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 中世の伝統歌、というタイトルに何とも言えぬノスタルジックな、いにしえの薫りを感じてチケットを購入。
 初めて接するアンサンブルなので、期待と不安が半分半分。が、どんな世界を見せてくれるのだろうかというワクワク感の方が勝る。いよいよ演奏が始まると、一曲目《美しきパリの女たち》(フランソワ・ヴィヨン作曲)から「わぁ、これはいい!」と気分が高揚。これは大当たり!
 大好きなデュファイ(初期ルネサンス)や、モンセラートの朱い本があったのは嬉しかったが、ほとんど初めて聴く曲。
 それは、いつから歌い継がれてきたのだろうか、十字軍時代のセファルディムの伝統歌、12世紀の紡ぎ歌、13世紀の写本、また中世のマリア賛歌からは、「マリア崇拝」の伝統を感じる。演奏の最後、観客も一緒になって「アベ・マリア」と繰り返し声を合わせて歌ったが、その当時の聖母マリアに対する人々の想いが、ひしひしと迫ってくるようだった。

 5名のアンサンブルだが、古楽器(10種類ぐらいはあったのではないだろうか)を駆使して、民謡を生き生きと、そして吟遊詩人の歌をしっとりと、ある時にはコミカルな歌と変化を付けて全く飽きさせない。
 そして、バロック以前から存在する古楽器の数々に目から鱗状態である。楽器のルーツを辿ると、西洋も東洋も元は同じという楽器は多いが、やはり古いものになればなるほど、東西の境目が曖昧になっていく感じがするのである。
 歌はどうだろうか、最後には何か遙か遠い遠い過去に還っていくような、懐かしい思いに囚われて目が潤んでしまった。頭で聴くというよりも身体で音楽を受け止めたような気がする。

 CDを購入しようとしたところ「3種類あったが、初日で全て完売」とのこと。残念。また機会があれば聴きたいもの。

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