではオラトリオということで、ドラマチックでありながらも前衛さは控え、抑制を効かせて古典派的、そしてベルリン時代を彷彿とさせるエレガントな美しさが際立っている。さすがC.P.Eバッハ、期待を裏切らぬ見事な出来栄えの作品である。オラトリオだが、オペラティック、というのは、アリア(特にソプラノ2声)がバロック的で繰り返しの部分はお約束の装飾&即興性という華やかさであり、宗教的というにはあまりにも華麗。ソリストには高度な技巧が求められ、音楽自体にエンターテインメント性が高い。
 ソプラノのデュエット・アリアの美しさといったら、内容はイスラエルの民に救いを差し伸べぬ神への嘆きを謳いあげているのだが、モーツァルトに匹敵する天国的な調べで、地上を離れて天に誘われるがごときである。
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 合唱はイスラエルの民の嘆き、そして救われた歓び、神への感謝を情感豊かに表現、きっちりドラマを牽引し、引き締める。バスに割り当てられているのはモーゼ。登場シーンはシンフォニー付きで、いよいよモーゼ登場と金管を鳴らすこの辺りから、モーゼに神の無情を訴えるイスラエルの民(合唱)の怒りの場面の構成もメリハリがあり、ドラマとしてもよく出来ている。ダントーネもツボを押さえた采配ぶりで納得の表現。テノールはアロン。逆境の中、神を信じろと民を諫めるアリアには、心打たれる説得力がある。
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 会場はほぼ満員。当然歌詞はドイツ語なのだが、プログラムにはしっかりと対訳&解説付きで、本当に素晴らしい。観客で対訳を観ている方はそう多くなかったが(この辺りは日本と同じ)、集中して聴き入っている雰囲気。終了後はスタンディングオベーション。ソリストの歌唱も良くて、大満足。聴きに来て良かった、この曲はまず日本では聴けまい(というかやらないだろう)。
 驚いてしまうのは、このコンサートが無料であるということだ。これほど質の高い、オーケストラ&合唱団、ソリスト、指揮を揃え、しっかりとしたプログラムも配布している。いったいお金はどこから出ているのだろうか、と素朴な疑問が湧き出てくると同時に、日本との根本的な「文化」の享受ということの違いに想いを馳せずにはいられなかった。

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 イタリア・バロックの建築家F・ユヴァッラによる王宮を訪れた後に向かったこの教会も、またユヴァッラの設計によるもの。外見はシンプルだが、内部はこのように彫刻による壮麗な装飾が。とは言っても色調がシックなので、落ち着いた雰囲気。
 ここで、午後4時からコンサート(MITO9月音楽祭)が開催されるのだ。楽しみにしていたが、無料につき入場は先着順なので開演45分前には到着。すでに順番待ちの人がズラッと並んでいたが、中には入れそうで一安心。
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 皆さまお行儀よく並んで待っている。観客としては現地の方が多いのだろう、今回聴いたMITO9月音楽祭(計6公演)では、私のような東洋人は全くいなかったなぁと。また、こうして並ぶ経験も滅多にできないことだしと、期待でドキドキしながら待つこと数十分。
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 いよいよ中へ。中央席を確保して、内部をキョロキョロ。心の中で「わぁ~、ここでC.P.E.バッハのオラトリオが聴けるなんて!」と感慨ひとしお、写真撮りまくりだが、そんな風にソワソワと落ち着かないのは私だけのよう…。天窓から差し込む光も美しく、優雅な教会の雰囲気を満喫。コンサートの様子は、また後日。
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 サバウダ美術館は王宮エリア内にある。共通チケット売り場から階段を登っていくと、バロックの華麗な空間が広がり、ここだけでも雰囲気十分。美術館はさらにその先にあるが、絵画展示室として近代的な改装が施されており、見やすい配慮と工夫が凝らされている。
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 左右の展示室を繋ぐ通路壁には、所蔵作品の画家についての紹介が掲示されている。一番手前はイタリア・バロックの画家、フランチェスコ・ソリメーナについて。彼の絵が、どの展示室(室数も多い!)にあるのかも記載されている。王宮内という広い空間を生かした掲示だが、センスの良さに感心。
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 展示室自体はこのようにシンプルで見やすい配置。祭壇画も素晴らしいものが多く、作品を挙げればきりがない。印象に残った絵画は、また時間を見つけてボチボチと振り返っていきたい。

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 王宮内のサバウダ美術館へ。王家が収集した絵画コレクションだけあり、質が高いのはもちろん、量もかなりのもので、大変見応えがある。また、ご当地もの(画家)が充実しているのが嬉しい。展示室も新しく明るい設え、分かりやすい配置で工夫が凝らされている。そして何よりもガラ空きという、鑑賞にはもってこいの環境である。
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 ここでまず惹かれたのが、モルタナ(ロンバルディアとピエモンテの境目)出身で、主にミラノで活躍し、ヴェルチェッリ(ピエモンテ)で亡くなったベルナルディーノ・ラニーノ(1528年~1581年)のもの。
 テンペラ画で、鮮やかな色彩とドラマティックな表現、ここでもマグダラのマリア(香油壺と思われるものが側にある)の表情に惹かれてしまう。悲しみに満ちた表情の美しいこと…。聖カタリナの側には王冠&壊れた車輪が。ラニーノはガウデンツィオ・フェッラーリの弟子でレオナルド・ダ・ヴィンチからも影響を受けているそう。しかし、レオナルドというよりもフランドル絵画を彷彿とさせる雰囲気だ。
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 静かで、穏やかな王宮内。こうした場所で、長い時を経たいにしえの絵たちと出会うときを、至福と呼ばずして何と言おうか。

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 この新作歌舞伎は、インドの叙事詩マハーバーラタを題材にしたとのことで興味を惹かれ、久し振り(二年振りぐらい)の歌舞伎座へ。インドは20代初めに訪れた際、その力強さと賑わい、美しさ(ピンク・シティのジャイプールが忘れられない)に感動したものの、体調をひどく壊してしまったのがトラウマで「ああ、ここで暮らすのは難しいかも」と再訪できないでいる。だが、大変魅力的な国。
 ヨガにも取り組んでいたので、マハーバーラタ、そしてその核をなすバガヴァッド・ギータ―は多少馴染みのあるものだ。これをどのように歌舞伎化するのか予想がつかなかったが、結果、活劇として大変面白く仕上がっており、予想以上に楽しむことができた(もう一度見たい!)。
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 序幕は上図のように、黄金に輝く神々がおわすヒマラヤ山の雲の上から。破壊神シヴァは青ではないんだと(アトリビュートはシヴァ神っぽい)、そういえば、バレエ・リュス展でインドを舞台にした《青神》があったなぁと思い出す。
 そして、絵の通りに地上の姫君も着物姿で「母なるガンジスが…」(!)と言っているので、初めは違和感があるものの、話が面白く舞台の豪華さも見事ゆえ、すぐに慣れてしまう。そう、これはあくまでも歌舞伎なのだから、間違ってもサリー姿などはありえないだろうと再認識…。額の「第三の目」であるビンディ飾りは、着物姿でも似合っていて素敵だった。
 ここでの神々は、ギリシャ神話の神々のようにそれぞれ個性的なキャラクターで、それぞれの思惑で人間を動かそうする姿も、また神話的。最後、帝釈天が「輪廻から解き放とう、永遠を与えよう」という言葉には打たれた。仏陀も輪廻はあると言っていたそうだ、解脱とは輪廻のくびきから解き放たれること、日本の仏教とも関連の深いインドの神々の世界に、改めていろいろと思いを馳せた公演だった。

※素敵だったのは鶴妖朶姫を演じた七之助!声もセクシーでうっとり。今回は美味しい役どころでもあったけれど、どんどん魅力を増している感じ。

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 この王宮は、17世紀から19世紀末までサヴォイア家の公式宮殿として使用されただけあって、もうどうしていいか分からないほどの豪華絢爛さで、目がチカチカしてしまう。壁から天井まで装飾びっしりで、ロココというよりもバロックの迫力である。見学者は少数で、ゆったりと巡ることができるのが嬉しい。
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 部屋の大きさ自体はそれほどでもないが、重厚さがあり、かといって無骨な感じはなく、こうした雰囲気はイタリア的と言えるのだろうか。バロックのヴェルサイユ宮殿やロココのサン・スーシ宮殿などとは違った趣。ヴェネツィアのパラッツォとも全く異なる印象だ。
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 国は違えども、宮殿と名の付くところには、東洋の陶磁器コレクションルームは必須アイテムなのである。もちろんここにもございます。漆の装飾で飾られた部屋も。

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