ヘンデル《タメルラーノ》:ミラノ・スカラ座~H29.9.19

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 始めて私がヘンデルのオペラ上演に接したのはパリ(シャンゼリゼ劇場)だった。それから10年以上が経ち、こうしてミラノ・スカラ座でヘンデルの上演に接することになろうとは、思いも寄らぬ時の流れ。
 この作品に初めて接したのは10年近く前になるのではないだろうか。ハレで行なわれているヘンデル音楽祭の上演の映像で、ピノック指揮のもの。ヘンデルのこれぞ天才の技ともいえる音楽の迸りに、一目惚れならぬ一聴惚れで、何度聴いても聴き飽きるということがない。台本と歌手に恵まれたオペラ時代のピークに作られ、傑作と言われるのも納得の作品である。
 なんといっても各キャラクターが音楽によって見事に描き分けられているのが素晴らしく、また、従来のスタイルを逸脱するほどの技法を駆使してドラマを創り上げている。そこからは、ヘンデルがいかに説得力をもった人間ドラマを創り上げるかということに主眼を置いていたことがよく伝わってくる。
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 物語は、タタール皇帝タメルラーノと、その捕虜となったトルコ皇帝バヤゼットとその娘アステリアを巡る悲劇。
 演出ではロシア革命に置き換えられていたものの、台本はその時代の定番スタイルに概ね沿ったものであり、どのような演出となっても(ヘンデルの権威であったディーン博士の著書にある「タメルラーノに、最初のアリアの歌い始めに逆立ちさせたり、そのほか考えうる限りの滅茶苦茶をいくつかのアリアに持ち込み、さらにヘンデルがきっぱりと捨てた音楽を元の場所に戻して、第2幕の素晴らしいフィナーレを台無しにしたのである」というような例は、さすがに今では無いと思いたいが)根本的には作品の解釈に影響を与えないように思う。政治的なものより、冷徹な君主に翻弄される恋人達の心情や親子の情愛、誇り高き英雄の嘆きが軸となっているためである。そうした意味では、やはりオペラ(「ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック」の、つまり商業的な)だな、と。
 ロシア革命の生々しい臨場感はあまり感じられなかったものの、舞台的には大変美しく、衣装もなんとエレガントなこと!スカラ座にはマッチしていた。オーケストラも歌手もバランスが取れており、安定感のあるヘンデルを聴くことができた。

★歌手については、また後日…。

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by marupuri23 | 2017-09-24 22:26 | opera | Comments(0)