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カステッロ広場に面したアパートメントから
誰もいない深夜の広場

 9月に訪れたトリノでは、中心部のカステッロ広場に面したアパートメントに3泊。音楽鑑賞メインだと、戻る時間が遅くなることから、宿はできるだけ会場に近く、便利な場所を取るようにしている。実際にトリノの宿に来てみると、マダマ宮が真正面に見えて、なんともエレガントな雰囲気に気分が盛り上がる。隣は世界遺産の王宮、そしてオペラ劇場も目の前という最高の立地。
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 このアパートメントはパラッツォを改装したもので、天井にその名残りが見える。各部屋には名前が付いていて、私の部屋は「principessa」。それこそオペラの中でしか聞かない呼び方で、なんだか気恥ずかしい…。アパートメントとしては少々値が張るが、ミラノ中心部に比べたら安い。女子的には嬉しい雰囲気、立地もいいので複数で泊まればお得だと思う。
 ただ、ホテルとは違うので注意が必要。ここでは日中の10時~20時しか管理人が対応しないので(それ以外の時間だと別料金)、チェックイン・アウトの時間を考慮したり、宿泊税も管理人がいる時に支払う必要がある。対応はとてもよくて、掃除も行き届いている。この辺りはホテルと一緒。
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 アパートメントなのでキッチン付き。駅近の老舗のお総菜屋さんで夕食、昼食などを調達して、ここで手を加えていただいたりしていた。キッチンもお洒落なの。

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 ラモー&ピエール・アンタイのファンとしては行かねばならぬ演奏会。
 ファンとしては感涙ものだが、しかし、自国フランスでも一般的に知られているとは思えない作曲家のものを、よくまあ日本へ持ってきたものだと…(今回は演奏ツアーで、改めて日本のために用意されたプログラムではないとのことで納得)。予感は的中、思ったより会場の入りが少なくて残念だったが、始まってみるとそれはもう楽しさ満載のステージで、「ああ、楽しかった!」と観客同士で思わず言い交さずにはいられないほどのノリの良さを満喫。

 レザール・フロリサンのクリスティが「ストラヴィンスキーとラモーはダンス・ミュージックとして最高レベル」と述べていたような記憶があるが、ラモーの音楽は本当にダンサブルで、その肝はリズム感にあるいうことに尽きるのではないか。フランス・バロックオペラの流れを汲むラモーのオペラでは、バレエが不可欠であることから、当然そうなざらるを得ないのだが、ダンスと音楽は原始の時代から固く結びついているもので、リズムというものは理屈を越えて、人間の生理的(生物的)なものに強く訴えかけてくる力を持っている。これはラモーだけではなく、舞曲から発展している曲が多いバロック音楽全般にいえることだとも思う。私はバッハにもそれを強く感じることが多い(バッハを好きな理由の一つ)。

 今回はチェンバロ2台によるラモーのオペラハイライト集という感で、言わば美味しいとこ取りのプログラム。チェンバロ2台の演奏とは思えないほどの広がりを見せ、まるで目の前で、ラモーによる、めくるめくばかりの華麗なフランス・バロックオペラが展開される感覚を味合わせてくれた。やはりオペラはエンターテイメントである。今回の演奏がお気に召した方は是非ラモーのオぺラへも足を運んでいただきたいなと。チェンバロ2台でもこの楽しさなのだから、オペラとなればさらに楽しさ倍増なのは間違いない。
 オペラもカエル(=ニンフ)が主人公の喜劇風《プラテ》から、ラシーヌの格調高い悲劇を原作としている《イポリートとアリシ》もと作風が幅広いのも魅力。私のお気に入りは《ゾロアストル》、正義と悪の対立という。その情念の凄まじさには圧倒されてしまうほどで、ラモーのオペラの中でも傑作の一つだと思っている。フランス・バロックは優雅なだけではない、優雅さの下から、人間の業を余すところなく描き出そうとする奥深さをも見て取れるはずである。

 今回のプログラムは3部構成で、1部はアンタイが通奏低音的なポジション、そして2部はセンペとチェンジ、3部は交互にといった印象だったが、チェンバロはそれぞれがフレンチとジャーマンで音色が異なることから、曲によって細やかに立ち位置を変えていたのだろうなと。何といっても、オペラの序曲、前奏曲、そしてオペラ締め括りのフィナーレであるシャコンヌの盛り上がりに気分が高揚、大好きな《ダルタニュス》のシャコンヌ、《優雅なインドの国々》のシャコンヌ、《ピグマリオン》の序曲…。定番の《未開人》も、さあどうだといわんばかりのオリジナリティあふれる味付けで、さすがだなと唸らされた。最後の《タンブーラン》はラモーのダンサブルさが全面に押し出されていて、ズンチャズンチャと(こんな表現でごめんなさい)身体が自然に動いてしまいそうになる。
 クラヴサン合奏曲集からの《おしゃべり》《挑発的な女》《マレ》からも、人間描写に優れたラモーの手腕が見事に伝わってくるが、クープランから進んで、さらに表現に鋭さと鮮やかさが増しているように思う。

 コンサート終了後、お気に入りのアンタイによるスカルラッティのCD&プログラムにサインをいただいた。スカルラッティも度肝を抜かれる凄い演奏なので、「とってもいいです!」と伝えると嬉しそうにしていらした。また日本にいらっしゃる機会があるかお尋ねしたところ、「5月に」とのこと。ラ・フォル・ジュルネでは、是非スカルラッティを!

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 ハロン湾クルーズ、船上にて

 8年前にベトナム(ホーチミンとニャチャン)の地を初めて踏んで以来、すっかり気に入ってしまった彼の地。その魅力は一言では言い表せないが、美しくも雑然とした、そして洗練と素朴さが綯交ぜとなった、あの実り豊かな南国へ、いつか再訪したいものだと長い間思っていた。ちょうど休暇が取れそうだったので、2度目のベトナムはハノイと決めた。
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 夫は仕事で休暇が取れないため、母が同行してくれることになった。母もそれなりの年なので、移動等の安全を考え、今回はツアーに申し込んだ。ハノイから訪れるハロン湾クルーズは外せない。ベトナム観光の目玉となっている世界遺産の名高い景観は素晴らしく、自然の雄大さに抱かれて解放感を満喫。観光船のある光景もリゾート感抜群である。
 山派の私だが、ハロン湾は日帰りでは勿体無い。やはり船上宿泊で数日のんびりしたいところ。

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 私がもしヴァイオリンを弾けるのではあれば、真っ先に弾きたいのがシベリウスのヴァイオリン協奏曲だ。その曲からは、北欧フィンランドの豊かな自然から溢れ出る、澄み切った大気が浮かび上がり、素晴らしい彼の国の光景を想い起さずにはいられない。このヴァイオリン協奏曲はそれこそ昔…、10代後半頃に聴いて感動し、それからシベリウスの交響曲や《トゥオネラの白鳥》《悲しきワルツ》《フィンランディア》など著名な曲を選んで聴いていた記憶がある。しかし、実演ではシベリウスの曲を聴いた記憶がない(忘れてしまったのかも)。社会人になりたての20代初めの頃は、それこそオーケストラの定期会員になって曲を選ばず聴きに行ったものだが、それも昔のことである。

 今回の《クレルヴォ交響曲》は、シベリウスの若かりし頃の作品とのことで興味を惹かれ(聴いたことがないものだと食指が動く)、そして都響の演奏ということで楽しみにしていた。
 指揮のリントゥも接するのは初めて。都響はここ数年、年に何回かは聴いているが、前半は荒いというかガサついた響きで、あれ、いつもこんな演奏だったろうか、と自分の気持ちが乗らず(曲に気持ちが揺り動かされると、必ず身体的な反応が出てくる、つまり自分が曲に巻き込まれていく感覚を味わえるのだが、全く反応なし)。曲の構成もシベリウスの個性がはっきりとは見えない感じで、どこかで聴いたことのあるような調べが流れていくなぁという印象。
 
 これが、第三楽章の始めに声楽が入ってきたとたん、打って変わって躍動感みなぎる、生き生きとした調べが会場を満たし、オーケストラも美しい滑らかさと荘厳さで、緊迫感のあるドラマを形作っていく。合唱は、粒の揃ったくっきりとした響き(フィンランド語!)で物語を伝え、素晴らしい歌声。気迫の籠ったエネルギッシュな指揮にオーケストラも渾身の演奏で、後半は全く見事というほかない。
 アンコールの《フィンランディア》もお国ものということで、感動を覚えないわけがない。ただ、これは私の趣味の問題だと思うが、あまり大仰なのは苦手。大仰というのは、オーケストラ自体の規模が演奏主体として大きいので、自ずと会場も大きく、観客も多くなる。
 オペラを除いては、できるだけ小さな会場の親密な空間で、音楽(楽器や奏者、観客との一体感を含めて)を味わうのが好きなので、私にとっては、やはり大きすぎると改めて感じた一時でもあった。

 音楽と最も一体感を感じるのは、やはり自分でピアノを奏でている時なのかもしれない、バッハを弾く時の、あの心震えるような愉悦を超えることがあるのだろうか、と。

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トリノのテアトロ・レージョ前、今シーズンの公演ポスター
オープニング公演は《トリスタンとイゾルデ》
《Trisutano e Isotta》と囁くと、違うオペラのような不思議な響き
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 オペラ・ファンの端くれとしては、トリノへ来たからにはここへ詣でねばと思うのは当然なのだが、オマーンで引っ越し公演中(演目は《アイーダ》)だったため、今回は残念ながらオペラ鑑賞ならず。この劇場はプッチーニとも所縁が深く《マノン・レスコー》《ラ・ボエーム》が初演されており、それを思うと胸がじんわりと熱くなる。いつの日か、ここでオペラを観たいものだ、と。
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 諦めきれず、外から内部をジロジロと観察。ここもエレガントな劇場で溜息。
 私は「劇場」が与えてくれる、ひと時の非日常性が好きだ。劇場は、舞台へと続く魅惑的な世界への入り口であり、劇場に観客として入った時から、すでに劇は始まっている。
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トリノの宿はここから1,2分という近さ。劇場前を通り過ぎる度に「ああ、オペラが観たい…」(泣)となる。
入口上にはオペラの演目が掲げられているが、見ていくと定番ものはもちろん、モンテヴェルディ《オルフェオ》、ヴェルディ《十字軍のロンバルディア人》、プーランク《人間の声》、アンドリュー・ロイド=ウェバー《エビータ》とミュージカルも、そしてヴォルフ=フェラーリ《スザンナの秘密》というラインナップで、羨ましさのあまり卒倒しそうになる。


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 昨日、クフ王のピラミッドで未知の巨大空間を発見したという番組を、古代へのロマンを感じながら観た。解明されていない空間に何があるのか、様々な推測がなされているが、早く実際を知りたいという気持ちは皆同じだろう。クフ王のミイラが安置され、そこを煌びやかな埋葬品が取り囲んでいるのか、もしくは只の空間なのか、それとも…。続報をドキドキしながら待ちたい。
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 上野の東京国立博物館の東洋館にもエジプト・コレクションがあるが、トリノのエジプト博物館はカイロに次ぐコレクションの規模で、観光ルートとして有名かつ大人気だ。私が訪れた際もかなり混み合っていた。場所は中心部に位置しており、立ち寄りやすい。
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 内部は近代的な構造となっており、大変見やすい配置。大きいものから小さなものに至るまで、想像以上の膨大さで、よくまぁ、これだけ持ってきたものだと…。ミイラも様々で、人はもちろんワニやら猫やら次から次へで、もう一生分観たような気がする。
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 目玉の彫像の間は迫力だった。凄いなぁと思うのは、古代エジプト人の描く壁画やパピルス画。平面でありながら動物や人物など、非常にリアリティがあって適格な表現、線に迷いがなく、美的センスの高さに感心。生活用具のあれこれも、造形的には現代と形はほぼ同じようなものもたくさんあり、紀元前ウン千年からこんなに高度な技術を有していたとは信じられないと、改めて圧倒されてしまった。
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パスタコーナーで頂いた、イータリー特製のポモドーロ・スパゲッティ。
味が濃くて、生パスタはモチモチ。これだけでお腹一杯! 

 自動車博物館へ向かうため、メトロのリンゴット駅で下車後、テクテクと人通りの少ない道を歩いていると、突然色鮮やかなショッピングセンターのようなものが出現、そこには大きく「EATALY」の文字が見える。「あら、こんな所に」と思わず店内へ。名前は知っていたものの、東京にもあるという店舗には行ったことがなく…。それにしても東京にも店舗があるなんて凄い、わざわざイタリアまで来なくてもいいし、日本ってなんでもあるのよね、と感心してしまう。
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 私は食が細いのだけれど(それでは不健康なので、もっと食べなくてはと思っている)、そんな私にとっても店内を巡るのは楽しい。このピッツァ、お持ち帰り♪
 他にも野菜や果物、チーズ、鮮魚、精肉、パスタ、ワイン、ドルチェ…。どれも美味しそう、充実の品揃えで、パスタコーナーでは種類の多さにやはり腰を抜かす(いったい何種類あるのやら)。それぞれのコーナーにイートインスペースが設けられているのがアイデア、このあたりがイータリーらしいのかな。
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 自動車博物館からの帰り道にまた寄って、ジェラートで一息。まだ暑さの残る季節には、沁みる美味しさ…、店内はそんなに混んでいないので、しばしのんびり。ここでもパスティッチ―二が美味しそうで溜息。ジェラートのお味はフラーゴラ&リモーネ(イチゴ&レモン)。リモーネは必ず選んでしまうほど好きなの。

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イタリアン・レッドが美しい、歴代レーシングカーのコーナー。
映像との展示に、自動車へのロマンと憧れが凝縮されていて圧倒される。

 トリノはフィアットのお膝元ということで、ぜひ訪れたかった博物館。素晴らしいコレクションで、車好きにとっては狂喜乱舞の世界であるに違いない。私はといえば、走りさえすれば何でもよろしいという(今の愛用車は国産の軽)こだわりの無さなので、豚に真珠、猫に小判の世界だ。そんな私でも大変楽しめたので、車にさほど興味が無くてもお薦め。しかも、ガラ空きで思う存分満喫できる嬉しい環境。
 ここへはトリノ中心部のポルタ・ヌオーヴァ駅から数駅先のリンゴット駅で下車後、徒歩で15分~20分ぐらい。トリノのメトロは明快、東京都心の込み入ったメトロとは真逆でありがたい。
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 ポー河のほとりに近づくと、緑豊かで長閑な雰囲気。静かでいいなぁと思っていたら、いきなりガラスとコンクリートの金属的な光を放つモダンな建築物が現れて驚く。かなり大きくて迫力満点だ。
 内部はシンプルかつ洒落た展示で、美しく楽しく魅せようという配慮が感じられて感心。過去だけではなく、地球規模での環境を考慮し車の未来をも予測した、教育的効果の高さを備えているのには、本当にMeravigliosa!
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 しかし、昔のレーシングカーはこんなだったのね。レーサーが身にまとうスーツも時代を感じるなぁと。
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 トリノは歴史あるカフェが軒を連ねていることで有名。今回はアパートメントの宿泊で朝食無しということもあって、いくつか訪れてみた。宿からも近いバラッティ&ミラノは1858年創業、豪華さでは1,2を競うだけあって、思った以上にエレガント、朝から気分が盛り上がる。決して派手というのではなく、品の良い風格が感じられるのがいい。
 日曜朝ということで、ガラガラ。地元の方はカウンターで立ち飲み、クッとカフェを飲み、少しおしゃべりをして去っていく。私は観光客なので、席に座ってまったり。アペリティーボも体験してみたかったけれど、音楽祭のコンサートをびっしり入れていたので、そこまでの余裕がなくて残念。日中は観光して、夕方からは一休みして音楽鑑賞へというパターン。
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 カプチーノ&コルネット。中身はカスタードクリーム。ここのカプチーノは美味しい♪ガラスケース内には美味しそうなパスティッチーニがいろいろ。
 カプチーノには、カカオ70%のチョコレートが添えられていて嬉しい。イタリアでもカカオ率の高いものがトレンドなのかなぁと。美味しかったので、皆さまへのお土産用に大量購入してきたけれど、なんと帰国便の空港で売っていたので「……。」となった。

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 《PRIMAVERE》と銘打った今夜のプログラムは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番&ストラヴィンスキー《春の祭典》というロシア・プロ。指揮者とピアノ演奏もロシア出身という組み合わせ。
 曲はクラシック音楽ファンでなくとも、おそらく名は知っているだろう超有名曲。ラフマニノフ好きとしては嬉しい。《春の祭典》はバレエの組み合わせで観てはいるものの、オーケストラのみの演奏で聴くのは初めて。この曲は、アヴァンギャルドなコンテンポラリー・バレエでさえも喰われてしまうほどの強い音楽なので、日常的に聴きたいとは思えず、ロトやクルレンティスのCDも積読状態…(ごめんなさい)。今でもそう思えるのだから、パリで初演された際の騒ぎも、さもありなん、と。
 指揮のビシュコフは、10年以上前にザルツブルク《ばらの騎士》で接したが、カーセンの演出に対する観客の引き具合(サーッと空気が冷める感じ)と、隣にいらした貫禄たっぷりのおじい様(白タキシードのお似合いな、カラヤン時代から聴いています的な)が、さかんにブーイングをしていて、いやそこまで酷くはないのでは、指揮者が気の毒だなぁと思った記憶しかなくて…。なので、今回はリベンジ。

 ラフマニノフではキリル・ゲルシュタインがピアノ演奏。グイグイと推し進めていく感じで、迫力あり。確かにラフマニノフを弾くにはパワーが必要だが、タッチがちょっと気になった。これは10日程前に、なんとも繊細優美で音色の澄んだラフマニノフのピアノ協奏曲3番(ハオチェン・チャンがピアノ)を聴いたので、そう感じたのかもしれない。そういえば、ピアノのメーカーを確認していなかったが、ファツィオリではなかったかも。
 《春の祭典》はキリリと締まって洗練された雰囲気、ロシアの泥臭さというか、原始的な匂いというものよりも、「祭典」の祝祭的な華やかさがあり、軽やかさのあるオーケストラという印象だった。指揮は、真っ当にキッチリと曲をまとめていて好印象。
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 終演後は23時近くとなり、テアトロ・レージョ前を横切って宿へ戻る。ライトアップされたカステッロ広場周辺は、なんともロマンティック。音楽祭ののぼりが掲げられているのも、余韻に浸れるので嬉しい。


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