ジル・ド・ヴァン著「イタリア・オペラ」
イタリア・オペラの伝統については、制作システム&美学の変遷に視点を置いて論じたもので、どのような歴史背景のもとに発達してきたのかが掴めます。私にとって興味深かかったのは、オペラ史の概略を述べている箇所。この著者の研究における観点ー「音楽的作劇法」ー(作曲家とテクストの関係。ひとりの作曲家によって、テクストがどのように解釈されたのか)で論じています。
私にとっては、お気に入りのカヴァッリについての記述が嬉しかった…。「バロック時代には、台本作家が作曲家よりもずっと優位に立っていた」「カヴァッリのオペラでは、アリアがよりはっきりと独立したものになっているが、レチタール・カンタンド(朗誦)と歌唱との間で見事にバランスが保たれていることがわかる。音楽は複雑さのない、直截な魅力を示しているが、それはカヴァッリの特徴でもある…」、等々書いていたらキリがありません。
他にもスカルラッティやヘンデル、台本作者のメタスタジオ、ゴルドーニ等、豊かなバロック・オペラの世界について充分触れられており嬉しい♪
コンパクトな文庫版ですが、深い内容。でも分かりやすい論述で決して難しいものではありません。
しばらく前に「フランス歌曲とドイツ歌曲」を読んでいたのですが,ところどころ,美しい物語を読んでいるかのような表現に圧倒されました。
装丁が変わる前は,各分野ごとに表紙絵の色がちがっていたようですが,新しいものはどうなのでしょう・・
この文庫は友人からお借りしたものです。私はこの本の存在を知らず…、持つべきものは友…感謝です。芸術・趣味の分野ではこの装丁のようですが、他の分野ではどうなのかは分かりません。アマゾン等のサイトで確認できるとは思いますが。すみません。
「クセジュ」は私は何を知っているか?と自分を問いかける言葉なのですね、一つの視点に偏らず、幅広い視野を持ちたいものだと思いました。