ジュリアーノ・カルミニョーラ with ヴェニス・バロック・オーケストラ(H27.10.23)
昨年はジャルスキーとのバロック・プロで、陶酔の一夜を聴かせてくれたヴェニス・バロック。今年はカルミニョーラとのゴールデンコンビ、しかも定番のヴィヴァルディにバッハのコンチェルト(大好きだ…)をいよいよ弾くとなれば、これを聴かずにはいられましょうか。
カルミニョーラがコンチェルト・ケルンと共演したバッハのコンチェルト集(最新盤)を聴いていましたが、こちらは、ついにここまできたかと思わせるようなアヴァンギャルドさ、人によっては拒否反応もあるでしょう。
ですが、今回の共演はヴェニス・バロック。また違ったバッハを聴かせてくれるだろうと楽しみにしていました。
コンサートでは、バッハのコンチェルトが3曲演奏されましたが、ポリフォニックな要素が強いバッハはやはり手強い。今回は低音部(コントラバスやチェロ)、通奏低音にボリュームがない=重さが足りない。下から音を積み上げて構築し、お互いの丁々発止に、コンチェルトでは即興の要素もないとバッハとしては物足りない。カルミニョーラもバッハになったとたんに響きが曇ってしまって、ハラハラ。
そして、バッハはどうしてもバッハ…。ヴィヴァルディになりたくても、どうしても「イタリアの風」にはなれない…。
それは今回よく分かりました…。
演奏を聴きながら、そんな歯がゆさを感じていましたが、最後のBWV1041(特に3楽章)は会心の出来映え!ここで勢いに乗ったのでしょう、その後のヴィヴァルディはまさに水を得たような新鮮な響き。カルミニョーラの鮮やかな手腕といったら、もう怒涛のごとく…。その勢いのまま、アンコール4曲(オール・ヴィヴァルディ)が続き、最高の盛り上がりに。観客の反応を受け止める感性も素晴らしい、ライブの醍醐味。
本当に、ここまでの演奏はなかなか聴けませんので、次回もまたイタリア・バロックで!コレッリを是非聴いてみたい(きっと、素敵だろうなと…)。