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アンドルー・マンゼ&リチャード・エガーによるリサイタル

昨日はいかにも梅雨らしい曇り空、雨の心配をしながら久し振りの神楽坂へ。
ヘアサロンで4時間半という長丁場をこなした後、商店街で相方の晩御飯を調達。「万弥」というお惣菜屋さんがあるのですが、産地の分かる無農薬野菜を使用していて、家庭ではお馴染みのおかずを取り揃えています。ぜんまいの煮付け、筑前煮など、どれも美味しそう!そしてドイツパン屋さんベッカーでプレッツェルやコロネなどを求め、食事の用意は完了。
神楽坂茶寮で一息付いた後、歩いてトッパンホールへ、ここも久し振り。
イギリス・バロック界のデュオ、ヴァイオリン奏者のマンゼ&チェンバロのエガーによるリサイタル。

数多くのCDリリースと賞に輝く、古楽ファンにはお馴染みといえるデュオですが、私は名前を知っている程度。ですので、実際に体験できる今回の来日リサイタルを楽しみにしていました。
一曲目は大バッハ、チェンバロとヴァイオリンのためのソナタBWV1015。バッハはやはり難しいのでしょう、ヴァイオリンの細かいバッセージがチェンバロに押されてしまい、こちらに届いてきません。イタリア的な明るい雰囲気を持っている曲ですが、空へ飛翔したいのに上手く飛べないような、いまひとつの印象。

ですが、2曲目のコレッリ、ヴァイオリン・ソナタ作品5から本領発揮。マンゼは前曲のバッハと、弾く姿勢から違っています。曲自体が、ヴァイオリンの特性を生かしたものだからでしょうか、全身が「歌うヴァイオリン」と化し、伸縮自在に曲を紡ぎだしていきます。エガーの通奏低音もヴァイオリンのメロディーを華麗に彩っていて、ああ、イタリアのヴァイオリン曲だなと思いました、いいです…。

パンドルフィ・メアリ(メアリでいいのかしら?)の曲は初めて。インスブルックのハプスプルク宮廷で活躍したそうで、数年前に訪れたこの宮殿を思い出しました。宿のすぐ隣だったのです、そこで実際に弾いていたのだと思うと、感慨深い…。この宮廷のカストラート歌手サッバティーニに捧げられた〈ラ・サッバティーナ〉は、カストラートの歌声を彷彿とさせるような曲で、ユニークな個性も感じられ面白かったです。
そしてビーバー。〈ロザリオのソナタ〉以外のヴァイオリン・ソナタは初めて聴きましたが、大バッハの前世代とは思えないモダンさでびっくり。深遠な〈ロザリオのソナタ〉を作曲した教会音楽家というイメージが覆ってしまいました。

チェンバロの独奏は大バッハの作品を2つ。〈幻想曲とフーガ〉、バッハのファンタジーが立ち昇ってくる緻密な音の世界を伝えてくれました。バッハのこの緻密さ、解きほぐすのに、私はまだ苦労します…。

このデュオ、さすがに息はぴったり。一心同体とはこのこと。その伸縮自在なアグレッシブさ、アドリブ感に、アクの強さを感じなくもないですが、その熱い演奏で、音楽による高揚感を久し振りに味わいました。
by marupuri23 | 2008-06-12 12:22 | early music | Comments(0)