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ベルリン国立歌劇場《トリスタンとイゾルデ》

爽やかな秋晴れ、自然を感じに山へ行きたい季節ですが、渋谷の雑踏を掻き分けNHKホールへ。できれば訪れたくないホールの一つですが、文句を言っても仕方ありません。

《トリスタンとイゾルデ》は好んで聴く作品ではなく、どちらかと言えば苦手。初めて前奏曲を聴いた10代の時、「こうした音楽を官能的な音楽と言うんだろうなぁ」と思ったものです。それは私にとって心地よいものではなく、なにかしら気味の悪いものが迫ってくるような音の流れで、覆いかぶさられ窒息させられそうになるのです。このオペラのテーマである、官能と結びついた「死」を強く感じるからかもしれません。救済のための死でもなく、愛のための死とも違うような気がする…。初めから死が前提にある。それがダメなのでしょう。

でも、夏にラトル&ベルリンフィル《ワルキューレ》を聴いたので、比べるわけではありませんが、こちらのワーグナーはどうなのかな、と不純な動機で出かけたわけです。
オケは安定感があり、滑らかでフォルムの整った、端正な演奏。熟れた演奏ですが、予定調和的、決まられた道の安全運転という感じで、強く訴えかけてくるものがない。こちらに生々しい感情が迫ってこない=心が揺さぶられない。私にとっては、きれいなだけで終わってしまったという印象です。
そんなに聴きこんでいる作品ではないので(苦手)、内容も熟知しているわけでなく、通の方には申し訳ないような感想ですが、お許し下さい。
by marupuri23 | 2007-10-18 00:00 | opera | Comments(0)