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 まるで純白のレースのような大理石ホールを上ると宮廷劇場に。この劇場は現役で、バロック・オペラなどはここで上演されているそう。オーケストラの規模からみても、大きさ的にはぴったり。オーケストラピットもしっかりとあり、手入れの行き届いている印象だ。機会があれば、ここでオペラを観てみたいもの。バロックものでなくても…そう、ここはナポリなのだった。ナポリ派の、例えばパイジェッロ、チマローザ、ピッチンニ、ヨンメッリ、ペルゴレージ…、挙げればきりがないことに気づく。ここで観れたら最高。
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 こちらサン・カルロ劇場のカタログから、チマローザ《宮廷楽士長》の舞台。カゼルタ(ナポリ王家の住まい)の宮廷劇場で1994年に上演されたもの。いいなぁ…実際に観てみたかったと、ただただ溜息。
 チマローザ《みじめな劇場支配人》は一昨年レザール・フロリサンでちょこっと聴いたけれど、笑えるドタバタ喜劇で楽しかった!ナポリ初演のこのオペラは、ゲーテもローマで聴いて魅了されたのだ。ロッシーニ以外のブッファ、もっと聴きたい。
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 劇場後ろにはロイヤルボックスが。ここは1768年に造られたとのことで、サン・カルロ劇場より30年ほど後。サン・カルロ劇場はナポリ派を始めとする作曲家のみならず、メタスタージオなどの台本作家らが、さあどうだと言わんばかりに目につくが(彫像やら名前を掲げたプレートやら…、パリのガルニエやベルリンのコンツェルトハウスほどではない)、こちらは芸術の神々に囲まれた空間。

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 フィレンツェを発ちナポリの宿に到着して一息。20時からサン・カルロ劇場なので、下見も兼ねて劇場隣の王宮へ。一歩足を踏み入れたとたん、純白の華麗なレースを思わせるような大理石ホールに驚愕。まあエレガントなこと!
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 ブルボン家によるこの王宮は、公式な祝祭で使用されていたとのこと(住まいはカゼルタ)。大階段の凝った装飾を眺めているだけで、あっという間に時間が経ってしまう。
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 天井のレリーフも様々で見応えあり。ナポリ王家の紋章も見える。見学者はとても少なく(皆、海に行ってしまうのだろうか)、というかほとんど人がいなくて、貸し切り状態なのはいいが、確か20時まで開場しているはずなのに、私が見学し終えた後から、次々と部屋を閉め鍵まで掛けていくのである。…まだ16時頃なのに、私が最後の客ということのようだ。
 ナポリの美術館及び博物館の開館時間は当てにならないというのはこのことかと納得。やはり早めに行くのが肝心。

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 ホテル・キアイアでは「本場のナポリ銘菓をどうぞ!」とロビーにスイーツが用意されている。次の日は新鮮なフルーツで、これは嬉しいサービス。これぐらいミニサイズだと食べ比べられるのでありがたい。通常サイズのスフォリアテッラやババを食べると、それだけでお腹一杯になってしまう。
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 朝食にもミニサイズのスフォリアテッラ。初めて口にした際は、生地のパリパリ感が凄くて、歯に刺さって(!)痛いぐらいだなと。…このパリパリ感がクセになるのかも。
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  宿近くの大きなプレビシート広場。中央の聖堂には入らなかったが、ローマのパンテオン(こちらは行った)に似ているそう。昔はこの広場も違法駐車の多い無法地帯で荒れていたそうだが、今ではこんなにすっきり。

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中庭に面した部屋。通りの賑やかさはここまで届かず、静かで心地いい。
 
 ナポリでの宿は劇場近くのホテル・キアイア(3つ星ホテル)。
 キアイア通りは昔から目抜き通りの一つだが、大きな通りではなく車も入れないので、宿を取るにはちょっと不便かも。タクシーならば、キアイア通り入口で降ろされ、後は自力でガラガラとスーツケースを引きずりながらホテルへ辿り着くことになる。また宿の入口が分かりにくいのが難点。フロント・デスクが3階にあるので、エレベーターを使用するのだが、そのエレベーターがまた分かりにくい…。古い建物なので仕方がないが、とってもいい宿だったので(沢山おやつが出るの)、サン・カルロ劇場に行かれるならお薦めしたい。
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 一人にはちょうどいい広さ。ゆったり、のんびり。これでポットも付いていればよかったのだけど。
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 こちらがキアイア通りの入口。左手にはカフェ・ガンブリヌス、右手にはこれまた絶品スイーツ屋さんレオポルドがあって、 スフォリアテッラやババの食べ比べである。宿はここから5分もかからないほど。


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 築地の「パラディーゾ」でナポリ銘菓ババをいただいたが、こちらはナポリの老舗カフエ・ガンブリヌスの「カフェ・ババ」。
 ミニサイズのババがちょこんと乗っかっているが、これが美味しくて、もう感激。ババが香り高くて、しっとり。エスプレッソの苦味とのバランス抜群。このカフェはサン・カルロ劇場のすぐ目の前(ということは宿の近くでもある)で、また深夜まで営業しているので、オペラがはねた後などに立ち寄っていた。
 同じくオペラ鑑賞後に立ち寄ったと思われる隣のカップル(たぶん地元の方)は、通常サイズババ(結構大きい)をカウンターでパクパクっと平らげて、サッと店を後にしていった。さすがだ。
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観光名所なので、メニューも数か国語で記載あり。日本語もございます。ジェラートも種類豊富。
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 優美な店内で美味しいカフェとドルチェを味わいながら、オペラの余韻に浸れるナポリもいい。サン・カルロ劇場内のカフェでも、休憩中にババ(その他いろいろ)をいただくことができる。たぶん、ここのババかな。

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ブオンタレンティ設計によるメディチ家のコレクション部屋(トリブーナ)
朝の日差しに輝くドームの装飾が眩いほど
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 こちらも東京での展覧会から2年振りの再会。ブロンズィーノ(アニョロ・トーリ)の間にて、メディチ家のマリア。当時の衣装や装飾品の豪華さに目が惹きつけられる。頭の先からドレスまで真珠尽くし。真珠は15世紀終わりに新大陸が発見されてから、大量にヨーロッパへもたらされるようになったものだが、高価なため富の象徴である。
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 品格溢れる愛らしいビア。子供にしては落ち着いた憂いのある眼差しが印象的。清楚な白の衣装だが、質感はゴージャスで袖のたっぷりしたギャザーが華やかなデザインで素敵。
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 なんとも艶めかしいキリスト&聖ヨハネ(《エジプトから帰還する聖家族》)。プクプクした赤子の質感と滑らかさが実感として伝わってくる描写。ブロンズィーノによるマリアとヨセフも、滑らかな肌や衣類の質感が際立つ独特の雰囲気。肖像画以外の作品も、しっとりとした憂いを帯びた作風である。色彩はフィレンツェらしく鮮やか。

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 ウフィツィ美術館のペルジーノの間にて。
物憂げな美少年の眼差しに魅せられる。

 ウフィツィ美術館では、綺羅星のごとくにルネサンスの名画が勢揃いしており、奇跡のような場所だが、有名どころの画家以外にも素晴らしい作品が様々に充実していて嬉しい。ペルジーノ(ピエトロ・ヴァンヌッチ)の《若い男の肖像》に目が惹きつけられる。魂が吸い込まれそうな瞳…。
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 今にも瞬きをして、動き出しそうな雰囲気。ラファエロの師といわれるペルジーノ。この優美なタッチは確かに共通する部分がある。
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 《園の祈り》のキリストの穏やかでありながら、鋭い眼差し。待ち受ける死に対しての覚悟が伝わってくるようだ。


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 ウフィツィ美術館には3点のカラヴァッジョがある。ファンとしては外せないが、《イサクの犠牲》は貸し出し中だったので残念。
 あとの2点《メドゥーサ》と《バッカス》は2年前に東京へお目見えした以来の再会。東京でも、この瑞々しい美青年&静物の表現に何度も溜息をついたが、やはりお変わりない美しさである。
 この作品はカラヴァッジョの庇護者デル・モンテ枢機卿がトスカーナ大公フェルディナンド・デ・メディチに贈ったものだが、やはりカラヴァッジョはローマのイメージ。
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ミニアチュールの間。優美な小部屋で、メディチ家の肖像画が壁に飾られている。かなり小さいものだが、近くで観れず残念。
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 ヴェッキオ宮がすぐ隣なので、ベランダに出ると迫力の鐘楼。夏の日差しがまぶしすぎるほど。暑い…。

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ウフィツィ美術館のボッティチェリによる『柘榴の聖母』
鮮やかな色彩と精緻な筆使いに驚くばかり

 フィレンツェに滞在できるのは正味1日(夜は劇場へ)というタイトスケジュールだったため、まずは何をおいてもウフィツィ美術館へ。
 9時入場の予約をしていたので、宿近くの停留所からバスに乗り込み美術館へ途中でアルノ川を渡り、ヴェッキオ橋が左手に見えた際には感激。脳内に《ジャンニ・スキッキ》のアリア『お父様にお願い』が大音量でこだましている状態に。
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 15分程並んで入場。内部はそんなに混み合っていないなと思ったら、ボッティチェリのコーナーは人だかり。ここでボッティチェリの名画揃い踏みを観てしまうと、そのあまりの美しさに、ウフィツィ美術館はもうボッティチェリに尽きるといった印象だ。
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 美は細部に宿るのである。『柘榴の聖母』で聖母子が手に持つ柘榴の輝きの繊細なこと!
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 聖母が身に纏うベールの細やかな表現に驚愕…。何という細密さ。ほんの少しの部分だけでもボッティチェリと分かるタッチ。フィレンツェには、この優美さと艶やかさがふさわしい。
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 今回の旅はフィレンツェで2泊。目的はオペラ鑑賞だが、20時開演なので終演は0時を過ぎてしまいそう。
 女一人旅の場合は、安全面を考えると劇場近くに宿を取るのが安心。ということで、フィレンツェ五月音楽祭劇場のすぐ前にある4つ星ホテル「スターホテルズ ミケランジェロ」を選んだ。知人が随分前に一度利用したことがあると聞いて確認したところ、悪くないという返答(まあ4つ星だし)で、ひとまず安心。シングル向けの部屋を早めに抑えたので、値段もそんなに高くなかった。
 行ってみると、フロント・デスクやカメリエーレはビジネス的(チェーン・ホテルっぽい)で愛想がないが、朝ごはんは充実。
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 フィレンツェの空港からも近いし、ともかくフィレンツェ五月音楽祭劇場がすぐ目の前。あまりに近すぎて驚くほど。
 近代的なホテルで設備も機能的、快適に過ごせる。劇場へ行く予定なら、お薦め。

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