人気ブログランキング |
e0036980_21095381.jpg
 ちょうどこの日は東京の新国立劇場でも《トスカ》が上演されているはず、と思いながらサン・カルロ劇場へ。《トスカ》は歌劇場にとっては超スタンダードな演目で、私も映像や実演で何度も接しているが、さすが《トスカ》となると、もう好きとか嫌いとかいうレベルのものではなく、こうしたものが「オペラ」なんだと。それだけに様々な舞台と比較されやすく、観客の評価も辛くなりがちではないだろうか。
e0036980_20273197.jpg
 今回の舞台、マリオ・ポンティッジャによる演出は日本でもお目見えしているもので、しっかり(というかもちろん)「ローマ」が舞台となっている。今シーズン上演された新演出のNYメトロポリタンオペラ(マクヴィガ―演出)のような豪華絢爛さはないが、上手く雰囲気を作り出しているのには感心。お金をそれほどかけなくとも、工夫とアイデア次第でローマの教会を再現できるのだなぁ、と。今シーズンの英国ロイヤルオペラの《トスカ》(ケント演出)も観たが、ローマの広がりを感じさせない、地下のような狭苦しい装置で違和感が…。

 1幕は正面に描かれている天井のドームが教会内部の大きさを感じさせ、幕切れの大合唱も映える。カヴァラドッシが描いているマグダラのマリア、これも様々で面白いのだが、当然その時代の様式の絵なので、私的にはルネサンス以前風のマグダラのマリアだといいのに、といつも思ってしまう(…重要なことではないのだが)。イタリアで観る絵画のマグダラのマリアは、本当に美しくて、いつもうっとり見入ってしまうのだ。豊かな髪を波打たせてキリストの足元にひざまずいているイメージ。
 そして続く2幕、3幕とも見慣れた感のある演出=設定だが、《トスカ》はこれで正解である。余計なことをする必要はない。
e0036980_20254766.jpg
 私の席(平土間5列目中央)では音響が思ったよりデッドで、ちょっと物足りない感じ。上階の方が音が抜けて響くのかも。
 指揮はスロヴァキア出身で、この劇場の音楽監督でもあるユライ・ヴァルチュハ。劇の運びに音楽をしっかりと合わせてメリハリを効かせ、歌手に寄り添う流れは納得できるもの。オーケストラが変に浮くこともなく好印象。バランスの取れたごくスタンダードな演奏で、全体的にはあっさりとした感じにも受け取れた。
e0036980_21343824.jpg
 素晴らしかったのは、カヴァラドッシを歌ったアメリカ出身のブライアン・ジャッジ。周りもそう思う方が多かったようで、彼が最も「Bravo!」を浴びていた。豊かな声量と張りのある美声、そして情熱的な演技で、はまり役ではないだろうか。この方は、3月にコルンゴルト《へリア―ネの奇跡》の主要キャスト=異国の男を歌っており、私はこのオペラを聴きたくてベルリン行きを考えたのだけど、年度末は仕事があって、どうしても行けず涙を呑んだのだった。
 スカルピアはベテランのフロンターリ。さすがの貫禄だが、品格がありすぎというか、厭らしくないので悪人に見えない…。
 トスカはアイノア・アルテータ。トスカには申し分ない美しさなのだが、可憐な印象で、もっとドスが効いていてもいいかと。今回はスカルピアとトスカがあっさり系だったので、全体的な印象があっさり、ということになったのかも。観客の反応も、思ったより静かだった。
 やはり歌手の演技ーこちらにどれだけリアリティを感じさせるかが大きくものをいうオペラである。
e0036980_21594800.jpg
 劇場内は観光客(私もそうだが)も多いのだろう、というのは、第2幕「歌に生き、恋に生き」のアリアの途中で、なんと複数名の拍手が起こり、観客達が「なんてこった」という身振りで「シーッ」と諫めることがあったからだ。観光客が多いというのは、来る価値があるということなので、よいことではあると思うが。オペラは愛好者だけのものではない。
 さて、これで2日間のオペラ鑑賞は無事終了、ナポリの艶やかなサン・カルロ劇場とはお別れ。

e0036980_21215995.jpg
ヨーロッパで現役最古の歌劇場であり、輝かしい歴史を誇るナポリのサン・カルロ劇場へ。
足を踏み入れたとたん、その色彩の鮮やかに息を呑む。深紅に黄金色とスカイブルー、そして白銀に輝くパルコのコントラストが目に眩しい。
今まで訪れたイタリアの歌劇場ースカラ座の品格のある落ち着き、フェニーチェ劇場の柔らかな甘さ、ローマ歌劇場の渋さ、そしてトリノ・レージョのモダンさとは異なり、ここはともかく艶やかさのある劇場である。
イタリアは各地それぞれに特徴があるが、劇場も様々な個性を見せてくれるのが面白い。
e0036980_21230574.jpg
現代の感覚で捉えると、劇場はさほど大きく感じられないが、当時にしてみればかなり大きなものに感じられたことだろう。今回は2日続けてのオペラ鑑賞だったので、この歴史ある劇場を思う存分満喫し幸せだった。
劇場自体のカタログも見応えがあるのだが、またまた劇場係員のおじさまのご厚意で、かなりお買い得にしていただけたのでありがたかった。この辺りがナポリらしいといいましょうか…。
e0036980_22113488.jpg
ナポリ派のペルゴレージによる《オリンピ-アデ》2011年シーズン。劇場自体をも取り込んだ演出がぴったり、キッチュでいてエレガント!
日本でも演奏会形式で聴いたけれど、こんな上演で観れたら最高だな、と。

e0036980_07130552.jpg
カプリ島のカルトゥージアで香水を求めようとしたところ、ふと目に留まったサン・カルロ劇場とのコラボレーションの香り。
そういえばサン・カルロ劇場のブティックで見かけたな、と。カルトゥージア製品だったのね。
e0036980_07133135.jpg
香りはあの眩いサン・カルロ劇場に相応しい、格調高さと華やかさを感じるクラシカルなもの。
…これはオペラ好きとして求めない訳にはいかないと即決。観劇の際に身に付けるつもりだが、香水負けしそう…。

e0036980_21382254.jpg
カプリ島の有名な香水店、カルトゥージア。香水好きには見逃せない。自分用に香りを求める気満々で入店。
店内に入るとすぐに可愛らしい店員さんがそばにきて、好みの香りは?と。フルーティーで甘めの香りが好きなことを伝えると、「フォーゲットミーノット」という香りを薦めてくれた。甘さの中に清々しさがあって、好みにぴったりだったのだが、結局選んだのは別の香り…(その理由は後日に)。
e0036980_21380554.jpg
店の周りは爽やかな香りに包まれていて、気分が晴れやかになる。自分用の香水含め、いつもお世話になっている大事な方々へのお土産を大量購入。こうした機会には大事な方たちに、できるだけ素敵なものを差し上げたい。…が、この手のものだと、どうしても女性限定になってしまうのが辛いところ…。
パッケージも本当に素敵。
e0036980_22015492.jpg


e0036980_13414965.jpg
カプリ島の表玄関ウンベルト1世広場から、華やかなブティックが軒を連ねるカメレッレ通りを過ぎると、それまでの人混みが嘘のように鎮まる。帰りの船までの時間がたっぷりあったので、その先のトラガーラ岬まで散策。
e0036980_13440593.jpg
南国の花も今が盛り、鮮やかな彩りにバカンス気分が盛り上がる。青い海と空、そして白を基調とした街並みにピンクが映えること!
e0036980_13423471.jpg
岬に到着。下まで行きたければ、遊歩道で。小さな広場となっていてベンチも完備。日陰に腰かけ、景色を観ながらボケーっと、しばし夢心地に。

e0036980_18573158.jpg
真夏のイタリアへ。
いつも音楽鑑賞がメインだが、それとは別に訪れた南イタリアのリゾートに心奪われてしまった。山派の私だけれど、カプリ島の美しさと穏やかさに癒されて、天国にいるような心地よさを味わった。
e0036980_19024264.jpg
「絶対に行くといいよ」と薦められて、朝から夕方まで1日のんびり過ごすことができたのだけど、こんなに素敵な島ならお泊りしたかったな。いつかまた。