e0036980_21145353.jpg
 ロッシーニのブッファとなると、その楽しさを予想して、もう聴く前からウキウキと気持ちが浮き立ってしまうのである。
 その味わいは軽やかなスプマンテのごとく弾けて、粋で、洒落ていて、人生とは楽しむためにあると感じさせてくれる。そんな気持ちに誘ってくれるオペラ作曲家なんて、滅多にいない。そう、ロッシーニは最高、ロッシーニに乾杯!

 今回のお目当ては脇園さんによるチェネレントラ=アンジェリーナ。舞台姿に華があり、歌声はコントラルトのような、かなり深い低音が響いてロッシーニのヒロイン役としてはぴったり。《アルジェのイタリア女》(大好き!)のイザベッラとか、きっと素敵だろう。バロックもカウンターテナーとのデュエットなんて聴いてみたい。が、今回はビブラートが強く、伸びが今一つといった感じで「あれっ?」と(調子が悪かったと後から知ったのだが)。最後の技巧的なアリアは本当に見事で、息を呑むほど素晴らしかった。
 そしてドン・ラミ―ロの小堀さんの明るく抜けるような歌声に驚愕。美声とはこのことだと、うっとり聞き惚れてしまった。なんといっても、脇園さんと小堀さんという若々しいフレッシュな組み合わせが、《チェネレントラ》の世界にはふさわしかったように思う。舞台に爽やかな風が抜けていくようだった。

 このフレッシュな組み合わせの脇を固める共演陣も芸達者で、特にクロリンダの光岡さんのコメディエンヌぶりがいい!悲劇より喜劇(人を笑わすこと)の方が難しいと思うが、やはりブッファなので、歌だけではなく、動きにもコミカルなテンポが欲しい。オーケストラも、弾けるノリの良さを表現するのは大変だと思うが、十分ロッシーニらしさを味合わせてくれた。
 日本でこれだけのロッシーニを味わえるなんて、幸せだ。

[PR]